怪獣総進撃 | p・rhyth・m~映画を語る~

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英題:Destroy All Monsters
監督:本多猪四郎(本編)/有川貞昌(特撮)
キャスト:久保明/田崎潤/アンドリュー・ヒューズ
配給:東宝
公開:1968年8月
時間:89分




怪獣島の決戦/ゴジラの息子』から8ヶ月後に公開されたシリーズ第9弾。当時の映画館の入場者数はすでに全盛期の4分の1まで落ち込んでいて,子供たちの興味も映画館での怪獣より,TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』から起こった“妖怪ブーム”や,『巨人の星』などを中心とした“スポ根ブーム”にその座を奪われていったという。東宝ではこの作品を最後に,莫大な製作費が必要な“怪獣映画”を終了する予定でいたが,前作『ゴジラの息子』の観客動員数を10万人上回る成績を上げたため,怪獣路線は継続されることになった。

登場怪獣はゴジラ,ミニラ,ラドン,モスラ,アンギラス,バラン,バラゴン,ゴロザウルス,マンダ,クモンガ,キングギドラの11体。この数は2004年に公開の『ゴジラ FINAL WARS』の21体登場に抜かれるまで,ゴジラシリーズで最多だった。監督は本多猪四郎&有川貞昌。

20世紀末,国連科学委員会(U.N.S.C.)は硫黄島に宇宙港を建設する一方,世界の脅威だった怪獣たちを小笠原諸島の“怪獣ランド”と呼ばれる島に集め,平和裏に管理・研究していた。しかし,突然“怪獣ランド”に謎の毒ガスが充満し,怪獣たちが主要都市に出現して暴れ始める。原因を突き止めるため,国連科学委員会は月ロケット“ムーンライトSY-3”艇長の山辺克男(久保明)に怪獣ランドの調査を依頼する。

早速調査に向かった山辺たちは,コントロールセンターの大谷博士(土屋嘉男)や真鍋杏子(小林夕岐子)ら職員,さらに世界各地に出現する怪獣が,白衣の美女の姿をしたキアラク星人(愛京子)にリモートコントロールされていることを知る。キアラク星人は地球征服を企み,怪獣ランドを占領。怪獣たちを使って人類を脅迫するのだったが…。

本多猪四郎が本編監督に戻り,ドラマ部分の路線修正が感じられる。当時の東宝の特撮映画らしい“ムーンライトSY-3号”のデザインの凝り方も印象深い。が,今見ると,この時期の数作品って,やたらと国連の架空の機関が日本にあり,SFにしても非現実すぎるのが,物語への没入を阻害する。

ちなみに,企画段階での仮題は『怪獣忠臣蔵』。キラアク星人という名前の由来も『忠臣蔵』の吉良上野介の姓“キラ”と悪役の“アク”なのだという。

共演は他に,田崎潤,佐原健二,田島義文 など。


映画クタ評:★★★★


右矢印『ゴジラ』シリーズ作品まとめ