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2016-04-28 06:15:02

【読み物総合】目次

テーマ:その他
■バー「褐色の妖精」~川口 俊幸の場合~
特別な能力など何も持たない主人公:川口 俊幸。
彼が巻き込まれることになる、不思議な事件とその顛末とは?

オリジナル8作目
連載期間:2016/02/15~04/21

ジャンル:不思議なものたちに出会う物語
舞台:現代日本

→第1話


■くろす+ろォド
「ケガレ」を操る謎の男、黒須が暗躍する異色活劇!
「ケガレ」、そして謎の職業「穢師(けがし)」がこの世界にもたらすものとは?

オリジナル7作目
連載期間:2015/06/01~10/09

ジャンル:特殊術式あふれる活劇
舞台:現代日本

→第1話
→【目次】登場人物+目次


■群青のパルス~ウーラシール異聞
ダークソウル1+DLCを舞台に描かれる異聞録!
すべてを失った「彼女」は、戦いの果てに何を手に入れるのか?

二次創作3作目
連載期間:2014/12/22~2015/04/03

ジャンル:ハードファンタジー
舞台:ダークソウル1+DLC

→第1話
→目次



■黒いナイフ
能力とは、生きているとはどういうことか。
残酷かつ熾烈な戦いの果てに、その「手」が掴み取るものとは?

オリジナル6作目
連載期間:2013/02/04~2014/11/17

ジャンル:かなりハードな能力もの
舞台:現代日本

前作とのつながり:時系列が前後するが、直結している。
この物語から、すべてが始まったといっても過言ではない。

→第1話
→まとめ目次



■聖夜の輝跡
初のクリスマスもの!?
普通のサラリーマンに振りかかる大事件とは?

オリジナル5作目
連載期間:2012/12/03~12/24

ジャンル:クリスマスもの…ってことにしといて
舞台:現代日本

前作とのつながり:前作とのつながりはなし。
ただし、さらに前の作品とならバリバリにつながってたりする。

→本編目次
→ネタバレ人物紹介



■朧の城-オボロノシロ-
ある村を舞台に起こる惨劇…
巻き込まれた人々に明日はあるのか?

オリジナル4作目
連載期間:2012/08/20~10/26

ジャンル:ホラー
舞台:瑞目村

前作とのつながり:発端は「ヤツ」。

目次
登場人物



■五月雨先生の超・生物学講座
魔王を自称する超絶美形生物学女教師による、独自設定の解説コーナー

オリジナル3.5作目
連載期間:2012/07/09~不定期

ジャンル:ドタバタしつつも解説しちゃう系
舞台:聖クラレンス学院内生物室

前作とのつながり:つながりも何も、綾乃による特別授業。
助手はトンスケだが、別の世界から特別ゲストがやってくるかも!?

講座目次



■トン★スケ
オリジナル3作目
連載期間:2011/09/05~2012/07/06

ジャンル:非日常な日常コメディ?
舞台:現代日本

前作とのつながり:村上 雅哉、バルディルスが登場。
同じ世界(地域が離れている)であり、時間軸もそれほど離れていない。

前々作とのつながり:似たような名前の太刀が登場。ただし別物。
謎のハーブを調合したのは「あの人」である。

本編目次
登場人物の目次



■ワード・サマナー
オリジナル2作目
連載期間:2010/08/02~2011/07/22

ジャンル:若干エグい描写ありな能力モノ
舞台:現代日本

前作とのつながり:世界そのものが表裏一体としてつながっている。
能力のカギは、とある「細胞」。

本編目次
あらすじ目次
登場人物の目次
「能力」

※作者がいろんな意味でぶっ壊れたため、本編は完結していますがあらすじ等はまだ未完です。
徐々に書き加えていったりいかなかったりします。



■ソード☆ビート
オリジナル1作目
連載期間:2010/02/08~07/21

ジャンル:生活感ありありなファンタジー
舞台:異世界ヴェスティナス

前作とのつながり:前作が二次創作だったため、つながりはなし。

本編目次
登場人物&あらすじ
魔法



■真・女神転生Ⅲノクターン~マニアクス~クロニクルエディション
二次創作1、2作目

●ト書き4周目
人修羅:五塔 光介(ごとう こうすけ)
コードネーム:フィフス・バベル
エンド:トモニ(オリジナルエンド)

仲魔:
ウィルオウィスプ
コダマ
カハク
ピシャーチャ

本編目次

●ト書き3周目(これがこのブログ最初の『物語』)
人修羅:六道 統魔(ろくどう とうま)
コードネーム:シックス・ヘル
エンド:シジマ

仲魔:
ランダ
シキオウジ
ヴァルキリー
ピシャーチャ

本編目次
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2016-04-21 13:00:02

『川口 俊幸の場合』あとがき

テーマ:バー「褐色の妖精」:目次ほか
はいどうも!
びーです。

いかがだったでしょうか、バー「褐色の妖精」~川口 俊幸の場合~

楽しんでいただけたなら感無量!
つまんなかったらごめんなさい!

