381.皇太子の大罪と離婚発言の真相~こんな状況でもときめいてしまうなんて 馬鹿過ぎだよね… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→380.タイ訪問の裏側で~あたしなんかじゃ太刀打ちできない相手に挑んでしまったんじゃないかって に引き続きチェギョ目線です

あたしたちの愛猫JiJiのお墓は掘り起こされ ペット霊園へ移された
その事が王族達の耳に入り そもそも動物を飼ってはならない筈の東宮殿で その黒猫を飼うに至った経緯が 皇太子が中国政府から結婚祝いに頂いた黒水晶をちらつかせて巫女(ムダン)を買収し 黒猫が皇孫を齎すと偽らせたからであったと知れ渡り シンくんは窮地に追い込まれた

更に あたしが妊娠しないのは 妃に溺れた東宮が 東宮殿に不幸を齎す黒猫を持ち込んだせいだなんて…
馬鹿も休み休み言いなさいよ!あたしは今妊娠してるんだってば!
巫女の占いなんて何処までホントだか!絶対罠に決まってんだから!
でもあたしはその事を益々言い出せなくなってしまった
だって もし巫女の占いがいい加減なものではなく本当だったなら…
秋に流産したのはそのせいで…今回もやっぱり流産するってことでしょう?
この状況で二度目も流産なんてしようもんなら あたしの廃妃だけじゃなく シンくんも廃位決定みたいな雰囲気になっちゃって 心配で心配で口を噤むしかなくて…

シンくんも凄く落ち込んでて 東宮殿に二人きりの時も 殆ど口を開かないの
だっておばあさまもお義母さまも ユル先輩までもが シンくんの取った行動は皇太子にあるまじき失態だと感じてる…口には出さなくても 見て取れるんだもの
なによりもシンくん自身が あたしの為に とんでもない間違いを犯した事を恥じて…凄く悔んでるの 解る


「あたしの頼みを聞いてくれただけなんだもん シンくんの所為なんかじゃないよ
驚いたね JiJiは… 東宮殿に来ちゃいけない運命だったんだね
でもあたし JiJiと一緒に過ごした日々が 全部いけないことだったなんて思えない
シンくんもあたしも そんな運命なんか知らなかったんだもん しかたないよ」
こんな言葉が何の慰めになるだろう…本当に 軽率なお願いをした自分が恥ずかしい
「チェギョン…」
ごめんなさいシンくん あたしが猫を欲しがったりした為に こんな酷い罠に嵌められて…
あたし どうしたらシンくんを守れるの?
明るい声を出そうとしても泣きそうになっちゃう顔を 見られないように 両手を伸ばしてシンくんの頭を胸に抱く

「しきたりって ほ~んとどうでもよさそうな事ばかりなのに 案外深刻なものなんだって 初めて知ったわ?
景福宮では動物を飼ってはいけないなんて どうしてなんだろうって思うけど 特にまだ子供のいない私達には良い結果を生まないと聞いて…そうだったのかって…納得したりもするよね
でも…動物は 主人の不幸を持ち去ってくれるとも言うから…
解りたくないけど…きっとあたしたち JiJiに救われたのよ」
それは只必死で そう信じたい一心で口にした言葉だった
赤ちゃんと シンくんを守るために 犠牲になってくれたんだと思っても いい?JiJiごめんね?

なんにも言ってくれないシンくんが いろんなことを後悔しているんだと感じる
どうかその後悔が あたしと結婚した事にまで及びませんようにと 祈るしかない
「まさか不幸をもたらすなんて…聞いてねーよってハナシ!だよね?もうおしま~い!」
「巫女(ムダン)の占いって…本当に当たるのかなぁ…?
え~い 外れることだって きっとあるよ」
カウチから立ち上がり大きく息を吸って笑顔を作る シンくんを振り返って…
「もし…嵐とやらが来たとしても 信じよう?
何が起ころうと全ては 明るい未来の為に必要な事なんだって
そうすればきっと 乗り越えられるよ!」
シンくんは 困ったような表情のまま
お願い 信じようよ ね?
シンくんの両頬を あたしの精いっぱいの優しさで包んで キスを贈る

