第28話:カグツチ塔・4~カグツチ塔・5:3/5 | 魔人の記

第28話:カグツチ塔・4~カグツチ塔・5:3/5

★3/5話 光と闇★

>カグツチ塔402階。

ハイピクシー「ここからじゃ、みんながどんな状況だかわかんないけど、あたしたちはとにかく…!」

別のコダマ「ちょっとでも楽に戦えるようにー…!」

シキガミ「チカラ 送ル ゾ…!」

妖精たち「送っちゃいますぅー!」

泉の聖女「私も、微力ながらお送りさせていただきましょう…」

悪魔たち「我らも、世界の覇者となられた人修羅様たちに力を…!」

思念体たち「全部はやらねーが…まぁ、バアル・アバターの時も送ってやったからな…」

悪魔たち「次なる世界のために、我らも送ります…!」

>祈るような気持ちで、ここにいる者たちはフィフス・バベルたちに力を送っている。

>場所は変わり、カグツチ塔内。

悪魔たち「おい、聞いたかよ…ついに人修羅がカグツチと戦ってるらしーじゃねぇか」

悪魔たち「402階の連中は力を送ってるって話だぜ」

思念体たち「…俺も、送ってみようか…やっぱやめとくか…」

マネカタ「人修羅くんたちが怖くなくなるんなら、ちょっと送ってみようかなー?」

>カグツチ塔内の者たちは、力を送る者、送らない者と分かれてはいたが、大半はフィフス・バベルたちに力を送ることを選択したようだ。

悪魔たち「あんな細っこい体で、コトワリの守護たちみんな倒しちまったんだよな?」

思念体たち「ま、強さとデカさは関係ねーってことだろ」

悪魔たち「ふむ…それもまた、興味深きことなり…」

>強者と呼ばれる者たちを全て倒したフィフス・バベルたち。
その名は、この世界で知らぬ者はいないほど有名だった。

>さらに場所は変わり、カグツチ塔の外…トウキョウ。
ボルテクス界となった世界で、この世界に生きる者たちはそれぞれ何かを感じている。

マネカタたち「カグツチと…戦ってる?」

悪魔たち「ふん、だからといって協力するつもりはない…我らは同胞を殺されたのだぞ!」

マネカタたち「そうだよ…フトミミさんまで殺すことなかったじゃないか! いい悪魔だと思ってたのに、人修羅くんたちはひどいよ!」

思念体たち「別に誰が死のうとか、そういうのはどーだっていい」

>ボルテクス界となったトウキョウは、球体の内面に大地がある。
つまり誰もが、カグツチとカグツチ塔を見ることができている。

悪魔たち「ウワサじゃ、アイツらもコトワリみてーなのを持ってるらしいじゃねーか」

悪魔たち「俺もなんか聞いたぜ。なんだっけ…『トモニ』?」

悪魔たち「それで創世なんかされちゃたまんねーよな。俺たちゃ好きにやりてーだけだ…共に進むなんて反吐が出らぁ」

思念体たち「だが、結局はそのコトワリこそが最強だった…そうじゃないのか?」

マネカタたち「別に最強かどうかはいいんだけど、みんないっしょにっていうのはいいね」

思念体たち「それにしちゃ、今までが殺しすぎだがよ…」

>さまざまな思いがある。
誰もがフィフス・バベルたちの味方というわけではない。

思念体たち「さんざん殺しといて、創世って時になったら『みんな仲良くやりましょう』ってか? 冗談じゃないね」

マネカタたち「そうだよ…それならフトミミさんを殺さなくったってよかったはずじゃないか」

マネカタたち「サカハギだけ殺してくれてればよかったのに!」

悪魔たち「だがよ…あとはカグツチに勝ちゃいいだけなんだろ?」

思念体たち「そうだよな。だとすると、このまま創世されちまうかもしれねぇ」

悪魔たち「だったらここで、人修羅たちに力送っといた方がよくねぇ? あとでオイシイかもしれねーぞ」

思念体たち「カグツチはこの世界の光だぞ? 勝てるわけないだろ…」

マネカタ「そうそう、よくわかんないけど勝てないよ!」