ええ、もう…これが今の精一杯です。
はっはっは。

これまでの作品を読んでくださった方だと、なんだかすごいふわっとしてね? という感じだったろうと思います。

キチキチに詰めて、原因と結果、コレはアレをこう表現するためのギミック、みたいな。
そういうのは、今回かなり…

ちりばめておきながらふわっとさせたというか。

本編では明示していませんが、回収できている部分もあったりします。

その辺りはここでも明示しませんので、読み込んでいただくと初見とはまた違った面白さを発見できるかもしれません。


「褐色の妖精」は、ここに書く前にお知らせした通り、俺の原点でもあります。
原点のひとつ、という言い方が一番しっくりくるかもしれないですね。

マスターとは何者で、なぜ一般人を店に招くのかということの答えは、以前書いた「ワード・サマナー」に詳しいですけど、敢えて「褐色」そのものの本編中には書かないスタイルです。

「褐色」はなんというか、もうちょっとハートフルな感じの作品なので…細かく説明してしまうと毛色が変わってしまうんですね。

そのため、あまりいろいろ暴露しない感じで書きました。
それはもちろん、過去作を読まなくても今作を楽しめるようにするため、という意図も含まれています。

主人公は一般人で、その視点で物語が進んでいくわけですし…なんでもかんでも解決する、というのもおかしな話なので。

そのため、今回の川口くんがあまりの展開に頭がポーンとなった時、読んでいるみなさんも頭がポーンとなったと思います。

それで正解です。
かなり狙いましたそれは。

頭ポーンでいいので、読み進めてほしい…そういう部分でしたね。
川口くんと同じ気持ちになる、というのがあの時は大事だったんです。

そして最後に、彼なりの結論を出して物語は終わります。
ここは、読む人でかなり意見が変わってくるだろうと思いますが、それもまた狙い通り。

誰もが別の人間で、それぞれ違う思いを持っているというのは、結衣との会話で明示されています。

言葉を受け止めてくれる人がいるけれども、同じ気持ち同じ考え方というわけではない。

そういうことを想像できるのが大事なわけですね。
向こうは「聞いてくれている」んだと。

だったらこちらも受け入れて「聞いてあげられるようになろう」。
そういう思いが少しばかり広がるだけで、不毛な口喧嘩は減る気がします。

まあ、口喧嘩そのものも場合によっては必要ですけどね。


さて次回作ですが、ひと月ほどお休みをいただいてから取りかかろうと思ってます。
バトルものになりそうな予感がしますが、果たしてどうなることやら。

それでは今回はこのへんで!
読んでいただきまして、本当にありがとうございました!
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2016-04-21 12:00:02

