パラサイト/半地下の家族 | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:기생충
監督:ポン・ジュノ
キャスト:ソン・ガンホ/イ・ソンギュン/チョ・ヨジョン
配給:CJエンタテインメント/ビターズ・エンド/NEON
公開:2020年1月
時間:132分




昨年,第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞。第92回アカデミー賞でも大本命の『ジョーカー』を抑え,外国語映画として史上初となる作品賞を受賞したほか,監督賞,脚本賞,国際長編映画賞の4部門に輝くなど,世界的に注目を集めた『パラサイト』を今夜は紹介。

これまでに何度も事業に失敗し,失業中だが楽天的な父キム・ギテク(ソン・ガンホ),元ハンマー投げのメダリストで夫に強く当たる母チュンスク(チャン・ヘジン),そして大学受験に失敗続きの息子ギウ(チェ・ウシク)と美大を目指す娘のギジョン(パク・ソダム)の4人が暮らすのは,半地下の薄暗い貧乏アパート。しがない内職で糊口を凌ぐ日々だったが,ある日ギウのもとに家庭教師の話が舞い込む。エリート大学生の友人ミニョク(パク・ソジュン)から,留学中の代役を頼まれたのだ。

さっそくギウは経歴を偽り,IT企業の社長パク・ドンイク(イ・ソンギュン)とその家族が暮らす高台の大豪邸へと赴く。すぐに若く美しい妻ヨンギョ(チョ・ヨジョン)と高2の娘ダヘ(チョン・ジソ)の信頼を得たギウは,今度は言葉巧みに妹のギジョンをダソン(チョン・ヒョンジュン)の美術の家庭教師として家族に紹介し,パク家に招き入れることに成功する。こうして,少しずつパク家の中に自分たちの居場所を確保していくキム一家だったが…。

コミカルに,スリリングに,そして鮮烈に“格差”を視覚化した作品だ。ユーモアとサスペンスを見事に調和させ,中盤にはすでに完成する“パラサイト計画”を,痛快なブラック・コメディで魅せる。ところがこれで終わらない。タイトルの『パラサイト』『半地下の家族』が見事にダブル・ミーニングを成していると判る後半に待つのは,スリラーとバイオレンス。全体を通してエッセンスとなる“雨”と“階段”と“桃”と“体臭”を感じながら,ようやく静かなエンディングを迎える頃に,見る者全ての中に,作品の印象がパラサイトしているはず。

個人的に,韓国人俳優の演技が馴染めないのと,公開後のPRで領土問題を絡めた発言が出たのが残念で★1つ減らしてしまったが,作品としては秀逸だ。


映画クタ評:★★★★


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