>かたくなに拒否する者、無関心な者、創世後の見返りを楽しみに力を送る者…
カグツチ塔の外では、さまざまな者たちがさまざまな思いでたたずんでいる。

>力を送る者たちのマガツヒで、カグツチ塔は真紅に染まる。
その頂点、そして世界の中心に向けて立ち上っていく。

ハイピクシー「…え?」

>それは、カグツチ塔402階というとてつもない高さにまでも到達していた。

ハイピクシー「こ、これって…?」

泉の聖女「カグツチ塔の中…そしてその外からも力が送り込まれています。もちろん全ての者からではありませんが…」

別のコダマ「それでもすごいよー! ここも全部包み込まれちゃったー!」

>広間…貼り絵の間にもマガツヒは満ち、貼り絵たちをも真紅に染めていく。

シキガミ「世界ノ ミンナガ… 応援シテイル ト イウコト カ!」

マネカタたち「すごいねー! なんだかすごいねー!」

思念体たち「ったく、物好きな連中もいたもんだぜ」

思念体たち「俺たちもな」

悪魔たち「これぞまさに世界の意志…! 人修羅殿たち、どうかこの力を受け取りたまえ…!」

悪魔たち「ヨスガとは相容れぬトモニのコトワリ…だが、人修羅様たちは千晶様に勝利なされた! 強者こそ正義と信じる我らも、さらに強く力を送りましょうぞ!」

>ヨスガの軍勢、そしてフィフス・バベルたちに好意を持つ者たちのマガツヒによって、塔内はさらに光り輝く。

泉の聖女「感じますか、みなさん…! 世界のマガツヒが、あなたたちに集まっています…どうかその手に、新しい世界を…!」

>泉の聖女は静かに、しかししっかりとした口調で言う。

泉の聖女「この地に眠る…全ての者たちのためにも…!」

>そして、異変は邪教の館でも起こっていた。

館の主「こ、これは…!」

>悪魔全書から、膨大な量のマガツヒが漏れ、フィフス・バベルたちに向かって流れていく。

館の主「まさか、全書の中にいる悪魔たちまでも行動に出るとは…このようなことは、全くもって前例がない…!」

>全書にいる全ての悪魔。
それらが種族を超え、神や悪魔であることすらも超え、力を送っている。

館の主「…うすうす感じてはいたが…これも、破戒の力の影響か…!」

>しかしその時、大きな揺れが館を襲った。

館の主「むっ!」

>テーブルの上から落ちそうになる悪魔全書を、素早く手に取る。
そうした後、彼は館から出た。

館の主「…!」

>見ると、誰もが上を向いて驚いている。
どうやら先ほどの揺れは、はるか上…カグツチがいる場所から起こったもののようだ。

泉の聖女「何か…とんでもないことが起きています…!」

館の主「と、とんでもないことだと?」

泉の聖女「もっと力を送らねば…! 私を楽しませてくれた、あの方々をなんとしてもお助けせねば…!」

館の主「あ、ああ…そうだな…!」

>胸の中の悪魔全書から漏れるマガツヒを見る。
だがそれを見ていること以外、館の主にはどうすることもできなかった。

>カグツチ塔を揺るがす大きな揺れの元。
それは、カグツチ自身が起こした無辺無尽光の衝撃波だった。

カグツチ「滅びよ! 資格無き者は滅ぶが定め!」

光介「ぐあああっ!!」

カハク「うぐぅぅぅ!」

コダマ「ぬわーあぁあ!」

ウィルオウィスプ「オオオオッ!」

>カグツチの間。
そこは強烈な光で満たされており、何も見ることができない。

カグツチ「まだ滅びぬか…!」

>第2形態、つまり完全体となったカグツチは、さらに光を強める!
外壁に押しやられたフィフス・バベルたちは、衝撃波を受け続ける!

カハク「か、体が…!」

コダマ「バラバラになりそーだよー!」

光介「ぐぅぅぅっ!」

>激しい光の衝撃波。
本来光には触れられないはずなのだが、それがフィフス・バベルたちの体力を奪う!

