ワイルド・スピード／ファイヤーブースト

原題：Fast X
監督：ルイ・レテリエ
ｷｬｽﾄ：ヴィン・ディーゼル／ミシェル・ロドリゲス／タイリース・ギブソン
配給：ユニバーサル・ピクチャーズ／東宝東和
公開：2023年5月
時間：141分

今夜紹介するのは，１作目『ワイルド・スピード』から22年の長きにわたって続く大人気『ワイルド・スピード』シリーズの10作目，スピンオフの『スーパーコンボ』を合わせると11作目となるアクション・アドベンチャー超大作『ワイルド・スピード／ファイヤーブースト』。前作『ジェットブレイク』から２年ぶりの公開となった。

監督は『トランスポーター』『グランド・イリュージョン』のルイ・レテリエ。『アクアマン』のジェイソン・モモア，『キャプテン・マーベル』のブリー・ラーソン，史上16人しかいないアカデミー賞，トニー賞，グラミー賞，エミー賞の４賞受賞女優リタ・モレノまで登場させて，キャスト陣は超豪華。制作費も史上８番目に高額となる推定３億ドルと言われている。

レティ（ミシェル・ロドリゲス）と息子ブライアン（レオ・アベロ・ペリー）の３人で穏やかな日々を送っていたドム（ヴィン・ディーゼル）の家にある夜，瀕死となった宿敵サイファー（シャーリーズ・セロン）が現れる。12年前，ドムと仲間たちがブラジル・リオデジャネイロで倒した麻薬王エルナン・レイエスの息子ダンテ（ジェイソン・モモア）が，ドムへの復讐を果たすために動き出したと警告しに来たのだった。

ローマで任務を遂行しているハン（サン・カン），ラムジー（ナタリー・エマニュエル），ローマン（タイリース・ギブソン），テズ（クリス・“リュダクリス”・ブリッジス）の元へ，この任務がワナであると伝えに向かうドム，レティとエリック（スコット・イーストウッド）。しかし，ローマ一帯を軽く吹き飛ばす威力を持つ球体の中性子爆弾はバチカンの教皇庁を目がけ，あらゆるものを破壊しながら街中を転がり出していた。最悪の事態だけは回避できたものの，ダンテの策略で爆破テロの犯人に仕立て上げられてしまうファミリーたち。

ドムの愛する全てを奪おうとするダンテの陰謀で散り散りになり，追い詰められていくファミリーたちを守るため，ブラジル，ポルトガルへと飛び，命がけの闘いを繰り広げていくドムだったが…。

いよいよ最終章に突入するシリーズに登場する敵は，あのサイファーに「自分以上の悪魔」と呼ばれるダンテ。『MEGA MAX』から繋いでくる因縁と，ダンテのキャラの立て方が，全編を予測不能の驚きとスケールに誘っていく。序盤のローマから押し寄せるテンションは，瞬きさえ奪う２時間のワイルドなスピードとアクションに，もうされるがまま。期待を遥かに超えてきた『ワイスピ』に大満足で，終わった瞬間から続編が待ち遠しくてたまらなくなる。

“ファミリー”という視点では，ドムの弟ジェイコブ（ジョン・シナ）や，「こう繋がってたか」と歓喜させるデッカード（ジェイソン・ステイサム）の登場。さらには，ジェイコブとブライアンの逃走を助けるCAの役で故ポール・ウォーカーの娘メドウ・ウォーカーのカメオ出演など，マニア受けの演出も嬉しい。そして，思わず声を上げて喜んでしまったポストクレジット。

できれば大きなスクリーンで，この作品のスケールを存分に味わってほしい。もちろん迷いなく５つ星★