オリンピックの身代金
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奥田さんはいままで、「空中ブランコ」シリーズ「ガール」など、
軽めの話しか、読んだことがなかったのでびっくりです。
東京オリンピックを舞台として、
マルクス主義と自由主義と社会主義がでてきます。
頭が一瞬くらくらしました。
一応大学時代は社会階層論が専攻(ということになっている)けれど、
それでも理解するのに必死。
まぁ本質飛ばしても、おそらく愉しむことはできたかとは思うけど。。
途中で島崎に感情移入をしてしまったせいか、
最後は島崎がつかまらないで欲しかった。。
淡々と、一人自由主義というなの社会主義に戦っているところが、
かっこよいというか。
(オリンピック開催直前はもう社会主義でしょうね、、、これ。)
自由主義をうたっていながら、社会主義であるという矛盾に
島崎はたえられなかったんじゃないかとちょっと思います。
きっともし完全な自由主義であったら。
這い上がることができ、最大の能力主義の世界であったら。
きっとテロを起こすことはなかったのかなと思います。
つかまって欲しくなかった。
挫折して欲しくなかった。
最後まであの淡々とした感じで、どこに帰結するのかを描いて欲しかった。
一度感情移入してしまった者のわがままですかね。これは。
いつまでも逃走劇は続くものではないけれど、
いつまでも続いて欲しかった。
淡々と戦い続けて欲しかった。
ラストなんで、白い運動靴を選んじゃったんだろう。
そうしなければ大丈夫だったのに。
なんでハンチング帽かぶり続けたのだろう。
それなければ気づかれなかったのに。
不条理なのは社会だけじゃない。
人間そのものが、よくわからないというメッセージなのでしょうか。。。
でも。。
戦いつづけてほしかった。