ウィルオウィスプ「ウ… ウゴケナイ ノガ ナニヨリ… マズイ…!」

>フィフス・バベルと、仲魔たちとの距離はあとわずかなのだが、触れられる距離ではない。
そこまで近づくことさえできれば、破戒の力を発動できると彼は考えている。

ウィルオウィスプ「コレガ サイゴ…! サイゴノ タタカイ…!」

>既にこの戦闘でも「破戒」は起きている。
その状態で衝撃を受け続けているために、ウィルオウィスプの体は少しずつ消滅し続けてしまう。

ウィルオウィスプ「ゼッタイ ドウニカ スル…! ソレガ ウォレノ ケジメ! イヤ…」

>そばにいるはずのカハクに意識を飛ばす。
彼は彼女の存在を、近くに感じることができた。

ウィルオウィスプ「コンドコソ マモルゾ カハク!」

カハク「…え?」

ウィルオウィスプ「ウオオオォォォォ!!」

>ウィルオウィスプは叫び、鬼火状の体を無理やり横に伸ばした!
下半分は消滅してしまっていたが、伸ばした分はまだ残っている。

ウィルオウィスプ「コースケ! ウォレノ カラダ サワレ! ソウシタラ ハカイノマジン ツカエル ゾ!」

光介「ぐ、ぐぅぅぅ…!」

>ウィルオウィスプが体を伸ばし、フィフス・バベルは手を伸ばす。
しかし、まだ距離があった。

光介「どこだ、ウィル!」

ウィルオウィスプ「モウ チョット…! ウオオオォォォ!!」

>ウィルオウィスプはさらに体を伸ばす。
伸ばした部分が壁面に叩きつけられても構わず、彼は懸命に体を伸ばし続けた。

光介「…く…!」

>伸ばした手には、まだウィルオウィスプの体が触れることはない。
まぶしすぎる光のせいもあり、位置を見つけることができないのだ。

カグツチ「まだ何かやるつもりか!」

>カグツチは目ざとくそれを見つけ、さらに輝きを増す!
フィフス・バベルの手が外壁にめり込んでしまい、動かせなくなった!

光介「くそぉぉぉお!」

ウィルオウィスプ「ヌゥゥゥ!」

>ウィルオウィスプも力を込めるが、それ以上体を伸ばすことができない!
あと数センチのところでお互い触れ合えずに動きを止めてしまった。

ウィルオウィスプ「アト スコシ ナノニ…!」

カグツチ「よし…そのまま無様に潰れるがよい!」

>勝利を確信するカグツチ。
だが、その視界に何かが紛れ込んでくる。

カグツチ「…む?」

>それは真紅の光。
最初は蛍火のようなものだったのが、徐々に大きくなっていく。

カグツチ「これは…マガツヒか!」

>それはやがてカグツチ塔の直径ほどに巨大化し、この空間の全てを包み込む。
その全てがフィフス・バベルたちに流れ込んでいった。

光介「く…!」

ウィルオウィスプ「ミンナノ マガツヒ… ムダニ シナイ ゾ!」

>マガツヒを取り込んだことで、フィフス・バベルとウィルオウィスプは力を取り戻す!
壁にめり込んでしまった手と体をはがし、お互いをつなごうと伸ばし始めた。

カグツチ「愚かな…! 我はこの世界全てを育んできた光! 全ての者のマガツヒならばともかく、その程度の量で我が力にかなうと思うか!」

>カグツチの光が、最高潮に達する!

カグツチ「これで完全なる終わりだ! 死ね、悪魔よ!」

光介「終わってたまるか…!」

ウィルオウィスプ「ウォレタチハ トモニ…!」

>懸命に手と体を伸ばす。
そしてそれがついに触れた!

光介「…!」

>だが、破戒の力は発動しない!

光介「な…んだ…と……!?」

ウィルオウィスプ「…!」

>ウィルオウィスプは、密着しているためにそれに気付くことができた。

ウィルオウィスプ「カハク、コダマ…!」

>既にカハクとコダマは、意識を失ってしまっていた。
力を振り絞ってつないだはずの仲魔たちは、破戒の力を発動させることができないまま光に飲み込まれる!

