芥川龍之介の「桃太郎」を読んだ後に、「猿蟹合戦」もあることを知り、流れに身をまかせるようにして読んだ。
読んだのは1年近く前のことであり、この感想を書くために軽く再読をしている。
話しは、昔話で聞いたことのある「猿蟹合戦」の後日譚、という形式をとっているのだが、そんなの、著者の創作に決まっているのに「これは事実である。寸毫も疑いのない事実である」なんていうフレーズが、雰囲気を醸し出していていいなと思う。
この物語も、青空文庫などで読むべき超短篇であって、何かを書けば、それは即ちあらすじや結末に近いものになってしまうため、内容については触れないようにしたい。
ただ一つ。
社会の不条理に翻弄される蟹の姿に「とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下のために殺されることだけは事実である。語を天下の読者に寄す。君たちもたいてい蟹なんですよ」という言葉が、胸に刺さった。
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