本当は昨夜の電話の彼の言葉がずっと あたしの頭の中を支配してる
「結局僕の言う通り その道を選ぶと思うよ? それが最善の策だと 君も思うだろう?」
ええ そうかもしれない
だけど今だけは 忘れさせて もう少し待って 時間が無いのは解ってる
でも まだ離れたくない あと数日 シンくんの傍で彼を感じさせて
離れないと約束したのに 出て行けと言われたって出て行ってあげないと言ったのに…
そのあたしがまた東宮殿にシンくんを一人ぼっちにして出て行くなんて… 考えたく無いの


結婚二周年の記念日を二日後に控えた日曜の午後 国営放送の控室から 生放送のインタビュー番組を直前に控えたあたしは化粧室に立った
このタイミングに…彼からの電話がまた掛かってきた
あの夜話した事を実行するなら 今日しかないと
「決心付いた?」
「ええ…」
「本当に…ちゃんと言える?」
「ええ…解っています 必ず言います
準備はもう 整っているのですか?」
「ああ 契約成立の証に君から預かったネックレスも あの方に渡したよ
まさか僕と君が もうひとつ別の契約を結んだって事は お気付きじゃないはずだ
ああそれから最後に 君が東宮殿を無事に出たら 皇太子を乾清宮に呼び出すんだ
それで彼も 君があの方に執拗な脅迫を受けていたことを理解するだろう
君を探す手掛かりを残しておかなきゃ まさか負けられちゃ困るからね…」
「だけど本当に これで殿下の皇位は安泰ですか?」
「イ・シンが信じられなければ その命の限り傍に居ればいい
だけどその後は恐らく 俺の言った通りになると思うよ?
俺は君に生きて欲しい 辛くても…
君が自ら彼の元を離れて 遠くからでも見守って居れば 彼の持てる全てのプライドを掛けて立ち直るさ 君にはそれが解るだろう?」
「ええ…たぶんそうですね…だけど… 本当にそれしかないなんて…」

ハッ!
あたしは ふわりと漂うシンくんの香りに息を飲む
いつの間に後ろに…?あたしが通話中の携帯電話に耳を添わせて 会話に聞き耳を?
慌ててフリップを閉じ通話を終了する
い…今の聞かれた!?

「ガ…ガンヒョンがね TVの前でスタンバッてるから頑張れって…」
「違うって事は解ってる
誰からだ?俺に何か隠していることが有るだろう?!」
内容までは聞かれてないみたい でも…
シンくんに覗き込まれたあたしの目が焦りの色でくすむのを 隠す事なんかできっこない
そんなに凄まれたら…何もかも打ち明けて縋りたくなる
本当はシンくんに なんとかしてと この胸に泣き縋りたい
でも これ以上自分の為にシンくんを縛れない
今バレてしまったら 計画は全てパー また別の方法を考えなきゃいけなくなる
顎を掴まれて視線を合わせる その瞳におどおどする自分が映ると 決心が鈍りそうになる
眼を閉じて なんとか嘘は言わずに取り繕う言葉を探す
「ある人が… シンくんとあたしの退位を望んでるの…」
シンくんは盛大な溜息を吐く
「そんなことは今に始まった事ではない 具体的に脅迫を受けてるんなら聞かせろと言ってる」
ええそうね 皇太后さまの事はシンくんもずっと疑ってる
でも 今は何も言えないの あたしが貴方の元を去るまでは
首を振って拒むしか無い 口を開けば泣き言を言ってしまう
離れたくなんかない… でも 離れなきゃ

「何故だ?俺が信じられないか?そんなに俺が頼り無いのか?!」
「ち…」
「皇太子殿下~!皇太子殿下!」
「此処に居ます」
「本番前にもうひとつ確認しておきたいことが御座います!
本番8分前です お急ぎください!」
「直ぐに行きます!」
スタッフの呼ぶ声に緊張の糸が切れて 膝から崩れ落ちそうになるのをなんとか堪えた