光介「うおおおおお…!」

ウィルオウィスプ「グオオオオオ…!」

>そして、フィフス・バベルとウィルオウィスプも意識を失った。
世界中のマガツヒはその体に流れ込み続けていたが、それを使うことはもはやできなくなってしまった…

カグツチ「…」

>やがて、無辺無尽光が止む。
それは急速に収まり、この空間を元の静けさに戻した。

ゴウト「…く」

ライドウ「…」

ピシャーチャ「…」

>リフト前に避難し、ライドウによって守られていたゴウトたちも、ゆっくりと目を開ける。
しかし、すぐには視力が回復しない。

ゴウト「目を閉じていたというのに…なんたることだ。さすがは無辺無尽光…その名に偽りなしというところか」

ライドウ「…」

ゴウト「だが、無尽たる光が止んだということは、ついにカグツチを倒したということなのだろう…」

>そう言っているうちに、ゴウトの視力がいち早く回復する。
そして今の状況に気がついた。

ゴウト「な、なんだと!?」

>カグツチの向こう側。
この空間の外壁は少し窪み、フィフス・バベルたちの動かない体がある。

カグツチ「…存在を滅するまでにはいかぬか…!」

>そしてそれを見ながら、悔しそうにつぶやくカグツチがいた。

ゴウト「まさか…! ここまできて!」

ライドウ「!」

ピシャーチャ「…!」

>ゴウトの言葉に、まだ視力が回復しないながらもライドウとピシャーチャも気付く。

ゴウト「最後の最後だというのに…やられてしまったのか、フィフス・バベル!」

>ゴウトの叫びも、空間にむなしく響くばかりだった。
代わりにカグツチが振り返る。

カグツチ「あの悪魔たちは、やがて…我が光によって照らされ続け、その存在を消されるであろう…」

ピシャーチャ「…!」

カグツチ「去るが良い、異界の者たちよ。去らねば汝らも滅するのみ…」

ゴウト「く…! よもや、ここまで来てこのようなことになってしまうとは…!」

ライドウ「…」

>リフトからカグツチまでには距離がありすぎ、刀をどう振るおうともカグツチには届かない。
それを悟ったライドウは、静かに刀を鞘におさめた。

ライドウ「…」

>そしてその場で腕組みをする。
動かなくなったフィフス・バベルをじっと見つめていた。

ゴウト「…そうだな、そう簡単に去るわけにはいかん…このような時でさえ、ヤツらは勝ってきたのだ。それが今回だけ起こらないとは、誰にも言えぬ」

カグツチ「では待つが良い。気の済むまでな…」

>カグツチは静かに言い、またほのかに輝き始めた。
それは、憎むべき敵を倒し、世界を照らす仕事に戻った姿だった。

ゴウト「…下から立ち上るマガツヒは、まだ途切れておらぬ…そしてフィフス・バベルたちの体も、それを取り込み続けている…!」

ライドウ「…」

ピシャーチャ「…」

ゴウト「まだ終わらぬはず…このような幕切れを見るために、我らはカハクの願いを聞いたわけではないぞ…!」

>静かに、しかし力強くゴウトはつぶやいた。
その声を聞いたはずのカグツチも特に動くことはなく、ただ静かに輝き続けていた…

>そして場面は闇の中へと移る。
何も見えない場所であったが、そこには声が響いていた。

?「…あれー?」

>そこに迷い込んだ何者かが、驚きの声を上げる。

?「どこだろー、ここー…」

>その場から少し進んでみるが、闇のせいで進んでいるかどうかすらわからない。

?「だーれも、いないのー?」

>大きな声で呼んでみる。
すると反応があった。

?「うるさいねェ…寝てられやしないじゃないか」

?「あー? だれかいたー!」

?「あら…なんだい、ちっこいお客さんだねェ」

>反応した何者かは、この闇の中でも姿が見えるようだ。
迷い込んだ者の頭に触れる。

