映画「グランドイリュージョン 見破られたトリック」 平成28年9月1日公開 ★★★☆☆

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アトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)がリーダーのマジシャン集団、フォー・ホースメン。
イリュージョンショーを繰り広げては不正に搾取された金を奪取してきた彼らが、再び出現し注目を浴びる。
しかし、新たなショーでハイテク企業の不正を暴こうとするが、
何者かによってイリュージョンは失敗に終わる。
その裏に、ウォルター(ダニエル・ラドクリフ)という天才ハイテクエンジニアの存在があった。(シネマ・トゥデイ)


昨日の「幸せをつかむ歌」もサイアクな邦題でしたが、他に問題多すぎてつっこみそこねました。

本作はもっと罪が深い。
この意味ない副題もいりませんが、これ、前作の続編なのに、それが全然わからないこと。
ちなみに原題は「NOW YOU SEE ME 2」です。
「2」をいれなくては駄目ですよ!

ハリーポッターくらい有名だったら、別に何作目かを書かなくても大丈夫ですが、、
「グランド・イリュージョン」の前作ってそんなにメジャーだっけ?
私は映画館でみましたけど、たしか近所でやってなくて新宿ピカデリーで観たんでした。

とにかく、フォー・ホースメンのメンバーのキャラ紹介もなく、いきなり始まるので、
前作観てない人は「置いてけぼり感」で悲しくなってしまうかも。

私は3年前にみてブログも書いてましたけど(→こちら)そのあと話題にもならなかったから
ほぼ内容を忘れていました。

「フォー・ホースメン」というのは、黙示録にも登場する四騎士のことだから、アポカリプスにも出てきていました。
「4人」というのが重要なはずなんだけど、「5人目のホースメン・メンバー」がいて
それが前作でわかったんだけど、そのことすら忘れてました。

まず、4人というのが、
①リーダーのアトラス(ジェシー・アイゼンバーク)
②催眠術師のマッキニー(ウディ・ハレルソン)
③カードマジックのジャック(ディブ・フランコ)
④脱出マジックのヘイリー(アイラ・フィッシャー)にかわって新メンバーのルーラ。
そして5人目が、FBI捜査官のディラン・ローズ(マーク・ラファロ)です。

彼らは壮大なマジックを使って、悪徳企業の悪事を告発して、富を大衆に分け与えるということで
世界的に有名だし、大人気なんですけど、今回のターゲットはハイテク企業のオクタ社。
個人情報を吸い上げて悪用し、莫大な利益を得ようとしてると言うオクタ社の
発表会場に乗り込んでプレゼンをジャックし、
社長に催眠術をかけて秘密を暴露しようとした瞬間、
邪魔がはいります。(この辺は予告編でやってました)

「プランC4で行く」と、脱出用シューターで会場をあとにするのですが

外に待機したトラックに通じているはずのシューターなのに、
何と4人はニューヨークから中国のマカオにワープしていたのでした。


そこはマカオの場末の食堂で、4人はギャングに追われることになります。
実は彼らに指令を与えるのは「秘密結社アイ」なんだけど、
その指令の段階から、関与していたのはハイテクエンジニアのウォルター(ダニエル・ラドクリフ)で
最初から彼らを拉致する計画だったんですね。
脱出シューターのなかで眠らせて、普通に飛行機でマカオまで運んでいたのでした。

ハリウッド映画ではよくマカオが登場しますが、いつも、「アジアの雑踏」扱いですぐ次の都市に移っちゃうんですが、
今回はマカオのシーンが意外と長くて、ごみごみしたいろんな匂いのただよってくるような路地裏を堪能できました。


ウォルターの手下には、マッキニーの双子の弟のチェイスもいて、兄と同じくらいの腕をもっていますが、
ウディ・ハレルソンが2人もいるのって、ほんとにうっとうしいです。(一人でも充分暑苦しいのに)

4人はウォルターに脅されて、世界を手中にできるようなスゴいチップを盗み出しに行くんですが
厳しいセキュリティをくぐりぬけていかに盗み出すか?
チップをトランプに貼り付けて、それを連係プレイで飛ばしながらチェックをクリアするわけです。
CG使わずにカートプレイの特訓の成果ということなんだけど、ちょっとしつこい感じ。

ラストはロンドンのニューイヤーの瞬間にすごいイリュージョンを見せると予告し、
ゲリラライブのようにカードマジックや鳩をだしたり、雨を止めたりして観衆を喜ばせるんですが
もちろんすぐにウォールターが彼らを捕らえにやってきます。
ところが、世界中の人にネタバレを公表しながら、ウォルター一味を罠にかける・・・というすごいもの。

それにしても、降雨機やストロボはともかく、旅客機まで登場する大掛かりなものなので、
どれだけお金がかかるのか?
マカオのマジックショップの親子が協力してくれる、とはいってたけど、
資金も裏方スタッフもみんな面倒みてくれたのかな?

たしかに仕込みは大がかりではあるけれど、(実際に目の前でやってくれるリアル体験でなく)
映像のなかではどんなことも可能なわけで
そのなかで観客の度肝を抜く、というのは難しいことだと思います。

4人はそれぞれに得意技があるから、それで協力しあう・・・というのは楽しいけど、
今回は、全員がカードプレイばかりをやったり、メンタリスト、というか催眠術かけるのも何度もでてくるから
なんだか面白味が欠けてしまいました。


音楽のことをちょっと書くと、
サディアスが部屋で聴いてたのがモーツアルトの「魔笛」のなかの「夜の女王」の超絶ソプラノ
ラスト近くでもプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」の有名なアリア「オー・ミオ・バッビーノ」という選曲で
好きな曲がかかるのはなんだか嬉しいものです。

前作では、短髪のジェシーがやたら素敵で、非イケメン,非マッチョの新たな魅力を切り拓いた!
なんて思ったのですが、今回は彼はあんまり目立っていなくて、主演はどう考えてもマーク・ラファロですね。

でも、今回一番印象に残ったのは、(マークではなく)あのハリポタのダニエル・ラドクリフ。
子どもの時からあればっかりやってたら、イメージつきすぎて、苦労してるのはわかるけど
子連れの神父だったり、頭から角が生える役だったり、ゲイのベッドシーンに挑戦したり
今までホントにキャラに迷って、どれもイマイチだったんですが、
今回のような「ラスボスだけどちょっと脇が甘い」役は意外とあってる感じがしました。
いうのも何ですが、彼は童顔なうえに、身体がとっても貧弱で、しかも毛深い。
あまり無理せずにオタク系の冴えない役から主役を狙っていただきたいと思います。
あるいは頑張って肉体改造するとか・・・・

ともかく、タイトルに惑わされずに、DVDで1作目を観賞後に見ることを強くオススメします。