第28話:カグツチ塔・4~カグツチ塔・5:2/5 | 魔人の記

第28話:カグツチ塔・4~カグツチ塔・5:2/5

★2/5話 無尽光カグツチ★

>カグツチ塔、最上階のさらに上…

光介「…」

>この世界の中心である、カグツチの中に彼らはいた。
いくつもの環が重なっており、それはあたかも星を思わせる。

カハク「…」

コダマ「…」

ウィルオウィスプ「…」

ピシャーチャ「…」

>仲魔たちは皆、言葉を失っている。
この世界に光と力をもたらしてきた、太陽のような存在であるカグツチ…それを目の前にして。

ゴウト「これが…カグツチの本体か…」

ライドウ「…」

>ライドウたちも、この場所の様子に驚きを隠しきれない。
輝くばかりと思われたカグツチの中に、自分たちは入ってしまっているのだ。

光介「…」

>フィフス・バベルは、その中心に向けて一歩前に出る。
巨大な球体の空間であるこの場所は、全てが白く光り輝いている。

カグツチ「おお…まさか、お前がここに来ようとは…」

>巨大な空間の中央。
そこに、カグツチはいた。

カグツチ「力の国…ヨスガを興さんと、我の元に来た…今の今までそう思っていたが…」

>カグツチもまた、巨大な球体であった。
フィフス・バベルたちの目をつぶさない程度に光り輝き、彼らに言う。

カグツチ「どうやらそうではない…お前たちは、ヨスガを求めてここに来たわけではないのか…」

光介「…そうだよ、カグツチ」

>フィフス・バベルは、しっかりとした声で言う。

光介「俺たちは、ヨスガでもシジマでもムスビでもない。完全な自由を求めて来たわけでもない」

カグツチ「むう…」

光介「ただ『トモニ』…みんなと共に進むために、ここに来たんだ」

カハク「…」

コダマ「…」

ウィルオウィスプ「…」

>いつもは饒舌な仲魔たちも、この時ばかりは黙り込んでいる。
それだけ、この場は緊張で張り詰めていた。

カグツチ「コトワリに適さぬ存在…それがお前だ、フィフス・バベル。それを分かっていて、我のもとへ来たということか」

光介「そうさ。ここにいるみんなでいろんな場所に行き、いろんなことを感じて…そして乗り越えてここまで来た。残る相手は、お前だけだよ…カグツチ」

カグツチ「…」

>カグツチはしばし黙る。
目などはない球体なのだが、じっとフィフス・バベルを見ているようでもあった。

カグツチ「…この世界に満ちたる破戒…それを引き起こしたのはお前たちだ。その罪がどのようなものか、理解しているのだな?」

光介「罪だとは思っていない…もう、何度も周回する世界は終わる。お前を倒せば、全部終わる」

カグツチ「なるほど…」

>カグツチの光が止む。
今までは光る球体だったカグツチの姿が、よく見えるようになった。

カハク「あ、あれ…」

コダマ「ブロックー?」

ウィルオウィスプ「イッパイ クッツイテル ゾ…?」

>カグツチの表面には、いくつもの線が入っている。
球体にぴたりとブロックがはめ込まれたような姿だった。

カグツチ「…やはり、お前の創世を許すわけにはいかぬ」

>球体から声が響いてくる。
それは厳かにこの空間全体に響く。

カグツチ「ただ共に進むという…そのような不確かな世界を、許容するわけにはいかぬ」

光介「…ああ、わかってるさ」

カグツチ「やはりお前はただの悪魔! 世界の姿を、お前のような者に決めさせるわけにはいかぬ!」

>カグツチの怒声が響く。
仲魔たちは、思わず耳を両手でふさいだ。

カグツチ「お前の心を見た…もし、世界の姿がその心に全て確定していたなら、我も考えたであろう。しかし」

光介「…」

カグツチ「お前の中に、世界を定める決定的なものは何も無い! やはりお前こそが破戒の使者であったか!」

>カグツチは、自らの体から2本の角を突き出させる。
その間を、雷のようなプラズマが走った。

カグツチ「我が怒りの光を受けよ!悪魔よ! そしてその存在を全て抹消されるがよい!」

光介「残念だがカグツチ…俺は破戒の使者じゃない!」

>フィフス・バベルは、背中にある「混沌の翼」を広げる。

光介「俺たちこそが破戒! 俺たちは、使者じゃなくてその王だ!」

カグツチ「笑止! 思い上がりしその翼、我が怒りにて焼き尽くしてくれようぞ!」

>カグツチは戦闘態勢に入る!
それと同時に、周囲の空間が青白く色を変えた!