?「おぉー? まっくらなのに、ボクが見えるのー?」

?「まっくら…? いや、こっちは普通に見えてるんだけどねェ? それより、一体どうしたのさ。ひとりなのかい?」

?「ちがうよー。さっきまで戦ってたみたいなんだけど、なんだかまぶしくなっちゃってさー。で、気がついたらここにいたんだー」

?「ふぅん…なんだか大変だったんだねェ。夢でも見てたんだろうねェ」

?「夢…? そうなのかなー? だって痛い感じとかすっごいおぼえてるんだよー? ボクさー、まだ戦わなきゃいけないんだよねー」

?「そうかい。夢じゃないんだとしたら、とんでもないヤツと戦うためにまた戻るってことだね?」

?「そうだよー! だってみんなと一緒に戦ってたんだー。ここにはみんながいないから、ボク帰らなきゃ!」

>そう言って、迷い込んだ者は闇の中を歩き出そうとする。
しかし、頭に触れた手がそれをさせなかった。

?「なんだよー! ボク、帰らなきゃいけないんだってばー」

?「まァ待ちな。とんでもないヤツと戦うってんなら、アタシがとっておきのダンスを教えてやるよ」

?「えー?ダンスー? でもボク、そんなの習ってるヒマないよー」

?「戦いに役立つダンスさ…アンタは真っ暗みたいだから、アタシが手取り足取り教えてやるよ」

?「むー…ボク、急ぐんだけどなー」

?「時間はとらせないさ。こうやってやるんだよ」

>何者かの手が、迷い込んだ者の手足をつかみ、動かす。
短いパターンを繰り返すことで、迷い込んだ者もすぐに覚えることができたようだ。

?「なるほどー、こうだねー」

>何も見えないながらも、感覚を頼りに踊ってみせる。
何者かは嬉しそうにこう言った。

?「そうそう、うまいもんじゃないか。あと、ポイントは掛け声だね。『いンピラばン』だよ」

?「いンピラばンー?」

?「そうさ。それさえ忘れなきゃ、アタシのダンス・パワーアップ版は完成さ。でもここで使うんじゃないよ」

?「どしてー?」

?「アタシたちが困るくらい強力だからさ。ほら、帰らなきゃいけないんだろ?」

?「うん。ありがとう、おばさーん!」

?「おばさ…まぁいいか。アタシの声じゃ、そう思われてもしょーがないよねェ」

?「あ、でもー…」

?「どうしたんだい?」

?「ボク、帰り方わかんないんだー。どうやってここに来たかもわかんないしー…」

?「そんなことかい。それじゃ、アタシが連れてってやろうかね」

>何者かに手を引かれ、迷い込んだ者は闇の中を進む。
やがて、少し雰囲気が違う場所に出た。

?「どうして迷い込んだかはわかんないけど…ここはアタシたちの世界さ。アンタは、アンタの世界を創りな」

?「うん、わかったー!」

?「でも、どうしてもって時はお呼び。仲魔引き連れて、派手に押しかけてやるからね」

?「ありがとう、おばさーん!」

?「おばさ…ああ、気にしたら負けなのかねェ…」

>ぼやきながら、何かを操作する。
すると、迷い込んだ者はその場から消え…

声「いンピラばン!」

カグツチ「!」

>カグツチのいる空間へと戻ってきた!
掛け声と踊りにより、カグツチの全ステータスが下がる!

ゴウト「おお!」

カグツチ「な…何をした!?」

コダマ「えへへー…ダンス教えてもらっちゃった★」

>闇に迷い込んだ者とは、コダマだった!
彼は闇の中で何者かに出会い、何らかのスキルを手に入れたようだ。

カグツチ「おのれ…! やはり、存在が完全に消え去るまで、徹底せねばならなかったか!」

>カグツチはコダマに向き直り、またも光り始める。
その前で、ただひとり踊りながら叫んだ!

コダマ「いンピラばン!」

カグツチ「なに…!」

>カグツチの光が弱まる!
全ステータスを下げられ、光の威力すら低下してしまっているようだ!

