キッコーマン野田工場のもの知りしょうゆ館を訪ねましたが、内部は写真不可でしたので、

同じ敷地内で次に訪ねた「御用蔵」の方が醤油造りを思い浮かべやすいかも。
もっとも、昔の古い製法にはなりますけれど。


御用蔵@キッコーマン野田工場


1939年(昭和14年)に建設された「御用蔵」とは、
宮内庁(当時は宮内省)に納める専用の醤油(いわゆる宮内庁御用達)を醸造する

「御用醤油醸造所」の通称であると。


御用蔵入口


元は江戸川べりにあったそうですが老朽化が進んだため、

「しょうゆを仕込む木桶、屋根の小屋組み、屋根瓦、石垣、門など、
再利用が可能なものを活用し、当地に移築し」たのだそうでありますよ。


実際に宮内庁御用の醤油を造る場所は隠されているのでしょうけれど、
見える部分は資料館的に醤油造りのプロセスを見て廻れるようになっておりました。


蒸煮缶と麦炒機


先にも触れたとおりに大豆、小麦、塩が醤油の原料でして、
まずもってこのレトロな機械は右側が「蒸煮缶」(大豆を蒸す釜ですな)、左側が麦炒機です。
これらの機械を通過した大豆と小麦に麹菌を降りかけて、よおく混ぜ合わせるのだそうで。


麹室


麹菌を混ぜた原料は、麹室(こうじむろ)というところに移されます。
左側に積まれたトレイ状の器(麹蓋)に入れ、温度、湿度に気を配りながら、醤油麹にしていくという。


窓の開け閉めや真ん中に置かれている火鉢での微妙な調節が風味を変えるので、
まさしく職人技でもあったことでしょう。


大きな仕込樽


続いて仕込みに掛かりますけれど、いやあ大きな樽ですなあ。
階段を登って、上から覗くとこんな具合。

横溝正史 の猟奇殺人事件で漬け込まれてしまいそうな…と言いますか(例えが悪いですが)。


仕込む原料の投入口


桶に半分ほどの食塩水を入れて、醤油麹を投入すると自然に発酵が進んでいくのだそうな。
これが「諸味」と呼ばれることになりますけれど、樽の全体の諸味が均質なものになるよう
月に一度くらいの撹拌が欠かせないとのことですが、でかいだけに重労働でありましょうね。


圧搾機


1年ほど熟成を重ねた「諸味」はいよいよ圧搾機にかけて搾られます。
いかにもプレス機然とはしてますが、昔は水の圧力を使っていたのだとか。


清澄桶(手前)と火入桶(奥)


搾り出された醤油をまず貯めるのが手前側の清澄桶。
ここで落ち着かせることで、浮き上がる余分な油分と沈殿したものとを取り除くのですな。
最後に清澄桶のお隣、火入桶に移して、加熱殺菌と同時に色味を整えるのだそうでありますよ。


と、このような製造過程ですけれど、宮内庁御用達をこの御用蔵で作っているということは

もしかして今でもこのレトロな製法なのでしょうか。


実はそれより気になったのが原料でありまして、

「もの知りしょうゆ館」の方ではアメリカの大豆畑、アメリカの小麦畑が紹介されていて、

ちらりと「遺伝子組み換えルーレット 」を思い出し少々「う~ん…」と思ったですが、

こちらで造る御用醤油は国産原料を使っているのだとか。

品質にこだわるとやっぱりそうなる?てなところでもありますね。


ですので他のものはとりあえず、売店では

この御用蔵で造られたという「御用蔵醤油」(御用醤油とも違うのかもですが)を

買って帰ることにしたのでありますよ。


キッコーマン御用蔵醤油


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