【本編】バー「褐色の妖精」~川口 俊幸の場合~その20

テーマ:バー「褐色の妖精」~川口 俊幸の場合~
川口 俊幸の場合 その20


なんだかよくわからないまま、退院の日が来た…

説明はされた。
あの公安の子から、何回かされた。

俺がお願いしたら、お願いした回数だけ、イヤな顔ひとつせずに何度でも説明してくれた。

しかし俺には結局、なにがなんだかわからなかった。
そして彼女は、俺が理解できないことを自分のせいにしなかった。

「私があなたに説明できることは、以上です」

そう言った後で、俺がまだ理解できずにいると少しだけ悔しそうな顔をしたが…
その後にごめんなさい、とは続けなかった。

もし彼女が一度でも俺に謝っていたのなら、俺はもう二度と彼女に説明を求めなかっただろう。
だが彼女はそれをしなかった。

だから俺は何度でも彼女に尋ねた。
今思えば、それは結構キツいことだったような気がする。

だが彼女は余計な言葉を挟まず、俺に頼まれたことだけを何度も繰り返してくれた。

まあ…俺の理解力が低いせいで、彼女の努力はムダになってしまったわけだが…
俺の方が謝りたいくらいでな…

でもそれを言っちゃうと、本当に彼女の努力がムダになるような気がしたので、言わずにおいた。

「体には、どこにも異常はなかったそうです…本当に、よかった」

恐らく、とても気が強いであろう彼女は、そう言った時に少しだけ声を震わせた。
俺が『あっ』という表情をしたのが見えたんだろう、彼女はぷいっと横を向いた。

「…ご自宅まで、お送りします」

その声も震えていた。
俺は、それを聞いた時…なんかもう別にわけわかんなくてもいいかな、とちょっと思った。

明らかに俺より年下で、多分10くらい違うのか…
そんな女の子がなんだか大変な仕事をしていて、俺が知らないうちにいろいろ根回しをしてくれている。

それも、単なる義務感とかではないらしい。
森のような悪党にはとことん厳しくなれるようだが、本当は優しい女の子なんじゃないか…そう思ったからだ。

マジで入院費請求されなかったし…あんなホテルの部屋みたいな個室だったのに。
普通なら何十万と請求されてもおかしくないのにな。

毎日見舞いにも来てくれた。
もともと全く接点がなかったから、話が盛り上がるってことはあまりなかったけど…

誰かが、しかもキレイな女の子がそばにいてくれるのは、俺にとって何にも代えがたい時間だった。

「スマホや財布など、川口さんの貴重品はご自宅に置いてあります…ご自宅のカギは私が持っていますので、戸締まりは問題ありません」

特別な仕事で、忙しいだろうになあ…俺のために時間作ってくれて、ありがたいというか申し訳ないというか。

「…川口さん?」

え?
あ、はい。

「聞いてました?」

え?
何を?

「…川口さんの貴重品は、ご自宅にちゃんと置いてありますのでご心配なく…そう言いました」

あ、そ、そっか。
なんかいろいろありがとね。

「いえ…あと、カギは私が持っていますので、戸締まりも問題ないと言いました」

お、おぅ、そっか。りょーかい。

「なにか、気になることでもあるんですか?」

いや、気になることがあるっつーか、相変わらず気になることだらけなんだけど…
まあ、いろいろありがとうって思って。

「それ、さっきも言ってましたが…」

さっきのはさっきので、いろいろありがとね。
んで、考え込んでたのはまた別に、いろいろありがとね。

「ふふっ…なんですかそれ」

おっ、笑った。

「笑ってません」

ちょ、なんでそこ否定すんの?

「否定ではありません。笑ってないという事実を言っているだけです」

別に笑ってもいいと思うんだけど…

「勤務中なので、あまりそういうのは」

勤務中だって笑うことはあると思うけどな。
それに…

「それに、なんですか?」

変に笑わなかったりすると、逆にいろんな人に怪しまれるんじゃない?
それって、結衣ちゃんの立場だとマズいんじゃないかな。

「…! そ、そんなことは…」

…あれ…
な、なんか顔真っ赤だけど大丈夫?

「えっ?」

怒った?

「お、怒っては…いないです。おかしいですね、私…鉄面皮で通ってるんですけど」

鉄面皮って、自慢に使うような言葉じゃないと思うんだけど…

ま、いっか。
なんというか、キツい子ではないというか…少しおもしろい子だというのはわかった。

とはいえ、俺は退院したわけだし森は捕まったわけだし…
これでお別れって形になるのかな。

せっかく少しだけこの子のことわかったのに、速攻で別れるのはなんだかなあ…

こんなキレイな子と離れるのは惜しい、というのが4割くらいある。
あと6割は…

なんというか人として、もうちょっと一緒にいたい。
もっといろいろわかって、楽しく過ごせるようになれる気がする。

「…川口さん?」

そうだよなあ、せっかく知りあったんだもんなあ…しかも普通じゃない状況で。
できればこのままぷっつりと切れてしまうのは避けたい。

とはいえ、彼女ももう俺にかまってるヒマなんてないだろうし…特別な仕事してるっぽいし。
さて、どうしたもんか…

「あの、川口さん」

え?
あ、ごめん。

「どうしたんですか、さっきから…中田 マナミのことでも考えているんですか?」

…え?
あ…いや。

…そーいや中田のこと、すっかり忘れてたな。
入院中に無事だっていうのは聞いて、それからはまったく何も聞いてない。

アイツ、今なにしてるの?

