十六歳のアメリカ ニュー・ファミリー 二四、馬小屋で 78 | 六月の虫のブログ

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 ビールで盛り上がった頃、ビル・ザック (Bill Zajc) が女の子を二人連れて到着した。ビルはリックより背も高く、体重もあった。体重は二百キロ以上あるように見えた。これだけ太っている人間は、日本では見たことはなかった。彼が連れてきた女の子たちは、もう既にアルコールを飲んでいたらしく、出来上がっていた。パーティー会場は二階にあるスコットの部屋に移った。ステレオのボリュームを上げて、部屋を暗くした。すると、ビルはジョイントを取り出し、火を付けた。彼は、それを目一杯吸い込むと、女の子の一人に渡した。彼女もまた、深く吸い込み次の人に渡した。デイヴは回ってきたジョイントを吸うと、ボクに渡した。ボクは付き合い程度に吸って、スコットに渡した。ボブは、吸い込んだ煙をその部屋に遊びにきていたスコットの犬に向かって吹き掛けた。それを見ていたみんなは、面白がって犬に煙を吹き掛けた。スコットは、部屋を真っ暗にしてストロボ・ライトをつけた。光が点滅する中、犬は非常に驚いた表情を見せ、みんなの笑いを誘った。

 ビルの連れて来た二人の女の子はベッドに上がり、みんなのリクエストでキスし合って、じゃれついていた。点滅した光の中で見る彼女たちの動きは、みんなの興奮を誘ったらしい。ボブが女の子の一人にちょっかいを出し始めた。ボクは、シェリーを探しにキッチンに降りた。彼女は、ボクの顔を見るなりコートを着て外に出た。ボクも自分のコートとビールを持って、彼女の後を追った。彼女は馬小屋の一番奥に毛布を敷いて、待っていた。ボクはビールを彼女に勧めたが、彼女は黙って首を振りボクを手まねいた。

 二人とも寒さを忘れるくらい、興奮していた。後で考えると、うまくいったのが不思議なくらいだ。馬小屋にいたのは、多分三十分くらいだったと思う。ボクがそろそろ家に戻らないとみんなが不思議に思うとシェリーに言った。すると彼女は、ボクの飲み干したビールの空き缶を持って家に入った。彼女と入れ代わりに、デイヴが外に出てきてボクに話しかけてきた。彼は、ボクが外で何をしているのか尋ねた。ボクは、デイヴの方は見ずに遠くを見つめたまま、酔いを覚ましているんだと返事をした。事実、そろそろ酔いを覚ます時間だった。デイヴはボクが大丈夫だと思ったのか、家に戻って行った。ボクは、気温マイナス二十度をこれほど清々しく感じたことはなかった。

 余談だが、ボクがリックのシェリーに対する気持ちの凄さを知ったのは、ずっと後のことだ。ボクがカンカキーを去った後、シェリーをホームカミング・ダンスに連れて行ったのは、デイヴだった。信じられなかったが、本当だ。この時、リックはデイヴにシェリーに手を出さないという約束をさせたらしい。また、彼女が高校を卒業した後も、リックは彼女を諦めきれず、毎週彼女の元に通ったらしい。彼女は、リックには指一本触れさせず、付き合いたければ、痩せるよう彼に言ったらしい。ボクが大学に入ってから、リックに再会した時は非常に驚いた。デイヴから噂は聞いていたが、高校時代のリックの面影はなかった。彼は、ボクより小さくなっていた。体重は、まだボクよりあったかもしれないが、背がボクより低い分、ボクより小さく見えた。以前から、ボクより背が低かったのは知っていたが、それを実感するのはその時が初めてだった。結局、痩せてもシェリーには振られた彼だが、痩せたお陰で良い彼女ができて結婚したんだから、由とするべきか。また、大学時代にシェリーと再会した時も少し驚いた。彼女の顔はまだ子供っぽかったが、身体は完全に成長していた。お尻も丸みをおび、胸は異常に大きくりっぱになっていた。リックが彼女をしつこく追い回すのもうなずける成長振りだった。


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シェリー。このイアブックの写真、彼女はボクにプレゼントしてくれた。財布に入れられるカードサイズのカラー写真を…