395.双子~まるでそこにもう一人自分が居るような妙な気分で ジヌの話す様を見ていた | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→394.秘密/DNA鑑定~お母様が言ったそうよジヌはもしかしたら皇太子に成ってたかもしれないって に次ぐシン目線です


「…ジテが君を嫌ってた背景には そんな秘密が有ったんだ」

「馬鹿げてる この世に 天から貴い皇孫を授かった皇太子妃を廃妃に追い込んでも許されるほどの理由など 有ると思うのか?!」

流石のユルも言葉を失う

「とにかく皆帰ってくれ 少し考えたい」
パビリオンから ソ・ジュヨンが出て行き ミニョンも出て行ったが ドアの前 ユルが振り返る
「シン 最後にもう一言いい?」
「말해 봐라(マレバラ/言ってみろ)」
「ジテの事 誤解して欲しくないんだ
思い返せば 僕がイギリスから戻ってジテと再会した当時ジテはまだ 君とジヌの関係を知ってそう長くなかった
だから 始めは僕がシンから皇太子位を奪い返す為に帰って来たんだと思って歓迎してたってわけだ
ところが僕はシンが好きで… これから風当たりの強くなるシンを支える為に帰国したのだと知って がっかりしたんだろうね
僕の母さんの過去を知るにつれ同情して 少しは母さんを顧みろなんて 僕には言った けど今はそうじゃない
皇太子は 君じゃ無きゃ務まらないと 日に日に確信したはずさ
相変わらずユル派を気取ってたけど それはおそらく大人達の目を誤魔化す為だけでなく… 否応なしに君に強い憧れを抱いてしまう自分自身を掻き消す為のカムフラージュでもあったのかも…
誰の目にも明らかな君の色濃いカリスマに加えて 僕の目を通してシンを見てると 見ようとしなきゃ見えないところも見えてくる
強い処はより強く 逆に容易には表に出さない筈の弱さまでもね」
っち 一言と言ったくせに長々と…
「君がいずれ皇帝に成るのは 天命なんだとやっと受け入れたのに 皇太后と王族達に揺さぶられたくらいで 立場の弱い皇太子妃を守る為に位を手放そうとするなんて 許せなかったんだと思う ジヌの事もあるからね
ジテは君に 在るべき姿を取り戻して欲しかったんじゃないかと…」
「もう帰ってくれ」
「裏を返せば ジテも君の味方だって…」
ユルの言葉を最後まで聞かず私室に入った

そんな話は聞きたくない
ソ・ジテはジヌの為の復讐と 横恋慕の為に勝手な事をしたんだ 正当化させてたまるかよ
ソ・ジテが ユルではなく俺に 次期皇帝としての風格を追い求めるあまり俺からチェギョンを引き離しただなんて 馬鹿らしい


翌朝陛下に詰め寄って問いただしたい気分をなんとか鎮めて… 俺は ソ・ジヌをもう一度東宮殿に呼んだ
いつもカジュアルな服装のジヌが 今日はスーツを着て現れた

「ね ほら そう思わない?」
「う~ん 昨日はそうは思わなかったんだけど そういわれれば…」
なぜかそわそわする女官達…
あ~ 俺はふと 以前ジヌを東宮殿に呼んだ時ミニョンが耳にしたという女官達の”そっくりだった”という言葉を思い出す
あれは ジヌが俺に似ていると噂していたんだな… 女官達の噂は…と過去を思い返す
良くない
茶を運んできた女官に コン内官以外は東宮殿から全て下がるよう命じる


「正直に言ってくれ 俺が憎いんだろう?
同じ母の腹の中で同じ時を過ごして形成されたのに 特別何かが俺と違うわけでもないのに 自分だけが両親から引き離され
ましてや連れ去られたのが俺の方であったなら 自分は皇太子であったかもしれないのにこれまで何も知らなかった 自身を 哀れに思うか?」