「…彼女は実家に帰りました。あなたには、『ケンジ』が元恋人だったことで巻き込んですまないと…合わせる顔がないと言っていました」

ああ、それは入院してた時に聞いた…ってことは、それから何もないってことか。

「はい。あと、あなたのアルバイト先に関しては…」

俺が大事故に遭ったってことでチーフには伝えてある…だよね?

「はい」

あのさ、考え事っていうのはそのふたつじゃないんだ。

「では…一体何を?」

君のことだよ。

「私の?」

そう。
せっかく知り合えたのに、このままさよならっていうのはさみしいなーって。

「え…!?」

え、そこそんなに驚くとこ?

「あ、いえ…すいません。まさか、そういうふうに思っていてくださったとは予測していなくて」

あはは…
思っていてくださった、っていうほど大したもんでもないんだけど…

あのさ、君さえよければ…
友だちとしてこれからもいろいろ話とかできたらなあって思って。

「それは無理です」

お、おおぅ…即答…

ま、まあしゃーないか。
そうだよなあ、俺みたいなヤツとじゃ…

「そうではありません…」

え?

うぇ!?
ちかっ!

「友だちとして、というのは無理です」

は?

「私は、あなたに興味があります…とても、とても興味があります」

は、はあ。

「本当はとても弱い人で、少し殴られただけでも何もできなくなるのに、致命傷を受けたというあの土壇場で…!」

土壇場…ま、まあそうかな。

「あの土壇場で、命乞いをせず逃げ出すこともせず、逆に敵に立ち向かうなど…そうそうできることではありません」

は、はい。

「なのに今のあなたは、そんなことをすっかり忘れて完全にただの一般人になっている…一体どういう精神構造をしているのか、私はとても興味があります」

いや、それは…
なんつーか、俺にもわかんないし…

「あなたが入院中、毎日お部屋へうかがっていたのは、それを見極めるためでもありました。ですが…何もわからないまま、ただあなたへの興味が深まるばかり」

ええ…
あ、でも、それなら…?

「もちろん、これからも会いたいと言ってくださるのは嬉しいです。あまり多くの時間は作れませんが、できるだけあなたとの時間を作りたいと思っています。ただ…」

…ちょ、それって…

「友だちなどという浅い関係では、きっと何年かかっても何もわからないままだと思います。ですから、友だちという関係では、あなたとは会えません」

な、なん…
なんじゃこれ…

「任務に私情を持ち込むなど、あってはならないことですし…当然、これまでの私にはなかったことです…だから最初は戸惑いました。ですが…」

………が?

「これまではどうにか押さえ込むことができていました。私はおしゃべりな方ではないし、あなたとの時間も静かな時が多かった…きっとあなたは私のことなど『なぜかそばにいる女』程度の認識でしかないだろうと思うことができたからです」

…いや、まあ…
そう思ってた部分はあったけど。

「……うっ…」

えー!
ここでそんな泣きそうな顔する!?

いやちょっと待って、あのね?
最初はそう思ってたけど! けど、の続きあるから!

「……つづき、ですか?」

そう、続き!
最初はそう思ってたけど、なんかこう、退院してみてさ…

ほら、俺いろいろ考え込んでたでしょ?
俺が知らないとこで、君はいろいろがんばってくれてたんだなーって思って。

「…ありがとうございます」

いや、お礼とかいいから。
んでさ。

こう、つっけんどんな感じあるけど、本当は優しい子なんじゃないかなーって思って、そしたらこのままさよならするのはさみしいなーって…そこにつながっていったわけさ。

「それで、あんなことを…」

そうそう。
ほら、俺ってばイケメンってわけでもないからさ、いきなり『これからも会いたい』とか言ったら『うわあ』ってなるでしょ?

「なりません」

いやそこは『なる』って言ってよ話続かないから…

「確かにあなたはすごくイケメンというわけではないですが、私はすごく惹かれています」

いやそこは『イケメンです』って言ってよ悲しくなるから…

と、とにかく…
なんだろ、話ぐっちゃぐちゃでよくわかんなくなっちゃったけど…要するに。

このままさよならするのはさみしい。
ってことだよ。

「はい」

この部分は、俺も君も一致してるってことで…いいのかな?

