雑色砂岩の上に果実味 | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

雑色砂岩の上に果実味

クリスマスだからと言って我が家の食卓が特別変わることはない。イブだからと言って殊更高いワインを開けることもない。ただ翌日仕事が休みだったので普段よりも晩酌にゆっくり時間をかけるだけのことである。今夜は我が家の冬の定番、豚しゃぶ鍋。この時期寒い日には何かと言うとすぐコレなのだが、甘口でなければ赤白問わずワインとの相性も良く、ある程度酸の効いたリースリングならなお良い。豚肉や豆腐、野菜などに適度に熱が入るまではまずグラスのリースリングを愉しみ、次いで温かいものを食べつつ冷えたリースリングを飲む。そしてまた次が煮えるまでの待ち時間をリースリングと過ごす。このゆっくりとした時間の流れが実に良い感じなのである。ただこの幸せな時間の唯一の欠点と言って良いのが「撃沈」という結末で、情けないことに今夜もまたやってしまった。サンタが実在するなら「撃沈して転寝しても風邪ひかないような寝袋」を所望したいものである。


さて今夜の相棒は、バッサーマン・ヨルダン醸造所 の2007年産ダイデスハイマー・モイスヘーレ・カビネット辛口。先日ここのヘアゴットザッカー・カビネット辛口 がパッとしなかったので、1.3ユーロお高いこれをこの造り手の2007年産仕切り直しとしたい。


新・緑家のリースリング日記


スクリューキャップ。淡黄色。香りはアプリコットが主体。引き締まった酸はなかなかのボリューム感と力強さ。フレッシュで凝縮された果実味。それでいて軽めの印象で、小ぶりながらも充実した密度と内容。のっぺりとしたミネラルは分厚い印象で、砥石を連想させる。翌日ははち切れんばかりの果実味が前面に出て少々豊満過ぎる気がしないでもない。香りも初日よりは熟した雰囲気になっており、ボトルの中で時間とともに熟しているから不思議だ。ただこうなるとベースのミネラル味を細かく吟味するのが難しい。それにしてもこのモイスヘーレという畑のリースリングは非常に果実味豊かである。造り手は異なっても 、雑色砂岩土壌のミネラルをベースに過剰とも思える果実味 がズッシリと乗っかった豊満な造り。もう少し果実味が大人しくなるまで待った方が愉しめそうではある。84/100


2007 Deidesheimer Maeushoehle Riesling Kabinett trocken

Weingut Geheimer Rat Dr. von Bassermann-Jordan (Deidesheim/Pfalz)

A P Nr 5 106 064 12 08,Alc 11.5%vol,Euro10