そんなわけない!それだけは違うと言いたかったのに…

「今は時間が無い 帰ったらちゃんと話そう
俺が何とかするから とにかく今日だけ… 今日だけは黙って居てくれ 良いな?」
ごめんなさい きっと帰ったら もっと話す時間なんて無くなる
ぎゅっと噛みしめた唇に… そっと彼の唇が触れる
嗚呼…
きっと是が最後のキスになる
今すぐその首に両腕を回してもっと深いキスが欲しかった 腰を抱いて離さないで欲しかった

「そんな顔するな 笑顔を作ったら お前も直ぐに来るんだぞ?」
本当は シンくんの背中に飛び付いて縋りつきたかったけど
必死で堪えて 彼の唇が触れたこの唇に触れてみた
ごめんなさい シンくん
大好きだよ シンくん

本番7分前 今泣いたらメイク直しが間に合わないよシン・チェギョン!

俺が信じられないか?…って言った?
シンくん… 周囲から責められ続けてすっかり自信を失ってるのね
あたしはシンくんを信じてる それにシンくんを信じてる人達はちゃんと居る
絶対に貴方は 貴方こそが この国の皇帝に成るべき人よ!
恵政殿皇太后様のように 重い”怨”に憑りつかれた方を背負ったユル先輩には…義誠大君殿下には この国を委ねられないの
だからお願い 私に 皇太子妃としての最後の仕事をさせて!
貴方を守りたいの
あの方の手から その為に私は 今は身を退くしか道は無いの

言わなきゃ言わなきゃと思っても 喉がカラカラに渇いて声が出そうにない
だけど…もたもたしているうちに アナウンサーのおじさんが おそらく生放送の番組を締めくくる為の言葉を紡ぐ
…在学中にも良い知らせが聞けそうだと言った瞬間 やっと声が出た

「良い知らせだなんてとんでもない…私達離婚しようと…」

だけどそれ以上は 口を閉じろと睨みつけるシンくんの眼力に 完全に封じられた
流石 この世に唯一人の韓国の皇太子イ・シン それよ その瞳を忘れないで


そこからシンくんは あたしと結婚するに至った経緯と離婚してやるという発言の真意を語った

「…私は彼女を励ますつもりで いつか大人になったら手放してあげるから 今はとにかく我慢してくれと言ったのです
失礼な話ですよね 私が一生かけて守るから 付いて来てくれと言うべきところなのに
本当にお恥ずかしいことです
ですがまだ高校生だった私には まったく自信が無かったのです
彼女のこれまでと これから羽ばたくはずだった彼女の未来に値する幸福を 与えてあげられるのか…
だって裕福と幸福は似て非なるものですから…」

嗚呼…
シンくんの言葉がひとつひとつ 全部あたしの心に沁み込んでくる
そうだったの?本当に?
初めから離婚するつもりで言ったんじゃなかったの?
「やっと宮中の暮らしにも慣れ 私に心を開き 今では皇室の家族こそが自分の家族だと言ってくれる彼女に 傍に居ると言って貰えた私は 彼女の勇気にすっかり甘えていたようです
だから 改めて妻に プロポーズをさせてください」
シンくんが あたしの方に体を向けて 目を合わせる
あ ヤバ めちゃめちゃ怒ってる
うん… 誰に解らなくてもあたしには解る なのに…ううう…////
ヤバイくらいに怒ってるシンくんに こんな状況でもときめいてしまうなんて 馬鹿過ぎだよね…

「チェギョン 今までもこれからも ずっと君を愛している 私の傍に居て下さい」
やっと飼い馴らした飼い犬に手を噛まれたかのようで ホントはすごく怒ってるくせに それを少しも感じさせずに シンくんってば公衆の面前でプロポーズ?
流石だな 완전 멋지다(ワンジャンモシッタ/完全カッコイイ)

あたし達がただのイ・シンとシン・チェギョンだったなら…良かったのに
皇太子殿下に嘘の返事をする妃なんて ごめんなさい あたしやっぱり廃妃決定だね…

「はい」
 
今日もありがとうございますカムサハムニダ
我ながらひっぱるよね~
どう言われて出て行くことにしたのよ!?ってところが気になってるという声もあるなかで…
申し訳ないです
 
続きは1/22(日)になっちゃいましたみあねよ
382.サヨナラ景福宮~お義母上さま…至らぬ嫁を…お許しください

 
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