次の等式が表すグラフを描け。ただし、[ ]はガウス記号である。
解答作成日:2015年4月5日
テーマ:極方程式・ガウス記号を伴う関数
履修学年:なし
(極方程式は高校数学Ⅲで履修しますので、本題は発想次第で高校3年の範囲で解答可能です。)
「ガウス記号」の性質は、問題17でもご紹介致しました通りですね。
【問題17】以下の等式を証明せよ。ただし、nは任意の自然数、xは任意の実数とし、[x]はxを超えない最大の整数を表すものとする。
本題は、ガウス記号内が根号を伴う分数で、しかも、2項のガウス記号に分けられているという、非常に複雑そうな関数の方程式です。
連続ではないので微分のしようもありませんね。
しかしよく見ると、分母の表記……、(xの2乗)+(yの2乗)……??
何だか、見覚えがある形ですね。
そうです。三平方の定理の左辺ですね。
直角三角形の、直角を挟む2辺をx,yと、斜辺をzと、
それぞれ表すと(xの2乗)+(yの2乗)=(zの2乗)が成り立ちます。
この定理から、xy座標(直交座標といいます)上の点Aを、xとyを使わずに「原点Oからの距離(r)」と「線分OAとx正方向の軸がなす角度(θ)」の2つの要素で(r,θ)と表すことができるのです。
この座標の表し方を「極座標」と言い、rとθの関係を示した式を「極方程式」と言います。
本題では「グラフを求めよ」とされていますが、実際は直線の形ではなく平面的になるので、「領域」ですね。
「領域」も「グラフ」の一種ではありますが、高校数学の範囲では領域と言った方が説得力ありますね。
「極座標」と「極方程式」の細かい解説は追ってアップロード致しますが、せっかくですので、少しだけ具体的な例題をご紹介しますね。
直交座標で、(x,y)=(1,√3)と表される座標は、極座標では(2,π/3)と表されます。
座標から原点の距離は「三平方の定理」で、線分OAとx正方向の軸がなす角は、三角比でももちろん出せますが、中学数学の「特別な角」でもすぐ出せます。
直交座標の方程式で、y=-xと表される方程式は、極方程式ではtanθ=-1と表されます。
直線y=-xの上に任意の点(p,-p)を取り、そこからx軸に垂線を引くと、斜辺が右下向きの直角二等辺三角形が作られ、
このときx座標とy座標の正負は常に相違し、絶対値は常に一致します。
あとは、三角比の座標表記を考えて、tanθ=(高さすなわちy座標)÷(底辺すなわちx座標)で計算すると、pの値に依存しない極方程式tanθ=-1、すなわちθ=3π/4が導出されます。
極方程式で表せる図形は、原点を通る直線だけではなく、原点を中心とする円も、原点を通らない直線も、原点以外を中心とする円も表せますし、工夫次第でもっと変則的な図形も表せるのです。
何はともあれ、x=rcosθ,y=rsinθの変換が使いこなせれば、極座標・極方程式も恐れることはありません!!