カグツチ「そのスキル…まさか!」

>カグツチは気付く。
老人の顔と化したその体が、驚きにゆがんだ。

カグツチ「お前の中も全て見通してある…しかし、ランダマイザなどお前は使えなかったはず!」

コダマ「使えてるんだからしょーがないじゃーん♪ いンピラばン!」

>さらにカグツチの力が下がる!
静かに輝いていた時よりも光度が下がった!

カグツチ「おのれ…! だが、ランダマイザでは我に痛手を負わせることなどできん! 無辺たる無尽光によりて、その存在を…!」

コダマ「ざーんねん★ ボクしんくうはーも使えちゃうんだよねー♪ 忘れてた?」

>コダマの真空刃!
カグツチの体を、衝撃特大ダメージが削り取る!

カグツチ「ぐおおおぉ!」

コダマ「おぉー! あのおばさんの言った通り、なんだかすんごい威力だー★ いンピラばン!」

>さらにカグツチの力が下がる!
その光が薄暗くなった!

カグツチ「こ、これは…! まずは修復させねばならぬ! この、この我が…!」

>カグツチは攻撃を止め、削り取られた部分を再生させることに全力を注ぎ始めた。
コダマはその間に、意識を失っている仲魔たちを起こしていく。

コダマ「カハクー、起きてよカハクー」

カハク「う…!」

>コダマの声で、カハクは意識を取り戻す。
次にコダマは、ウィルオウィスプを起こそうとした。

コダマ「うぃ、ウィル…!」

>だがその姿を見て驚愕する。
伸びきったウィルオウィスプの体は消えかかっており、もう口までなくなってしまっていた。

コダマ「ウィルー! とにかくまずはおきてよー!」

ウィルオウィスプ「…」

>喋ることができない状況ながらも、ウィルオウィスプは目を覚ます。
さらにコダマは、フィフス・バベルも起こした。

光介「う…コダマ…」

コダマ「コースケ! ウィルが大変なんだよー!」

光介「…!」

>コダマの言葉に、フィフス・バベルは一気に意識を覚醒させる。
ウィルオウィスプの体は消滅しかかっており、先ほど手に触れたはずの部分もなくなってしまっていた。

ウィルオウィスプ「…」

>彼はただ、目で訴える。
フィフス・バベルはうなずきを返すことしかできなかった。

光介「…」

カハク「…」

コダマ「…」

>消えかかっているウィルオウィスプの体に、仲魔たちは触れる。
そして全員同時に、体を修復させるのに手間取っているカグツチを見た。

光介「…行くぞ」

カハク「うん」

コダマ「うん」

ウィルオウィスプ「…」

カグツチ「く…! ランダマイザのせいで、修復速度が遅い…!」

>力を低下させられたため、カグツチの修復速度が遅くなっている。
この時を逃すわけにはいかなかった。

光介「これで最後だ! 破戒の魔刃!」

>フィフス・バベルは右手を突き出す。
そこに仲魔たち、そして今まで受け取ってきたマガツヒが全て集約されていく!

カグツチ「お、おのれ…!」

>カグツチは体を修復させつつも、輝きを増そうとする。
だがそれはかなわず、修復させたばかりの箇所が崩れ落ちていった。

光介「おおおおおおっ!」

仲魔たち「いっけぇぇええええ!!」

>そして繰り出される黒光。
いっぱいに開いた手の直径ほどのそれが、カグツチの体を貫いた!

カグツチ「ぐおおおおおお!」

光介「これで終わりだ、カグツチぃぃぃぃ!!」

>かざした手を、上下左右へと動かしていく。
黒光はカグツチの巨大な体を、易々と切り裂いた!

カグツチ「おのれぇぇぇぇ! だが、お前にはもう安息などはない! 確たる法のない世界など、すぐに崩れ去るぅぅぅ!!」

>呪いの言葉を吐きつつ、崩れ落ちていくカグツチ。
そして、それとほぼ同時に…

光介「…!」

カハク「え…?」

コダマ「ウィルー!!」

>ウィルオウィスプの体が、仲魔たちの前から完全に消え去り…
全てが闇に包まれた……

>4/5話へ続く…


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