「はい。一致しています」

じゃあ…あ、ちょうどいいや。
そこの角、左に曲がっちゃおっか。

「え? でもこの方向は中田 マナミの…彼女、今はもう実家に帰ってますよ」

いいからいいから。
中田に用事ってわけじゃないんだ。

「そう…ですか」

ちょっといいこと考えたんだ。

「いいこと?」

うん。
次は曲がらずまっすぐで…

ここを曲がる。

「ここは…!」

ん?
なに、どうしたの。

「ここは、あなたが中田 マナミを自宅から救出した後で調査に来た場所じゃないですか」

調査?
ああ…君や森にとってはそういうことになってるのか。

俺にとっては違うんだなあ、これが。
ほら、あそこの雑居ビル。

「…はい」

あそこの1階に、すごくいいお店があるんだ。
俺の、秘密の隠れ家だったんだけど…君には教えてあげようと思ってね。

「………」

もう君は俺の住所もわかってるだろうけど、いきなり男の家で会うのもアレじゃない?
あのお店だったら落ち着けるし、いい雰囲気だから君もきっと気に入る…

…あれ?

「川口さん」

え? なに?
ちょっとまって、おかしいな…1階の奥にあるんだけど…

「…川口さん、このビルの1階には…」

え?

「ここ数年、テナントが入った形跡はありません」

えー、また?
またわけわかんないアレ?

いや、いくらなんでもそれは…マスターさんも不思議な人だったけどさー…

……おっと?
ちょっ…と待て?

今、ここ数年って言った?

「はい」

テナントってあれだよね、要するにお店のことだよね。

「ざっくり言えば、そういうことですね」

ここ数年、お店がない?
1階に?

「はい。あなたがこの近辺に調査に来たと知った時、私が直接調べました。間違いありません」

いや、調査というか俺はここのお店に来ただけ…
……。

そのお店がない…
じゃあ俺は、一体何を飲んだんだ?

マスターさんの故郷のお酒…名前なんつったっけ…
そうだ、ヴェスティーニ。

いわれがあるんだよ。
願いを叶えるっていわれが、さ。

そうだよ!
だから俺はあの時、それを思い出して…

「…あの時?」

森に腹を撃たれた時さ!
ここであのお酒を飲んでたから、俺は…願いを叶えるって、自分が叶えたい願いを思い出して、それで…!

でも、そんなお店がそもそもなかった?
じゃあ…いや、でも…!

そうだ、思い出した!
森が言ってたぞ?

「え? 何を言っていたんですか?」

そのお店のマスターさんのことだよ!
ほら、たこ焼きの屋台を引く変なヤツがいるって!

「川口さん…」

ちょちょちょ、なにその悲しそうな顔!
待ってよ君もそこにいたろ?

アイツがたこ焼き屋台の話したの、聞いてたよな!?

「確かに私は森とずっと行動を共にしていましたが、そのような話は聞いていません。それに、そもそもたこ焼きの屋台など私は知りません」

俺も知らないよ!
だからすごい不思議だったんじゃんか!

「…すいません、言えないとかではないんです。本当に知らないんです…」

…忘れたとかでもなく?

「はい」

聞いてないとかでもなく?

「…はい」

…ま…マジかよ…
ウソだろ…?

えぇ…?
でも、1階の奥…ガレキしかない…

「……この場所は人目につきません。ですから、森たちがドラッグを売る時に使う場所でもあったんです」

はあ…?

「ですから森は、あなたがここに現れたことにとても驚いていました。2階から上は雑居ビルとしての機能を有していますが、1階は完全な廃墟です。そのような場所に、普通の人間が近づこうと思うわけがない…」

…そんな、バカな…

「そしてあなたのその行動のおかげで、彼らの敵視が中田 マナミ以外にも向くことになったのです。もしそうでなければ、彼女はもっと早い段階で命を落とすか…海外に売り飛ばされていたでしょう」

……俺が見てきたもの…
一体なんだったんだ…?

俺があると信じてたものが、いや信じる必要がないくらい『あって当然』と思ってたものが、ことごとく存在しないって…一体なんなんだ?

「一応、入院中に脳の精密検査も行いましたが、異常はみられませんでした。説明はつきませんが…事実は残っています」

……。
………。

「でも…あなたがいうお店、もしあったのなら…」

…え?

