2011年産もリーザーは上々
昨年から今年にかけて2010年産リースリングを手当たり次第に飲んでみた結果
自分の中で密かにブレイクしたのがモーゼルのシュロス・リーザー醸造所 である。
当主であるトーマス・ハーク氏は特に甘口リースリングで評価の高い造り手だが
モーゼルらしい爽やかで時に強烈な酸と、土壌のシーファー味を見事に調和させた辛口をも造ってみせる。
このリーザーというかつての銘醸を、親父さん譲りの非凡な才能で見事に復活させた手腕はさすがだが
特にこの2010年産辛口グーツ 、辛口シュペートレーゼ 、そして特級畑ニーダーベルク・ヘルデンGG は
いずれも出色の辛口リースリングであった。その点では実家フリッツ・ハークを遥かに凌ぐ印象である。
専門的な事は解らないが、そもそもリーザー村の畑が辛口造りに適した土壌だったという事なのだろうか。
とにかくトリッテンハイムのアンスガー・クリュッセラートと甲乙付け難いモーゼル最高の辛口だと思う。
だが如何にトーマスが素晴らしい造り手であっても、2011年という難しい収穫年には苦労したに違いない。
まぁ、あんまり期待しないで2011年産のグーツトロッケンを開けてみた。
スクリューキャップ。緑がかった明るいレモンイエロー。注ぐとグラス壁に気泡がポツポツ付着。
トップノーズは土臭い鉱物香で、これに洋梨や青リンゴ、仄かにメロンが香る。
アタックの酸のボリュームがなかなか豊かで、次いで凝縮感のあるミネラル。
両者の相乗効果で舌全体に苦み走った刺激が中盤からアフターへと持続する。果実味は中肉で程好い。
総じてミネラルの量感の非凡なところが2011年というヴィンテージを物語っているが
その割には酸が秀逸である。歯にもちょっと染みるし。但し単調なのかちょっと飲み飽きするなぁ。
翌日の凝縮感は圧巻。酸と果実味の引き締まったバランスがミネラルだけの突出を許さないという格好で
辛うじてアフターにだけ、柑橘の薄皮的な苦み走ったミネラル味がたなびく。軽いシーファーの香味。
やっぱりトーマス、なかなかやるなぁ。これなら上のキュヴェでもまた目に物見せてくれるに違いない。85/100
(過去のヴィンテージ→2010年産 、2009年産 、2007年産 )
2011 Riesling Qualitaetswein trocken
Weingut Schloss Lieser (Lieser/Mosel)
A P Nr 2 589 314 01 12,Alc 11.5%vol,10.20€