アイアムアヒーロー | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:佐藤信介
キャスト:大泉洋/有村架純/長澤まさみ
配給:東宝
公開:2016年4月
時間:127分




「ようこそ絶叫のZQN(ゾキュン)パニックへ」のキャッチに誘われて体感してきた。仕掛けるのは『GANTZ』『図書館戦争』の佐藤信介監督。観る者の代表としてパニクってくれるのは大泉洋。原作は2009年から連載中の花沢健吾による大ヒット漫画らしい。

鈴木英雄(大泉洋)35歳,職業は漫画家アシスタント,彼女とは破局寸前。そんな彼の平凡な毎日が,ある日突然,終わりを告げる。徹夜仕事を終え,アパートに戻った英雄の目に映ったのは,彼女てっこ(片瀬那奈)の“異形”の姿。襲われかけるが辛くも逃げ出した英雄は,同じように異形の者が人々を次々と襲い,襲われた人間もまた異形の者へと変貌していくさまを目の当たりにする。

やがてそれは“ZQN(ゾキュン)”と呼ばれ,謎の感染パニックが日本中で起きていることが分かってくる。標高が高いところでは感染しないという情報を頼りに,逃げる途中で出会った女子高生・比呂美(有村架純)と共に富士山に向かう英雄。さらに元看護師・藪(長澤まさみ)も加わり,生き残りを賭けた極限のサバイバルが始まる。果たして彼らは,この変わり果てた日本で生き延びることが出来るのか。そして,英雄は,ただの英雄(ひでお)から本当の英雄(ヒーロー)になれるのか…!?

このZQNが厄介で,頭部を完全に破壊するか,斬首など頸椎を胴体から切り離さない限り活動を停止しない。特に後半,ゾンビとはいえ頭部をショットガンでブッ飛ばされたり,打ち砕かれたりが連発するR15+なので,苦手な方にはお薦めできない。

大泉洋の真に迫る臆病さと,リアル過ぎるZQNとの格闘シーンは,世界的にヒットした『アイ・アム・レジェンド』や『ワールド・ウォーZ』を凌いだかもしれない。日常が失われてゆく街中やタクシーのシーンでは思わず「おーっ!」と声を上げたり,ピクっとのけ反らされてしまったし,富士のアウトレットモール屋上に籠城する非感染者コミュニティでの極限の人間模様も,興味深く見入ってしまう。

しかし,原作が未完結なせいか,続編狙いなのか,ラスオチがスッキリしない。観る者を非日常の世界に誘い込んだまま,ZQNそのものの状況も,比呂美のその後も,藪との関係も,伏線かと思えたシーンさえ未回収のままエンディングを迎え,ただのパニック映画で終わってしまう。いつかこの“寸止め感”が解消される続編に期待したい。

佐藤監督といえば,次作は10月29日公開の『デスノート Light up the NEW world』。そろそろ10年前の前作を復習しとこっかなと思っている。


映画クタ評:★★★★


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