光介「さあ、最後の戦いだぞ、お前たち!」

カハク「え、ええ…! やってやるわ!」

コダマ「ボク、最後までマイペースでがんばっちゃうぞー★」

ウィルオウィスプ「コレデ キメル ゾ!」

ピシャーチャ「…(ざわざわと心配そうにしている)」

ゴウト「ここで我らが手を出すのは野暮の極み…不測の事態に備え、少し下がるとするか、ライドウ」

ライドウ「…(静かにうなずいた)」

カグツチ「破戒の者たちよ、今ここでその命を終えよ!」

>無尽光カグツチと戦闘開始!

光介「…なんだか、こうやってまともに戦闘をスタートさせるのも久しぶりな気がするね」

コダマ「それは言わない約束だよー。だって、バアル・アバターの時はコースケが勝手に突っ込んじゃったんだからー」

ウィルオウィスプ「チットモ ハンセイ シテ ナイナ」

光介「ごめんごめん。でも、これで最後だ…! みんな、気合い入れて頼むぞっ!」

カハク「ちょ、ちょっと待って!」

>カハクが突然大声をあげた。
手に持っている小さなグングニルを指差す。

カハク「最後の戦いだっていうのに…グングニル、全然大きくならないんだけど!?」

光介「まだカグツチは第1形態だ…ダメージを与えていくと第2形態になる。だから、まだグングニルが大きくならないからって慌てることはないよ」

カハク「そ、そうなの? それだったらいいけど…じゃ、あたしはこれ持ったまま戦うわね」

コダマ「んでさー、作戦はどうするのー?」

光介「カグツチに妙な耐性とかは全くないよ。だから、久しぶりに『いつものように』やっちゃっていい!」

コダマ「うひょー★ んじゃボクはしんくうはーだねー♪」

ウィルオウィスプ「ウォレハ キアイ ツキ ツクモバリ ダナ!」

カハク「あたしはプロミネンスね!」

光介「ああ! 俺はフォッグブレスを限界までかけて、それから気合いを込めてアイアンクロウをぶちかましてやる!」

カグツチ「相談は終わったか…では、行くぞ!」

>カグツチは光を放ち、コダマを狙う!
しかしコダマは避けた!

コダマ「あっぶなー! いきなりなんてびっくりしちゃうぞー★」

光介「だが、お前が避けてくれたことでスキが生まれた! 今のうちに攻めるっ!」

カハク「がっつり燃やしてやるわっ!」

>カハクのプロミネンス!
カグツチの表面がブロック状にはがれる!

カハク「あれ? 弱い…?」

>しかし、はがれた表面はパズルのピースが収まるように元の位置へ戻った。

カハク「…やっぱそんなに甘くないか! 次いっちゃって!」

コダマ「ヒーホー! 今度はボクのしんくうはーだいっ★」

>コダマの真空刃!
またもカグツチの表面がブロック状にはがれ、そして元に戻った。

コダマ「…なんだか、ダメージ与えてる気がしないねー?」

光介「大丈夫だ! 俺たちはここまでずっと強くなり続けてきたんだ…もっと自信を持っていい!」

ウィルオウィスプ「ナラ ウォレ ジシン モッテ キアイ イレルゥゥゥ!!」

>ウィルオウィスプの気合い!
その体に力がみなぎる!

光介「それじゃ俺はフォッグブレスかけさせてもらうぞっ!」

カグツチ「…む」

>フィフス・バベルから吐き出されたフォッグブレスが、カグツチの視界をぼやけさせる!
命中&回避力が下がった!

カグツチ「小癪な!」

>カグツチは大量の炎を呼ぶ!
その全てがフィフス・バベルたちに向けて襲い掛かってきた!

光介「マハラギダイン程度で、俺たちが沈むと思うか!」

カハク「甘いわね!」

コダマ「ドツク名物まんじゅうより甘いぞー★」

ウィルオウィスプ「ドツク ジャナクテ ツクド ダゾ」

>フィフス・バベルたちは余裕をもってそれを避ける!
だが、炎の衝撃で足場が崩れた!

