田山花袋「少女病」 | 世界文学登攀行

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世界文学の最高峰を登攀したいという気概でこんなブログのタイトルにしましたが、最近、本当の壁ものぼるようになりました。


「少女病」


田山花袋という人。
「蒲団」という代表作がある人だな、というのは、国語の授業のおぼろげな知識で何となく知っている。
もちろん、読んだことはない。


kindleを買ったうれしさに、有名作家短篇めぐりというのをしていたことがあった。
今思えば、読了冊数水増しキャンペーンだったような気もするが、有名な作家、興味深いタイトル、そして短い、という三拍子揃った「少女病」は、当然に読まれるべき本であったのだ。


あらすじは、タイトルからだいたい想像していただきたいが、そういう話しである。
一見、自分自身とは関わりのないような気持ち悪さに対する共感というのは、ひとつの読書の醍醐味だと思う。
うわー、気持ち悪い、というのと、わからんじゃないな、という感情の同居は、他者を受け入れるプロセスのようで緊張感がある。


男なら誰しもが持つ少女趣味と、もはや老いさらばえて少女に憧れること自体卑屈な思いのある中年のおじさん。
本能のままに行動することが許されるのならば、自分だってこんなもんかもしれないなと納得する。
とはいえ、そんな過激な描写があるわけではなくて、電車で居合わせた少女をジロジロみたりそんな害のないおじさん。
ほら。気持ち悪いでしょう。


この主人公は37歳というから、僕とほとんど年が違わない。
そして、25歳くらいの奥さんがいて、子供が2人いる。
もう、なんの不満があって、少女いいなあとか言ってるのかと思う。
そこだけは共感できない。まったくできない。



少女病/作者不明
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