映画 「グランド・イリュージョン」平成25年10月25日公開 ★★★★☆
マジシャンとして一流の腕を持つアトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)は、
フォー・ホースメンというスーパーイリュージョニストグループを束ねていた。
彼らはマジックショーの中で、ラスベガスから一歩も動くことなく、パリにある銀行から金を奪ってみせた。
この件を受けて、次の計画を彼らが実行する前に食い止めようとFBI特別捜査官のディラン
(マーク・ラファロ)が捜査を始めるものの……。 (シネマ・トゥデイ)
フォー・ホースメンの4人。
左から、脱出の天才ヘンリー、リーダーのアトラス、メンタリストのメリット、カードの奇術師ジャックです。
ジェーシー・アイゼンバーグとウディ・ハレルソンは「ゾンビランド 」の仲間たち。
アイラ・フィッシャーもエマ・ストーンにちょっと似ているから
「あとひとりはアビゲイルでしょ!」なんて思っちゃいました。
それぞれの場所でマジックを披露して生計をたてていた凄腕のマジシャン4人が、タロットカードに導かれ
とあるボロアパートに集結します。
そしてその後、フォー・ホースメンとして輝かしくデビューするのです。
彼らのマジック、というかイリュージョンは前代未聞で、
(予告編で何度もみたのは)無作為に選ばれた観客のひとりが、3秒でラスベガスのステージから
自分の口座のあるパリの銀行の金庫に行って、そこの320万ユーロの現金を盗み出し
ラスベガスの会場の天井からまき散らす、という、とてつもないもの。
「瞬間移動」はなんらかのトリックだとしても、
マジックを利用して大金を強奪する、というのではなく、
マジックの準備として銀行から盗むというのは聞いたことありません。
その後もニューオーリンズ、ニューヨークと、彼らのショーはどんどんエスカレートしていきます。
搾取している人から奪って貧者や被害者に分け与える、というねずみ小僧的行為ではありますが、
もちろん犯罪なわけで、警察やインターポールの標的となるのはもちろんです。
やってることはめちゃくちゃ大掛かりですが、
要するに人間の錯覚や思い込みを利用すればなんでもできる、ってこと?
マジックに必要なのは装置や技なんかのトリックも大事ですが、
「ミスディレクション」によって成立するんですよね。
最初の(フォーホースメンになるまでの)アトラスのカードマジックで、
「めくったカードから一枚覚えてください」といわれた女性が、(なにを覚えたか言わないまま)
カードのデックの中からは消えてしまって、なんと後ろのビルにダイヤの7が浮かびあがってる・・というのがありました。
ビルの照明を操作するのは大掛かりなことだけれど、
それより、ぱらぱらとめくられたカードのマークはいろいろ見えていたのに、
実は私もダイヤの7が記憶に残ったので、とても不思議な気持ちになりました。
「このトリックを見破られるか?」なんて言われたら、負けず嫌いが表に出てしまうのですが、
最初からあちらのペースにはまってしまったので、ここは素直な気持ちで観ることにしました。
結局それが良かったのか、最後までけっこう楽しめました。
とにかく、映画全体が「ミスディレクション」の嵐で、
途中から「トリックを暴くプロ」のサディアス(モーガンフリーマン)が登場していろいろ無粋な解説をしてくれるんですが、
彼ら4人はいちいちその上をいくのです。
捜査官のディラン(マーク・ラファロ)はFBIのくせにかなり野暮ったくて脇が甘くて、
「正しい方」には違いなくても共感しづらい。
逆にインターポールのアルマ(メラニー・ロラン)は優秀だけれど正体不明で謎がありそう・・・
なんて思ってしまうのも実はこちらの錯覚ですね。
Xmenのチャールズの読心術のような超能力ではなく、
科学的に深層心理を探るというメンタリズムがこれほど多用された映画もはじめて。
さいきんご無沙汰のDaigoが監修(字幕監修?)しているそうですよ。
メンタリズムと催眠術ができるのが、生身の人間としては(アイテムも機材もいらないし)最強!って思いました。
林完治氏の字幕もスピーディーで、超早口のジェシーのせりふにちゃんとついていってました。
ジェシーはオタク系の役柄を脱して、もうなんでもできちゃいますね。
華麗なカードテクニックも披露、アクションシーンもありました。
なんか、どんどんかっこよくなってるような気がするんですけど・・・・
「ソーシャル・ネットワーク」を上回る当たり役に(今回もよかったけど)期待します。