382.サヨナラ景福宮~お義母上さま…至らぬ嫁を…お許しください | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
「宮」~Love in palace~のYouTube自動再生を止めたい方は
画面右側サイドバーに貼っています 停止して下さい

きらきら初めての方は本編はじめましてから順に読み進めて読みください
お探しのページがあれば目次をお使いください→全体の目次
前のお話→381.皇太子の大罪と離婚発言の真相~こんな状況でもときめいてしまうなんて 馬鹿過ぎだよね… に次ぐチェギョ目線です


生放送が終わると 素早く席を立ち 後の事は追随の内官に任せてスタジオを後にした
国営放送のテレビ局前に待って居た黒塗りの車の後部座席にあたしを押し込んで 自分も乗り込んだシンくんは 出待ちの民衆にはしっかりと笑顔で応えながら 車を出発させるように指示すると… それまで握っていたあたしの手を振り解くように放った
車中でも 黙りこくって外を向いたまま… 声を掛けようにも取り付く島も無い
凍りついた空気
東宮殿の車寄せから 呼び止めても言い訳のひとつも持たないくせに その名を呼んでしまうあたしを… 振り返りもせずに早足で…
パビリオンに入った冷たい背中が ようやく立ち止まってくれた けど
「さっきの電話は 誰からだったんだ?なぜ急に離婚しようと思って…などと言った?!」
振り返ったシンくんは…瞳いっぱいに溜まった涙を堪えるためか…強く拳を握っていて…
「ご め…なさい 私達の… …ために… 仕方なく…」
結局何も言えないんだ
痛いほどに両腕を掴まれたけど 全国の国民が見守るテレビの生放送で 突然あたしなんかに言葉のナイフで切り付けられた皇太子のシンくんの胸の内はもっと痛い筈
ごめんね 本当に酷い事をしたの 解ってる
「何故だ?何故俺に言えないっ?!」
貴方にどんな仕打ちを受けたってあたしは我慢する
だから あたしがこれからとる行動に どうかこれ以上傷付かないで いっそあたしを憎んで嫌いになって 早く目覚めて?
別にあたしに拘らなくてもいいんだって事に気付いて 守ってやる必要がなくなって楽になったって事に気付いて?
「殿下 妃宮媽媽 陛下がお呼びです 勤政殿(クンジョンジョン)の方へ王族方がお越しのようで御座います」
思った通り 皇太后さまは既に王族達に根回しされていた
「お前は此処に居ろ!」

シンくんが スタジオの混乱を鎮めて あんなに素敵なプロポーズをしてくれたのに…
嘘を吐く事しか出来なかったあたしの心には 土砂降りの雨が降ってた
シンくんに冷たく振り解かれたこの手を見つめる
バカね 何を傷ついてるの?先に離したのはあたしじゃない…
シンくんは あたしが離すまで握っててくれると言った その優しい手を 先に離したのはあたしなのよ?
やっと開いたはずだったけど 再び閉ざされたドアは もう開けることは出来ない

離婚する意志が有るとちゃんと言わせて貰えなかったけど…
皇太子妃が「離婚」という言葉を口にしただけで 景福宮は大騒ぎだった

シンくんが勤政殿に行ってる間に 皇后さまはあたしだけを交泰殿(キョテジョン/皇后の私室)にお呼びになり 席藁待罪(석고대죄/ソッコデジェ)をして皇帝陛下に詫びる姿を見せれば 未熟な妃宮が軽率だったと反省しているという理解も得られるだろうと仰った
「陛下はそれほどお怒りでは無い ただ大事にしたい輩が居る故 怒ったふりをする必要が有るのだ 解ってくれるな?」
「とんでも有りません 私が至らなかったのです 罰をお与え下さい」
「席藁待罪(석고대죄ソッコデジェ)をするそなたを 陛下がお許しになれば 王族達もそれ以上は何も言えぬ してくれるな?妃宮
離婚など…本心ではないのであろう?」
応えられなかった だってあたしはこれから 此処を逃げ出すのだから
俯いて…何も答えることが出来ないあたしを 皇后さまはどんなお気持ちで見下ろしておられた事だろう
「下がりなさい」
お義母上さま…至らぬ嫁を…お許しください
顔を上げることも 立ち上がることも出来ないあたしを 連れて行きなさいと女官のお姉さんたちに命じられた
お姉さんたちに支えられてなんとか立ち上がり 東宮殿へ戻ると
「太皇太后さまがご心痛故 殿下とご一緒に慈慶殿へ謝罪にいらっしゃいますようにとの陛下からの命を受け 殿下がお待ちで御座います」
チェ尚宮お姉さんが代弁する
シンくんは… そっぽ向いて口を結んだまま あたしの方を向いてもくれない

おばあ様に謝罪を申し上げて そうそうに引き上げたかったけれど 両陛下と義誠大君殿下と…恵政殿皇太后までいらした
これから起こる事を全部知ってて素知らぬ顔をされているのが悔しくて つい あたしが一人で出て行くので問題ないと口を滑らせたけれど
そんなことは許さないと言うシンくんと言い争いになって 陛下が声を荒げた あたしは 東宮妃の部屋に籠って反省するよう命じられ シンくんを思政殿へお連れになった

チャンスは 今しか無い
嘆き悲しんだり 別れを惜しんだりしている時間は無い
行かなくちゃ

「お姉さん 行きましょう」


チェ尚宮お姉さんとふたり これからどこへ行くのかも 知らされていないけれど
行くと決めた 手筈は整ってる もう戻れない

景福宮を出られたら シンくんを乾清宮に呼び出す
それはあたしが負けた相手はあの方だと 貴方がこれから戦う相手はその方だと知らせる為の筈だった
まさか 乾清宮で起こるボヤで シンくんが濡れ衣を着せられる事になるとも知らずに…あたしはシンくんに最後のメールを送った

あとは 皇太后さまの準備した飛行機では無く 彼の用意してくれた便に乗るだけね…


あの日…巫女が大騒ぎをした後日 JiJiのお墓を掘り起こしてペット霊園へ移した夜だった
知らない番号からの電話なんて シンくんが出ちゃダメだって言うし いつもなら出ない
だけど出なきゃならない気がしたの きっとあの脅迫状は只の嫌がらせではなくて 警告だったんだ それなのに無視し続けたからお怒りなんだもの 一連の騒ぎを終わらせるには要求がある筈よ


「もしもし妃殿下?」
この声…あたしの頭の中で あの方と遠からぬ繋がりのあるその人の顔が浮かんだ
「君はあの手紙の差出人が誰だか もう解っているんだろう?
そして僕が誰かも…気付いているね?」
「えと…ソ・ジテさん…?」
「正解」


更新時間を間違えてました お待たせしてみあねよ
今日もありがとうございましたカムサハムニダ
続きは1/27(金)予定→383.密談~イ・シンは偉大な皇帝に成る その邪魔をしないように 君は今 身を退く必要が有る

にほんブログ村 ←ポチ↓ペタ お願いしますふわハート