光介「うおっ!?」

>フィフス・バベルは慌てて「混沌の翼」を使い、その場に浮かぶ。
その後で後ろを振り返った。

光介「ピシャーチャ!」

ゴウト「無事だ! 後ろを見ている場合か!」

>ピシャーチャは、ライドウたちに守られてリフト付近に戻っている。
それを確認したフィフス・バベルは仲魔たちに言った。

光介「ここじゃ、ライドウたちも巻き添えになる! カグツチの後ろに回るぞ!」

カハク「りょーかい!」

コダマ「ピシャーチャたち、飛べないもんねー」

ウィルオウィスプ「ワカッタゾ! ダガ…」

>ウィルオウィスプは、カグツチをじっと見ながら旋回している。

ウィルオウィスプ「カグツチ サッキヨリ アカルク ナッテルゾ!」

光介「ああ、なんといってもカグツチはこの世界の光! 自分の都合で勝手に輝きを『進めて』るんだ! 煌天になる前に、第1形態を終わらせたい!」

カハク「コーテンって、月で言ったら満月状態ってことよね? やっぱり一番輝いてる時ってヤバいわけ?」

光介「ヤツだけが使えるスキル、無尽光を放ってくる! 俺たちはここから出られないからな…避けることはできないぞ!」

コダマ「そりゃ大変だー! それじゃ、もっと力込めないとねー!」

>移動していきながら、コダマは真空刃を放つ!
カグツチの表面がまたはがれ、元の位置に戻ろうとする。

ウィルオウィスプ「イマ ダ!」

>そこを逃さず、九十九針を撃った!
表面の奥へと数多の針が入り込む!

カグツチ「ぬぅっ!?」

>さすがにこれにはカグツチも面食らったようだ。
上部に伸びつつあった2本の角が、動きを止める。

カハク「ウィル、ナイス! 今のはいいわ!」

>そう言いながら、彼女も時を逃さない。
力いっぱいプロミネンスを叩き込んだ!

カグツチ「なんだと!」

>カグツチの表面は、さらに大きくはがれる。
それはまた戻ろうとしていたが、そこに…

光介「ウィルが見出したこのチャンス、無駄にはしない!」

>フィフス・バベルがスピードを上げて突っ込んだ!
戻ろうとする表面組織を殴り飛ばし、むき出しになった部分へアイアンクロウを叩き込む!

カグツチ「ぐぅお!」

光介「よし! いい感じだぞ…この調子で、一気に押し切るっ!」

>フィフス・バベルは、仲魔たちのそばへと戻る。
その頃には、ピシャーチャたちの反対側へ移動し終わっていた。

光介「今まではただ単に殴ったり魔法で攻撃するだけだったけど…今は違う! 破戒の力のおかげで、みんなで連携して攻撃することができる!」

カグツチ「おのれ…!」

光介「原初の光、カグツチよ…俺たちは、お前すらも超えるっ!」

コダマ「ボクらの気分、ノッちゃってるよー★」

カハク「一気に決めてやるわ!」

ウィルオウィスプ「ソレナラ アレシカ ナイ ナ!」

カグツチ「破戒の力を使うか…! そうはさせぬ!」

>カグツチは、突如として強く光る。
あまりに強い光が、フィフス・バベルたちの視界を完全なる白へと変えた!

光介「うぐっ!?」

コダマ「まぶしー??」

カハク「こ、これじゃ見えないわ!」

ウィルオウィスプ「マズイ!」

カグツチ「我が光にて、浄化されよ! 忌まわしき悪魔めェェェェ!!」

>視界を奪うだけの光に紛れ、何かが飛んでくる。
それは的確にフィフス・バベルたちをとらえ、その体を吹き飛ばした!

光介「うおおおおっ!」

>空間の外壁に、体を叩きつけられる!
仲魔たちも散りぢりに飛ばされてしまった。

光介「く、くそ…無尽光、か!」

>光はまだ強く、目を開けることすらできない。

カハク「ちょ、こんなのアリなの!?」

コダマ「全然見えないよー!」

ウィルオウィスプ「ウロタエル ナ! コエト ニオイデ イバショ ワカル ゾ!」

>ウィルオウィスプは叫び、一番近いコダマのそばへと飛んでいく。

ウィルオウィスプ「ダイジョウブ カ?」

コダマ「あー、ウィルだー★ 見つけてくれて、ありがとちゃーん♪」

カグツチ「お前たちのような者に、創世をさせるわけにはいかぬ…このボルテクスはまだ存続させねばならん! 我が意に足るコトワリを持つ者が現れるまで!」

>全てを真っ白にする光の中、カグツチはさらに何かを飛ばしてくる!
フィフス・バベルたちは、外壁とその何かにはさまれて動けなくなった!

