MOTHER マザー | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:大森立嗣
キャスト:長澤まさみ/奥平大兼/阿部サダヲ
配給:スターサンズ/KADOKAWA
公開:2020年7月
時間:126分




今夜紹介するのは,『新聞記者』『宮本から君へ』(2019年・スターサンズ)などを手がけた河村光庸プロデューサーが,2014年に埼玉県川口市で起きた“少年による祖父母殺害事件”に着想を得,『日日是好日』『タロウのバカ』(2019年・東京テアトル)の大森立嗣監督とのタッグで新たな物語として映画化した『MOTHER マザー』。

シングルマザーの秋子(長澤まさみ)はその日暮らしの生活に困り,小学生の息子・周平(郡司翔)を連れて実家にやって来る。両親に金を借りようとするが,度重なる借金に愛想を尽かされ追い返される。ホストの遼(阿部サダヲ)と出会い意気投合した秋子は,周平を学校にも通わせずアパートに残したまま遊びまわる日々。電気もガスも止められた部屋で,じっと秋子の帰りを待ち続ける周平。やがてトラブルからラブホテルを転々とする逃亡生活が始まる。

それから5年。17歳になった周平(奥平大兼)は学校にも通わず,幼い妹の冬華の面倒を見ていた。ホームレス状態の3人の前に,市役所児童相談課の高橋亜矢(夏帆)がやって来て,簡易宿泊所を提供してくれる。フリースクールにも通い始め,学ぶことの楽しさを知っていく周平だったが…。

冒頭に「着想を得」とは書いたが,この作品,かなり事実に即している。育児放棄しながらも息子・周平に奇妙な執着を見せ,忠実であることを強いる秋子。そんな母からの歪んだ愛の形しか知らず,翻弄されながらも応えようとする周平。やがて身内からも絶縁され,次第に社会から孤立していく中で,母と息子の間に生まれる絆。異常というひと言で片付けられない現実と,母親からの歪んだ愛に囚われた少年が辿る過酷な運命が生々しくて,見る者の心に引っ掻き傷を付けていく。

長澤まさみにとっては意欲作。昨年の日本アカデミー賞では,最優秀主演女優賞をもたらした。


映画クタ評:★★★★


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