「私も一緒に行ってみたかったです。きっと、ステキなお店なんでしょうね」

あ…ああ。
そうさ、そりゃもう…すごいステキな…

すごいステキな…お店だったん…だよ。



胸にぽっかり、穴が空いたような…
そんな気分が続いた。

結局謎は解けないまま、バイトにも復帰。
俺がいない間に、チーフは店長に出世していた。

んでその店長から、俺がチーフとして直接指名された。
入院前に、俺なりにがんばり始めたことをみんな認めてくれていて、異論は出なかった。

それはありがたかったが、復帰直後から仕事で死にかける日々が続いた。
まあ、俺が仕事をくれと言ったので当然といえば当然なのだが…

要は、心にぽっかり空いた穴を仕事でふさごうという魂胆だった。
そしてそれはうまくいった。

結衣ちゃんとも順調で、どうにか月に一度は会えている。
俺なんかの何がそんなに興味を惹くのかいまだによくわかんないが、彼女がそう思うんならそれはそれでいいんだろうと思うようになった。

あの事件は、そのほとんどがわけわかんないことで構成されてはいるけど、結衣ちゃんと出会うきっかけでもあったわけで、忘れることはない。

ないんだが…非常に薄まりつつあった。
そんなこともあったんだなあ、くらいの勢いまで弱まっていた。

そんなある日。

「すいません~、ちょっと探している映画があるのですが~」

はい、それはどのような…
え…

あ!
マスターさん!

「おぉ~? これはいつぞやのお客さま~、このお店で働いてらっしゃったんですねぇ」

いつぞやの、じゃないですよ!
い、一体どういうことなのか説明を…!

「しぃーっ、あまり大きな声を出すとみなさんがこちらを見てしまいます…お静かに」

え? あ、はい…
すいません…

「それでですねぇ、探している映画というのは~」

いやちょっと待ってくださいよ、そのままスルーはないでしょう?
お店、あそこにはなかったって言われましたよ、俺…

一体何が、どうなってるんですか?
あの日、マスターさんは俺にお酒出してくれましたよね?

「ああ、ヴェスティーニですねぇ。久しぶりに私の故郷のお酒を出せて、嬉しかったですよ~」

でも、俺はそれ飲んでないことになってるんですよ?
どういうことなんですか?

「いえ~、ヴェスティーニをお出ししたことは~、間違いありませんねえ」

…え?
いやでも、店はあの場所になかったって…

「そしてお客さまは、ご自分の願いを叶えた…心の最も深いところにあった、強くどろりとした願いを」

…なんでそれを。

なんでそれを、あなたが…?

「おーいチーフ、どうかしたのか?」

え…!
あ、い、いや、なんでもないです。

声、やっぱりでかかったのか…!
まさか店長がくるなん…

「…ちょっと疲れがたまってるっぽいな?」

…て?

え?
なにが?

「……」

なんだよ、後ろ指差して…
俺の後ろにはマスターさんが…

…あれ?
なにこれ…最近出たDVDの…等身大POP!?

マスターさん?
マスターさんは!?

「いや、そいつはマスターじゃなくてダースな。いくら観てないっていっても、そのくらいは常識だぞ…こりゃマジでヤバそうだな」

い、いや、POPの方を言ってるんじゃなくて!
今ここにいた人っすよ!

「…今日はもうあがっていいぞ、チーフ。ちょうど一段落ついたし」

え!?

「今また入院されたら困るからな。ちゃんと静養しといてくれ。んじゃそういうことで」

て、店長…

…くそ、やられた。
どういうことかよくわからんが、マスターさんにしてやられた気がする。

店長には完全に戦力外通告されてしまったし…しょうがない、今日は帰る…
…ん?

なんだ?
ポケットに何か入ってる。

…キーホルダー?
竜…小さなドラゴンがくっついてる。

こんなの買った憶えないんだが…?
もちろん結衣ちゃんの趣味でもないし…

ということは、これは…
マスターさんが?

でもなんでまたキーホルダー…おわびの品、ってこと?
いや、それにしてもなんで…

まあいいや、帰るか。
もう探してもそこらにはいないだろうし。

んじゃ店長あがりまーす。

「おう、グッチおつかれー。体、大事にな」

どもです。
それじゃ。

「おう」

はあ…
結局、あの人については何もわかんないままだな。

でもなんで、あの人は俺の『真の願い』を知ってたんだろう。
まるで、あの時の俺の気持ちをわかっていたような…

…まさか、全部見透かされてたのか…?

あの雑居ビルに店がなかったことだけじゃない…
そうか、あの時起こったわけわかんないこと全部…!

マスターさんの…あ!

空に…!
キーホルダーと同じ、竜!

