自作数学問題bot @mathquestionakt (問題14) | 数学解説ブログ(つくば市の「数学・算数・物理に強い」プロ家庭教師 長通幸大・発信)

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x^671+x^6+x^10をx^2+x+1で割った時の余りを求めよ。
※ 「x^2」と表記されているものは、「xの2乗」を意味します。

解答作成日:2015年3月31日
テーマ:高次方程式・1の3乗根の性質・整式の除法と剰余の定理
履修学年:高校2年

普通の筆算では難しいですね。
m次式をn次式で割ると、商が(m-n)次式で余りが(n-1)次式以下になることを知っていれば、そこまで手こずる問題ではありません。

本題では、x^671+x^6+x^10=(x^2+x+1)P(x)+Q(x)とおいて、余りに該当するQ(x)がどのような値(式)になるか求める方針です。

P(x)がどんな式になるのか見積もれない場合も問題ありません。
x^2+x+1=0となるxの値を代入すると、(x^2+x+1)P(x)がP(x)の値に関わらず0になって(0をかけているから)、同時にx^671+x^6+x^10=Q(x)が成り立つのです。

しかしここで、x^2+x+1=0を満たすxの値と言っても、2つの虚数になってしまい、しかも、それをx^671+x^6+x^10に代入するのは、恐ろしく手間がかかってしまいます。

(以降、x^2+x+1=0を満たすxの値を、ω12と表します。)

これもちょっとした工夫で、問題解決!!
ω1^2+ω1+1=0なので、(ω1-1)をかけても、(ω1-1)(ω1^2+ω1+1)=0
この左辺を展開すると…。
ω1^3-1=0

xにω2を代入した場合も、同様の要領が成り立ちますね。

そうなんです。

「ω1とω2はいずれも3乗して1になる虚数である」ことがわかれば、「ω1とω2の3の倍数乗が1になる」こともわかり(指数の性質を確認してみましょう。)、
ω1^671+ω1^6+ω1^10とω2^671+ω2^6+ω2^10の次数をどんどん下げられますね。


仕上げの余りの1次式に関する恒等式も、忘れずに。
ω1とω2はx^2+x+1=0の解なので連立方程式を解く際に「解と係数の関係」が使えますね。

解と係数の関係につきましては、「二次方程式・三次方程式の解と係数の関係」でご説明しておりますので、併せてご参照ください。

気をつけるべき最後の落とし穴は、ω1とω2は「虚数である」ということですね。

これを乗り切れれば、確かに余りが0になるとがわかります。