ジャンヌ・ダルク | p・rhyth・m~映画を語る~

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原題:The Messenger: The Story of Joan of Arc
監督:リュック・ベッソン
キャスト:ミラ・ジョヴォヴィッチ/ジョン・マルコヴィッチ/フェイ・ダナウェイ
配給:GBVI/SPE/コロンビア映画
公開:1999年12月
時間:158分




バイオハザード』のアリスとなる3年前,まだ23歳のミラを初めて観たのがこの作品だった。15世紀から現在に至るまでフランスの国民的ヒロインであり続け,カトリック教会における聖人でもあるジャンヌ・ダルクの19年の生涯を描いた1本だが,ただ歴史を追っているわけではなく,リュック・ベッソン監督の視点で,ジャンヌ・ダルクを“1人の少女”として捉える。

近作の『LUCY/ルーシー』にも共通するが,ベッソン作品のヒロインたちは独特の存在感と魅力を持っている。彼女たちは考えたりしない。考えていたら手遅れのような緊迫した状況や,自分の世界とは異質過ぎて考えることが無意味な環境に放り出される。そんな極限の状況で,ヒロインたちは野性的な本能や内在する力に頼るしかなくなり,適応し,進化してゆく。その様子を撮り,組み立てることがベッソン監督の最大の興味で,成績や批評なんかには目もくれない。この作品も赤字興行だったのだが,歴史の寵児ジャンヌ・ダルクを残した映画として,そしてミラ・ジョヴォヴィッチの代表作の1つとして,世界中の記憶に刻まれている。

15世紀,英仏百年戦争下のフランス。小さな農村に生まれた信仰深い少女ジャンヌ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は,村を英国軍に焼き討ちにされ,目の前で姉を虐殺されるという悲劇に見舞われる。心に傷を負い,教会の神父にやり場のない感情をぶつけるジャンヌ。彼女のあまりの悲しみを目の当たりにした神父は,彼女に「いつか神が,お前を必要とする日が来る」と言う。

17歳を迎えて神の声を聞き,シノンの城で王太子シャルル(ジョン・マルコヴィッチ)に謁見する。自分は神の使者だと語るジャンヌに国母ヨランド・ダラゴン(フェイ・ダナウェイ)と重臣らは不安を抱きつつも,彼女に軍を率いることを許す。銀の甲冑に身を固めたジャンヌはデュノア伯ジャン(チェッキー・カリョ)らが待つ前線に向かい兵士を鼓舞。激戦のさなか,矢に胸を貫かれながらも命を取りとめ,英国軍を退却させた。この勝利で王太子はシャルル7世として即位。その間もジャンヌは進撃を続けるが,ヨランドらは次第にジャンヌの人気を危惧し始めるのだった…。

物語は宗教と神の存在を絡めながら進行するが,後半では,ジャンヌは神の使いではないと否定的に描かれている。自分の神秘的な体験が,啓示なのか,自分が見たいものを見ただけなのかと葛藤するジャンヌは,自分を信じる道を選ぶ。ジャンヌの良心を演じるのは名優ダスティン・ホフマン。

英国と通じていたボーヴェ司教ピエール・コーション(ティモシー・ウェスト)によって異端審問にかけられ,異端として1431年に19歳で火刑に処せられたジャンヌ。その25年後に復権裁判が行われ,ジャンヌの無実と殉教が宣言された。さらに1909年に列福,1920年には列聖され,フランスの守護聖人の1人となっている。


映画クタ評:★★★★


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『ジャンヌ・ダルク』
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