さらりと歩いてみたシュヴェリン ですけれど、
メクレンブルク・フォアポンメルン州の州都などと言えばいささか大それた感があろうかと。


ですが、日本で言えば県庁所在地と言いますか、
それでも日本の県庁所在地の中で人口が20万人を切った位の

甲府、山口、鳥取という最少三都市に比べ、

シュヴェリンの人口は9万余り、「超高速!参勤交代 」の湯長谷藩ではありませんが、
中小藩の城下町といった方がしっくりくるのかもしれませんですね。


というところで、シュヴェリンのお殿様メクレンブルク大公のおわしたお城へと向かいます。
ですが、そのまま直接行ってはまだ時間が早すぎることもあり、
ここはシュヴェリン・チケット(市内交通が無料になる)を買ったことだし、
ちょっくら市電に乗って、お城の裏側、庭園に回り込んでアプローチすることに。


小さな町はお城の裏の庭先あたりにきますと、すっかり町外れ感があり、
旧市街の建物保存云々といったことと関わりない開発ができるようになるのでありましょうね。
ただ(いつも思うことですが)日本の街並みのように、

それぞれの建物が周囲とマッチしているとか、溶け込むとの考え方がないのとは違いますね。
それだけに、これはこれでモダンで爽やかな感じもします。


シュヴェリン城を裏から望む場所に佇むおばあさん


そんな新しく開発されたと思しき辺りに佇むひとりのおばあさん。
背後の街並みは変わっても、お城だけは変わらない…と眺めやっているかのよう。
こうした像がさりげなくおいてあるのも好感がもてる気がしますですね。


シュロスガルテン側から望むシュヴェリン城


なるほどお城が見えてきました。
湖の中(といっても岸辺には近いですが)の小島に建つ城ですので、
橋を渡らないことにはたどりつけません。
昔はそこれそおとぎ話に出てくるお城のような跳ね橋が掛かっていたのかなと
想像したりもしたですよ。


庭園を通り抜けた先にお城が…


芝生の広がったのどかな庭園を進んでいきますと、
現れたのはフリードリヒ・フランツ2世の騎馬像。


メクレンブルク大公フリードリヒ・フランツ2世騎馬像


先に、19世紀半ばにあった都市計画のことに触れましたですが、
そのときの大公がこの人だったようです。


シュヴェリン城オランジェリー


と、お城の目の前までやってきました。
裏側からのアプローチでしたけれど、城内の博物館に入るには結果的に正解だったですね。
内部ではそれぞれ個性的な部屋の設え、家具・調度から絵画、彫像、
そして実用的な小物に至るまで見ものはたくさんではありますけれど、
いくつかのガイドブックに記載のあるとおり、「王座の間」には「ほぉ~」と。


ただしこう言っては何ですが、贅の凝らし方がいささかちまちましている感無きにしもあらず。
やっぱり地方領主なればこそのつっぱりもあろうかと思ってしまうところです。
が、変にぎらぎらしていたり、派手派手しくない点で「素敵じゃん」と思えるところも多い。
これは、改めて外へ出て城の周りを回ってみて思うところでもありました。


シュヴェリン湖側からシュヴェリン城


シュヴェリン城塔屋


かなり装飾に凝ったところが窺えるのではないでしょうか。
それでも「げっ!」とはならないバランスを保っているというか。
こちらもオランジェリーも悪くないですよね。


シュヴェリン城オランジェリー


と、最後の最後になって本当の正面に回って見ましたですが、思い切りの逆光。
まあ、タイミング的にそういうこともありますよね。


逆光のシュヴェリン城


ですが、ちと諦めきれずに?直射日光を避けるべく回り込んでみると、
こんな全体像を望むことができました。


これぞシュヴェリン城


フランス、ロワール地方の古城めぐりでは必ず立ち寄るであろうシャンボール城。
これをイメージして造られたということが分かるような気がします。


あちらはフランス王たるフランソワ1世(ダ・ヴィンチの庇護者として有名ですね)のお城だけあって、
大きな大きなものでしょうけれど、こちらはほどほどの感じ。
その点でもメクレンブルク大公家は分を弁えていたと言えるのやもしれません。
そんなほどほどの良さを感じつつ、シュヴェリン城を後にしたのでありました。