劇場の音の響き | 鍛治本方程式

鍛治本方程式

演劇集団キャラメルボックスの俳優、鍛治本大樹の日記です。

こんばんは
仕込んだ鍛治本です。

大阪での仕込み一日目。
勝手知ったる劇場での仕込みの里帰り感の強さよ。

またこの劇場に帰ってこれたことに感謝しつつ、それが当たり前に続くことではないことを噛みしめながら身体を馴染ませていく。

サンケイホールブリーゼもまた、音の響き方に特徴がある劇場で、
最初に柿(こけら)落としで来た時、二階席までの空間の広さと、音の跳ね返り方に驚いた鮮明な記憶がある。

かといって仕込み中ずっと客席に向かって大声を出している訳にもいかない(仕事しろ)
仕込みが終わっても舞台上では色んな作業、チェックが行われるから、それを邪魔してはいけない。
ただ大声でセリフを言うことしか出来ない新人の僕にとって、これはちょっとした恐怖だった。
僕のセリフは果たしてお客さんに聞き取ってもらえるのか。
ボワンボワンするばかりで、何を言ってるのか分からないんじゃないか。
不安だった。

そんな時、劇団の大先輩、坂口理恵さんが僕に秘策を伝授してくれた。
きっとド新人の僕の顔には、「劇場の音の響きに身体が慣れません、焦っています」とゴシック体で書かれていたに違いない。

ブリーゼの客席後方の扉からロビーに出ると、入り口付近の吹き抜けに対して、こちら側は天井が低くなっている。

そこで声を出すと、舞台上から客席に向けて声を出した時とほぼ同じ残響感が体験出来る。
そこでアップするときにセリフを練習すると良い。と。

それからというもの、僕は、本番前のアップをいつもそこで行っている。

舞台上からの音の響きを疑似体験したい方は、是非、開場中にそこら辺で大声を出してみて下さい。
あ、警備員さんにつまみ出されても責任はとりません。

明日はいよいよ大阪の皆さんに会える。
最上の準備をして、お待ちしています。

写真は、劇場に少しでも身体を慣らそうと必死な筆者。



働けよ。