十六歳のアメリカ ニュー・ファミリー 二四、馬小屋で 77 | 六月の虫のブログ

六月の虫のブログ

ブログの説明を入力します。

 いよいよスコットの家でパーティーすることになった。その週末、彼の両親や他の兄弟たちは、親戚の家に泊まりがけで遊びに行くことになっていた。前日の金曜日の学校からの帰り、いつものようにシェリーと手で遊んだ後、ワドリー家の前に着くと、いつもは助手席を倒すと前屈みになってわざわざ車から降りないシェリーが車から降りた。ボクは車から降りて、彼女と向かい合った。そして、ボクが彼女の目を見て「また明日」 (”See you tomorrow!“) と言うと、彼女は「はい、明日ね」 (”Yes. Tomorrow.”) と微笑んだ。

 次の日の三時頃、デイヴ、リックとボブが迎えに来た。ボクたちは、車で三十分程行ったところにあるハンバーガー・ショップで腹拵えをした。パーティーにはボブの友達のビルが女の子を二人連れてくるらしい。いつもならどんな女の子が来るのか、ボブを追及するボクだが、この日ばかりは他の女の子のことはボクの意識の中にはなかった。

 とうもろこし畑の真ん中にあるスコットの家が見えてきた。ボクたちを乗せたボブの車は、左折してウィラー家の私道に入った。車が敷地内に入ると、ボクの視線は馬小屋に注がれていた。小屋の前には白い馬が一頭つながれていた。馬は白い息を吐いていて、実に寒そうだった。車を降りると、スコットとシェリーが出迎えてくれた。ボブとデイヴは、車のトランクからビールを取り出し、家の中に運んだ。ボクは、スコットと馬の方へ歩いて行った。スコットはその馬を撫でながら、その馬はシェリーの馬だと教えてくれた。コートを着ていないスコットが寒そうに見えたので、ボクは家に入ろうと彼に言った。

 キッチンでピザをつまみながらビールを飲んで、みんなで馬鹿話をした。リックは、シェリーに積極的に話しかけていたが、彼女は上の空だ。ボクと目が合うと彼女は微笑み、ボクも彼女に微笑み返した。これも他のみんなには悟られないように、気を使った。



スコットの家族はみんな一人ずつ馬を持っていた。この日、なぜ、シェリーの馬だけが寒い小屋の外にいたのかはわからない。