さて、前回の日記に引き続き、聖地の二つ目の条件として聖なる水があると思います。
水は、そもそも、命の源、人体の7割が水、地球は水の惑星と、人・生命の中心。稲作中心だった日本にとって、水は太陽と共に、日々の糧に必用不可欠。
さらに、浄める、清める、と書くように、水は、清らかなもの、清らかにするものの中心。よって、神社仏閣に見られる手水や、禊ぎといった行為、御神水といった概念がある。
こうして、水は命を育む慈悲や、浄化力、形無くとらわれのない様の象徴にもなり、お寺の中には、水の素晴らしさと水の功徳と呼び、仏の功徳とだぶらせるところも。
こうして、聖なる土地=聖地にも、聖なる水がつきものなのが、自然の理となります。
それは、御神水とされている湧き水だったり、清流・渓流・川の流れであったり、または、神話・伝承のある池や湖、そして滝も。
そして、水の神の象徴として、特に多いのが、龍神。龍神の神話のある聖地が多い。仏教で言えば、弁天様が水の神。
特に日本は、水と森の国とも言われ、豊かな降水量と、それが育む森林。そして、国土全体が海に囲まれた水の国です。さらには、その国土の形が、龍と似ているので、極東の龍とも。水神の国。
天照大神を主神とする太陽の国ではありますが、天照大神と並んで、龍神である大國主命を大国主の大神と呼んで尊ぶ信仰習慣がある。
風水では、清らかな水の流れは、それと共に、生気を運ぶとされます。純粋な自然の中の渓流の側に行くと、なぜか非常に気持ちが良い。
ひんやり、涼しげで、心地よい微細な何かを感じ、近くにたたずんでいると、元気が出てくる。また、冷たいが、手や足を水の流れに付けると、一種の禊ぎとなり、心身が浄化された気分になる。
風水などでは、川の流れが湾曲している場合は、その内側(川の囲まれる側)に、気の流れがたまるという説も。また、二つの川が合流して水が貯まるところも、気の流れがたまる所ではないかと思います。
具体的な聖地と言えば、例えば、奈良の天川。水の神の弁才天信仰のメッカで、天の川と呼ばれる美しい川や大峰修験で有名な山、そして天川弁財天社と、霊気溢れる空間です。近くには御手洗渓谷という渓谷・渓流も。
前回紹介した、諏訪大社の発祥地である前宮の御神水も素晴らしい。 この水の源は、日本最大の地層の断層帯である中央構造線と、フォッサマグナの交点にあるとされます。
その諏訪の真北にあるのが、前回も登場した戸隠で、ここも龍神を祭る水の神の聖地。戸隠山から流れるご神水があります。
日本有数の山岳景勝地の上高地。この梓川の水は、アルプス雪解けの水で、余りにも透明で美しい。触ると非常に冷たいが、禊ぎには良いかも。
諏訪の真西が有名な鹿島神宮。鹿島アントラーズの鹿島。ここには、御水洗池と呼ばれる池と近くに湧き出る御神水があり、非常に神聖。
神聖な池と言えば、出羽三山の羽黒山の山頂の鏡池。日記にでも書きましたが、 不思議な体験をしました。長野の真楽寺の池も御神水が湧き出る聖地。
前回の日記のコメントにあった奈良の三輪山の大神神社にも、有名な御神水があります。大神神社が祭る大國主命は龍神で水の神。近くには弁天様も。
奈良・京都には、天川、三輪山を始め、水の聖地が多い。京都の貴船神社、賀茂神社なども。水の神の神社のラインがあるとも。
湖では、日光の中禅寺湖。これは神秘的な美しさ。特に千手ヶ浜。また、近くの華厳滝は、虹が架かるのが有名で、気に入っています。
また、神秘的な湖と言えば、東北の十和田湖も同様で、龍神の伝説がある。 龍神の伝説・信仰があるのは、諏訪湖や富士五湖も同じ。
滝はなんと言っても、日本最大の滝、熊野の那智の滝が圧倒的。下り落ちる滝の流れを龍神と見る信仰もあり、滝自体がご神体です。
とはいえ、こうした名だたる聖地よりも、前回もお話ししたとおり、皆さんの自宅や故郷の、ないしは、偶然訪れたり知った自然の中にこそ、水の聖地があると思います。
私も、先日、偶然、ひかりの輪の長野の教室近くの渓流に、素晴らしいところを見つけました。非常に小さな渓流ですが、近寄ると非常に気持ちが良く、さらに、二つの川の流れが合流する地点があって、その部分が特に最高でした。
次回は、聖地の大地について書きたいと思います。