でも…誰も騒がない。
誰も空を見てない。

俺だけに見える竜…そうか。
そうだったんだ…

きっと、俺は守られていたんだな。
もしかしたら、もともと俺は森に撃たれて死ぬ運命だったのかもしれない。

それを…なんでかはわかんないけど…マスターさんが守ってくれたんだろう、きっと。
そう考えると、これまでのことがすべてつながってくるような気がする。

もちろん、それを証明する手立てはない。
でも、俺にはそうとしか考えられない。

俺にしか見えないものがいっぱいあった。
それが、夢破れてただダラダラ生きるだけだった俺を、そこそこがんばれるようにしてくれた。

だからこそ、今俺はこうして生きていられる…
ただ生きるんじゃない、がんばって生きられるようになったんだ。

そりゃまあ確かにしんどい部分も多いけど、みんなに頼られるのは嬉しいし、今は結衣ちゃんっていう存在もいる。

それぞれの道で、一緒にがんばろうと思える。
そう思える人と会わせてくれたんだな。

そうか…
きっと今までもそうだったんだ。

俺が知らないところで、俺はずっと助けてもらってたんだ。
今ここにきて、俺はようやくそのことを強く…実感してる。

あの事件は不思議で大変で、今までの俺の生活からじゃ想像もできないようなことだったけど…

だからこそわかる。
名前も知らないような誰かの、なんてことない行動が…今まで俺を、助けてくれてたんだな。

だったら俺もと言いたいけど、俺にできることなんてたかが知れてる。
けどまあ…

思いつくことをやれれば、今はそれでいいのかなって。
店内では笑顔を絶やさないとか、みんなが気持よく働けるように心配りするとか、そういうのを心がけるところから始めよう。

きっとそれが、誰かを助けることにつながる。
思い込みだっていい、そう信じていこう。

事実、俺は助けられてきたんだから。
誰にって細かいことはわからなくても、今俺が生きてることがその証拠だ。

だったら、ちょっとだけがんばってみよう。
ちょっとでいい。

今までより少しだけ、誰かの助けになることを意識してみよう。
だけど恩着せがましいんじゃない、さらっとやってのける感じ。

…明日から、ね。
今日は…

”…もしもし? 電話なんて…何かありましたか?”

結衣ちゃん。

”…はい”

ありがとう。

”え…?”

まだちゃんと、言ってなかったなと思ってさ。

”ど、どうしたんですか、いきなり…”

理由は今言ったよ。
まだちゃんと、お礼を言えてなかった。

”…いきなりの電話だったので、心配しました”

じゃあ、心配してくれてありがとう、もプラスしよう。

”な、なんなんですか、いったい…! 私をからかっているんですか!?”

いいや、ちがうよ。
そうだなあ、これは…

君に代表して、受け取ってもらいたい感謝…かな。

”……”

俺はいろんな人に助けられてきた。
周りの人だけじゃない、見ず知らずの人たちにも、きっと助けられてきたんだろう。

そのすべての人に、お礼を言うってのはできない。
見ず知らずの人に言って、気味悪がられるのは俺としてもつらいし。

だから、一番大切な君に、代表として受け取ってもらいたいんだ。

”…そういう、ところです”

…え?

”あなたへの興味が尽きないのは、あなたのそういうところ…時々、私の想像もできないようなことを言う…そういうところです”

あ、あはは…
なんか、ごめん。すごいテンション上がっちゃってさ。

”でも、私は代表になんてなりませんから”

え?

”見ず知らずの人なんて関係ありません。私が一番、あなたを助けてます”

お、おぅ…

”だけど今は黙っておきます。『一番大切な君に』って、言ってくれたから”

黙っておく、って…
いや今言ったじゃん。

”そうですね、ふふっ”

あははっ!
ありがと。

”どういたしまして。それじゃ、またあとで連絡しますね”

ああ、忙しいのに出てくれてありがとう。

”…あなたは本当に…ありがとうばっかりですね”

え、ダメ?

”好きです”

えっ…
あ、切れた。

なんて捨て台詞だ…あは、顔が熱いや。

でも、そうだな。
一緒にいる人でも、考え方は違う。

だけど俺の言葉を受け入れてくれてるんだ。
だから俺は思ったことを思ったまま言える。

今度、会った時にまたあらためてありがとうと言おう。
結衣ちゃんには、感謝の心を真正面から伝えよう。

きっと、そういうところから始まるんだ。
俺の新しい、人生ってヤツが。


>Fin.

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