オリンピックの身代金 | 乱読日記

乱読日記

ジャンル問わず、気の向くままに読んだ本の記録。

最近はさぼりがちの更新ですが、気の向くままにつづっていきます。

オリンピックの身代金 オリンピックの身代金

by G-Tools


奥田さんはいままで、「空中ブランコ」シリーズ「ガール」など、
軽めの話しか、読んだことがなかったのでびっくりです。




東京オリンピックを舞台として、
マルクス主義と自由主義と社会主義がでてきます。
頭が一瞬くらくらしました。


一応大学時代は社会階層論が専攻(ということになっている)けれど、
それでも理解するのに必死。
まぁ本質飛ばしても、おそらく愉しむことはできたかとは思うけど。。


途中で島崎に感情移入をしてしまったせいか、
最後は島崎がつかまらないで欲しかった。。
淡々と、一人自由主義というなの社会主義に戦っているところが、
かっこよいというか。
(オリンピック開催直前はもう社会主義でしょうね、、、これ。)



自由主義をうたっていながら、社会主義であるという矛盾に
島崎はたえられなかったんじゃないかとちょっと思います。


きっともし完全な自由主義であったら。
這い上がることができ、最大の能力主義の世界であったら。
きっとテロを起こすことはなかったのかなと思います。



つかまって欲しくなかった。
挫折して欲しくなかった。
最後まであの淡々とした感じで、どこに帰結するのかを描いて欲しかった。
一度感情移入してしまった者のわがままですかね。これは。
いつまでも逃走劇は続くものではないけれど、
いつまでも続いて欲しかった。
淡々と戦い続けて欲しかった。


ラストなんで、白い運動靴を選んじゃったんだろう。
そうしなければ大丈夫だったのに。
なんでハンチング帽かぶり続けたのだろう。
それなければ気づかれなかったのに。
不条理なのは社会だけじゃない。
人間そのものが、よくわからないというメッセージなのでしょうか。。。



でも。。
戦いつづけてほしかった。