光介「な、なんだこれは…! 光、なのか!?」

>思わずフィフス・バベルは、自分を押さえつけているものに手を伸ばす。
しかしそれに触れることはできない。

光介「俺に触れている感触はちゃんとある! なのに、俺がどんなに手を伸ばしても触れない! くそ、目で見ることさえできれば、これが何なのかわかるっていうのに…!」

カグツチ「我は光…! 全てを照らし、影を滅する光なり!」

>カグツチは叫び、フィフス・バベルたちにさらなる光を放つ!

カグツチ「受けよ! 無辺無尽光!!」

光介「なに! 第1形態で放ってくるってのか!」

>カグツチの無辺無尽光!
外壁に押し付けられたフィフス・バベルたちに向けて、カグツチを中心とした光の衝撃波が襲い掛かる!

光介「ぐううぅぅう!!」

カハク「くぅぅ…!」

コダマ「うわーぁぁ?!」

ウィルオウィスプ「ヌグゥゥゥ!」

>カグツチのいる空間全てに、無辺無尽光が襲い掛かった!
それは、リフト前にいたライドウたちにも向かう!

ライドウ「!」

>目を閉じたまま、とっさに霊刀・明星暁を抜き、ピシャーチャの前に出て守る構えを取る!
ライドウの前に光の盾が現れ、無辺無尽光を周囲へと受け流した!

ゴウト「全く何も見えぬが、どうやらライドウに助けられたか! しかし、フィフス・バベルたちは…」

光介「ぐううぅ!」

>体を押しつぶそうとする衝撃波。
それに彼らは何とか耐えている。

カグツチ「むぅぅ…! まだ足りぬか!」

>忌々しそうに言うカグツチだったが、どうやらこれ以上光を保っていられないらしい。
無辺無尽光は、やがてゆっくりと収まってきた。

光介「く…!」

カハク「あぐっ…」

コダマ「うぅー…」

ウィルオウィスプ「ク クソ…!」

>自分たちを押しつぶそうとする光が止む。
だが彼らは、滞空しているのがやっとの状態にまで追い込まれていた。

光介「く、くそ…! 一気にいけるどころか、こっちが一気にピンチになってしまった…! やはり最後の相手、油断はできないってところか…!」

カハク「じょ、冗談じゃないわよ…! なんなの、あの光!」

コダマ「ボク、ぺちゃんこになりそうだったよー」

ウィルオウィスプ「トニカク タイセイヲ タテナオス ゾ!」

>ウィルオウィスプは、そばにいるコダマを連れてカハクのそばへと行く。

ウィルオウィスプ「カハク ダイジョウブ カ?」

カハク「目、閉じてたっていうのにチカチカしてるわ…」

コダマ「ボクもチカチカー★ お星さん飛んでるっぽいよー♪」

ウィルオウィスプ「ハカイノマジン ツカウニハ ミンナ アツマラナイト ムリ。 コースケノ トコ イクゾ!」

カハク「そうね! もう一発食らう前に、さっさと終わらせないと…これはヤバいわ!」

>仲魔たちは、少し離れたフィフス・バベルがいる場所へと飛んでいく。
だが、光によって視力がおかしくなったらしく、いつものようには飛べない。

カハク「く、くそ…目が」

ウィルオウィスプ「シンパイ スルナ! コースケノ ニオイ ウォレ チャント ワカルゾ!」

コダマ「さすがウィルだねー♪」

>コダマは嬉しそうに言いながら、ちらりとウィルオウィスプを見る。

コダマ「…?」

>チカチカする目をこすって、もう一度見た。

コダマ「あれー?」

ウィルオウィスプ「コダマ ドウシタ?」

コダマ「ボク、いよいよ目がおかしくなっちゃったみたいだよー? ウィルの体が、半分見えなくなってるー」

カハク「え?」

ウィルオウィスプ「!」

>ウィルオウィスプはそう言われ、思わず自分の体を見る。
彼もまた視力がおかしくなってはいたが、別の感覚でそれをはっきりと悟った。

ウィルオウィスプ「(ウォレノ ニオイ… ウォレノ オト… カンジラレ ナイゾ!)」

>自分を形作っているもの。
それが大幅になくなっていることに、彼は今やっと気付いたのだ。

カハク「ウィルの体がなくなってるって、どういうことよ?」

コダマ「ボクにもよくわかんないー」

ウィルオウィスプ「ソ ソンナ コトヨリ サッサト コースケノ トコ イクゾ!」

コダマ「そだねー★ 早くカグツチ倒しちゃわないとねー!」

カハク「そうよ、ウィルの体がなくなるとか、そんなことあるわけないじゃない。とにかく今は、カグツチを倒さないと!」

>コダマとカハクは、また気持ちを戦闘へと切り替える。
その様子を見て、ウィルオウィスプはほっと胸をなでおろした。

カグツチ「…かくなる上は…!」

>一方、カグツチはその体を怒りに震わせている。

カグツチ「我が真の姿を、そして真の力をもってお前たちを滅ぼしてくれる!」

>カグツチの体が、一気に分解される!
それは小さなブロック状となり、それが組み合わさることで別の姿へと作りかえられていく!

