映画「奇跡の2000マイル」 平成27年7月公開 ★★★☆☆
原作本 「ロビンば跳ねた ラクダと犬と砂漠 オーストラリア砂漠横断の旅」ロビン・デビットソン 冬樹社

思い通りにならない日常を捨て、オーストラリア中央部の町アリス・スプリングスにやって来た
24歳の女性ロビン(ミア・ワシコウスカ)。
ロビンは西部の砂漠を横断し、インド洋を目標に旅に出ようと決めていた。
そして牧場でラクダの調教を学び、4頭のラクダと愛犬と共に出発する。
ロビンは7か月間にも及ぶ旅で、彼女の人生を変える出会いや経験をするのだった。(シネマトゥデイ)

8月にも、リース・ウィザースプーン主演の「わたしに会うための1600キロ」を見て
「若い女性の過酷なチャレンジの旅」ということでは同じくくりだと思ったんですが、
ただ。こちらは距離も倍近いし、整備されたトレイルコースでもない、
失敗したら死ぬかも知れない無謀すぎる冒険の旅。

アリススプリングに愛犬を連れてふらりとやってきたロビンは、ここで稼いでラクダを買って、
調教も教えてもらって、単独で砂漠を横断するという・・・
家は牧場だから動物にはなれているんでしょうけど、それにしても無謀。

どんづまりの生活に見切りをつけての独身女性の「自分探しの旅」なんて、
ただの観光旅行になるのがふつうですが、彼女の考えることは全く違う。

他人にけっしてなびかない妙な意志の強さで、2年間劣悪な条件で働き通して
ともかくラクダを4頭を手に入れて、出発することができるのです。
出会う人にはひどい奴も優しい人もいるのですが、最後まで彼女をサポートするのは
ナショナルジオグラフィック社のカメラマン、リック(アダム・ドライバー)。
彼はロビンに時々同行しながら、写真をとり、最低限の食料や安全のサポートをするんですが、
気難しいロビンとの距離のとりかたは難しく、なんども衝突します。
商業写真と彼女の旅はどうしても相容れない部分が多すぎますから・・・



私は映画で観るより、リックの撮った写真(多分これ↑)を見たいと思ったんですが、
原作本(ロビンの自伝↓)にはほとんど写真がなくて残念でした。





右がロビン本人ですが、かなり充実に再現していますね。
普通、砂漠を踏破しようとするんだったら、もっと機能性に優れた服を着そうなものですが
ロビンの服装は、ほんとにそれまで来ていた普段着。
洗濯だってできないから、どんどん汚れ、ぼろぼろになって、
人目もないのをいいことに、けっこうあられもない姿になっていたりします。
ミアは全裸で泳いだり、ほぼ裸で歩いたりするんだけど、スケベ心もおきない感じ。

「食べて祈って恋をして」みたいな現実逃避旅行は、ついつい馬鹿にしてしまう私ですが
ロビンのような突き抜けた人をみると、恐れ入りましたとしかいえません。

ただ2700キロにも及ぶ冒険を成功させた彼女に、たいして達成感はなく、
このあと現実の世界でちゃんと生きていけるのか心配になります。
リックみたいな、ロビンを心から心配してくれる凡人のパートナーが
この先も、いつもそばにいてくれればいいのですが・・・