鋼の錬金術師 | p・rhyth・m~映画を語る~

p・rhyth・m~映画を語る~

メインブログ【くた★むび】



英題:FULLMETAL ALCHEMIST
監督:曽利文彦
キャスト:山田涼介/水石亜飛夢/本田翼
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2017年12月
時間:133分




古代ギリシアのアリストテレスらは,万物は火・気・水・土の4大元素から構成されていると考えた。ここから卑金属(金・銀以外の金属)を黄金に変成させようとする“錬金術”が生まれる。“錬金術”はヘレニズム文化の中心であった紀元前エジプトからイスラム世界に伝わり発展。12世紀にはヨーロッパでもさかんに研究されるようになった。しかし,17世紀後半になると錬金術師でもあった化学者のロバート・ボイルが4大元素説を否定。アントワーヌ・ラヴォアジェが著書で33の元素や“質量保存の法則”を発表するなど,錬金術は近代化学や自然科学へと変遷していった。

この『ハガレン』の舞台は19世紀,産業革命期のヨーロッパ。現実には錬金術が衰退している時代だが,物語世界では錬金術と言うよりもむしろ魔法に近い存在となっている。ザックリ言うと,物質の構成や形を変えて別の物に作り変える技術とそれに伴う理論体系を扱う学問で,等価交換を基本としている。原作は,2001~2010年に『月刊少年ガンガン』で連載され,テレビアニメ版も大ヒットを記録した荒川弘の人気コミック。監督は『ピンポン』(2002年・アスミック・エース)や『あしたのジョー』(2011年・東宝)の曽利文彦。

幼くして錬金術の天才的な才能を見せるエド(山田涼介)は弟アル(声・モーションキャプチャー:水石亜飛夢)と共に,亡き母を生き返らせようと“人体錬成”の理論にたどり着く。しかし錬成は失敗し,代価としてエドは左脚を,アルは身体全部を“持っていかれて”しまう。瀕死のエドはとっさに自身の右腕と引き替えにアルの魂を錬成し,近くにあった鎧に定着させる。

時が経ち,右腕と左脚に幼馴染みのウィンリィ(本田翼)の作った鋼鉄の義肢を装着し,国家錬金術師となったエド。人は彼のことを“鋼の錬金術師”と呼んだ。鎧の姿の弟アルを連れて,失った身体を取り戻すため,そのカギとなる伝説の“賢者の石”を求めて旅を続けるエドだったが…。

もはや「人気漫画の実写化は許せない!」などと物分かりの悪いことを口にするつもりはない。アメリカではマーベルのように,会社ぐるみで映画製作にシフトし大成功を修めている例もある。要は“映画としていかに見る者を取り込むか”であって,いくらVFXが進歩したからと言って,原作全編を丸ごと実写化なんて尺的に無理なので,2時間でどう見せるか? が,実写化のツボだと思う。

しかしこの作品,原作を知る人には違和感があるし,原作を知らない人には判りづらい。“売り”とするオール・イタリア・ロケも配役も,VFXを駆使しちゃえば何とでもなっちゃいそうだし,何より,「何でそのシーンを選んで繋いじゃったかな?」って不思議が広がるのが残念。若手俳優の頑張りは見てとれるし,ストーリーも悪くはないので,そこそこは楽しめるのだけれど…。

出演は他に,ディーン・フジオカ,小日向文世,國村隼,佐藤隆太,大泉洋,松雪泰子など。


映画クタ評:★★★☆☆


右矢印國村隼作品まとめ

右矢印小日向文世作品まとめ

右矢印大泉洋作品まとめ

右矢印石丸謙二郎作品まとめ

右矢印本郷奏多作品まとめ

右矢印松雪泰子作品まとめ

右矢印佐藤隆太作品まとめ

右矢印山田涼介作品まとめ

右矢印本田翼作品まとめ