光介「…こ、ここで第2形態か…!」

>おかしくなった視力で、どうにかカグツチの姿を見るフィフス・バベル。
その目にはぼんやりと、その姿が見えていた。

カグツチ「…さあ、破戒の悪魔たちよ…これで終わりにしよう!」

>カグツチの姿は、球体から老人の顔へと変化する。
鈍く光を放ちながら、自分の正面にいるフィフス・バベルへと叫んだ。

カグツチ「我が光は広大無辺、どのような場所にでも届く…無尽の光に照らされ、滅びるがいい!」

>カグツチは自らの体に光をまとい始める。

光介「く…!」

>フィフス・バベルは、カグツチがさらに無辺無尽光を放つつもりであることを悟る。
だが、その表情は沈んではいない。

光介「カグツチ…わかっているのか! 俺を破戒の者だと言ったが…お前もまた破戒を犯している! 無辺無尽光は第1形態では放てないものだ!」

カグツチ「我が力が破戒による歪みだとでも言うのか…フフ」

>カグツチは笑いながら言う。

カグツチ「そのようなこと、とうの昔に承知しておるわ。だがその反動など、我には届かぬ!」

>カグツチはさらに光を増す。
やっと視力が戻りつつあったフィフス・バベルは、思わず目を閉じた。

光介「くそ…! このままじゃまずい! どうにかしてみんなと合流しないと!」

>薄目を開けて仲魔たちの居場所を確認する。
だがまだ彼からは離れており、破戒の魔刃を使えるような状況ではない。

光介「!」

>その時、彼は2つのことに気付いた。
両手で影を作り、痛む目を無理に開ける。

光介「どういうことだ…? ウィルの体がおかしい! それに…カハクが持っているはずのグングニルが…」

>カハクの手の中にあるグングニル。
それは、元の大きさに戻ってはいなかった。

カハク「どうしてよ…!」

>フィフス・バベルのもとに飛んでいきながら、彼女は悔しそうに言う。

カハク「これが最後の戦いのはずでしょ…! あたしたちを助けてくれたってことは、性悪な槍ってわけじゃないんでしょ、グングニル!」

>手のひらの中にあるグングニルに向かって叫ぶ。
だが、小さな槍はその大きさを変えることはない。

カハク「どうして戻らないのよ! 今こそ最後の戦いでしょ! 別に助けて欲しいってわけじゃないわ…でも、約束は守りなさいよ!」

光介「まさか…カグツチが最後の相手じゃないってことなのか? まだ戦うヤツがいるってことなのか?」

カグツチ「…我が力…! 邪悪なる悪魔を滅するため、我が体を満たせ…!」

>フィフス・バベルたちが驚愕している中、カグツチの光はさらに増す。

光介「く、くそっ!」

>彼は、今やっと思い出したかのように仲魔たちのもとへと飛ぶ。
視力をやられたことで平衡感覚も少しおかしいのか、素早く飛ぶことはできない。

光介「破戒の力はもう、この中で起きてる…充満してると言ってもいい! その反動がウィルの体に出てきてるってことなのかもしれない…!」

ウィルオウィスプ「ハヤク…! ミンナデ カツンダ!」

コダマ「もうちょっとだよー!」

カハク「くそっ、くそおっ!」

光介「だが、とにかく今はみんなのところへ…! そして、破戒の魔刃でケリをつけなければ!」

>フィフス・バベルたちは懸命に飛び、集まろうとする。
その時、声が聞こえた。

カグツチ「我が光は満ちた!」

>まだ、仲魔たちと手が届くような距離にはきていない。
カグツチは彼らの合流を待たずに叫ぶ。

カグツチ「お前たちの存在を消す! 無辺無尽光!!」

>カグツチから、全方位に強烈な光が放たれる。
フィフス・バベルたちは合流する直前まで来ていながら、その全てを光に包まれてしまった……

>3/5話へ続く…


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