ジヌはしばらく考えていた

「例えばドラマみたいに…
両親を知らずに どっか良いとこの養子にも成れずに施設で貧しく育ったとかなら…まあそう思っただろうな
だけど俺は 準王族とはいえ小中高大と王立学校だ
何不自由なく 兄貴とも分け隔て無く育てて貰った
兄貴にも可愛がられて 幸福だった
それが あの皇帝陛下が大君だった20年前 皇太子だった兄に泣いて頼んでくれたお蔭だって言われたら なんも言えないじゃん?」
「陛下が…兄である孝烈元皇太子殿下に 泣いて…頼んだ?」

ジヌは 兄(ジテ)が行方を眩ましたのには自分の出生の秘密が関係しているのではと 両親に兄から話して貰った事を打ち明けたのだと言った
「どちらが兄だか弟だか知らないそうだが とにかくあんたと俺が双子であることを認めたよ
皇室では多胎出産を不吉としていたために ともかく一人を皇后さまの元に残して 皇后さまに気付かれないうちに連れ出したんだとか…
その事実を知ってるのは うちの両親と 預けることを許した先帝と孝烈元皇太子殿下と… 父親である現皇帝陛下だけなのだと言ってたよ…」
父上は…了承したって事なのか?

「だが陛下を恨むのは筋違いだと念を押されたんだ
陛下は…当時大君だった今の皇帝陛下は 皇太子ならまだしも 大君の自分にまで宮中の古いしきたりを強要するのかと 強く反発したらしく
本来なら再び会う事も無いような 縁もゆかりもない処へ連れ去るところを…泣き縋る大君殿下に免じて うちの父は次男で準王族だし 既に兄のジテが生まれていたから準王族の家督を継ぐことも無いだろうと…
当時の皇太子妃ソ・ファヨンの実家であるソ家の次男に託そうと 孝烈元皇太子殿下が自らその手に抱いて連れて来られたのだと聞いた

実はうちの父は 陛下とは同級生で高等部の頃は同じ弓道部だったとか… 知らぬ仲ではないそうだが… 王立大学に行かなかった父は疎遠になったとかで…こちらから易々と連絡できる相手でもないし…陛下からも連絡も無くて…
陛下が 俺の事を自分の息子だとご存知かどうかは解らない
それについてはうちの両親も聞かされてないんだ
戸籍上も両親の実の子に成ってる
母さんが同じ5月に産む筈だった子と 双子って事にするつもりが 死産だったらしい
だからだろうな 大君殿下の子だと意識せず 本当の息子のように育ててくれたんだ
だけどあんたが皇太子に即位する立派な姿を見て 急に俺に申し訳なくなって うっかりまだ中三だった兄貴に話しちゃったんだとか…はは」
ジヌはそう言って笑ったが…俺は 全く笑えなかったし 何も言葉に出来なかった

夕べは眠れなかった
俺がジヌでジヌがシンだったら… ifは所詮ifでしかないのに
申し訳ない気持ちが湧いてみたり 逆だったら楽だったのにと思ってみたり…
それではチェギョンに会えなかった事を思っては…ジヌはやっぱり俺のようにチェギョンを好きになっただろうかと気になってみたり…
ジヌとして生きてたらこんな辛い状況に追い込まれずに済んだものの…こうやって皇太子である双子のヤツと対峙することに成ってたわけか…と
そうなるともう出口の無い迷路に迷い込んだのと同じだった

沈黙を破ったのは ふっ と漏れたジヌの笑い声
!?俺の眉間に皺が寄る
「多分…俺が考えたのと同じことを考えたんだろ?」
「え?」
「いいんだよ 俺は俺で あんたはあんただと最初から決まってたんじゃない?
ほら 孝烈殿下が生きてたら皇太子に成るはずだったユル兄さんもさ よく言うだろ?」
ああ…アレか?
「皇太子は初めから俺に決まってたんだってヤツ?」
「皇太子は最初からあんたに決まってたんだよ」
ほぼ同時に同じことを言った俺達は 笑い方も一緒だった

「ところでさ 兄貴が姿を消して 皇太后さまから俺に連絡が有ったんだ 驚いたよ
ジテから連絡は無いのかなんていうから…叔母ではあるけど ほとんど話した事も無かったのに なぜ皇太后さまが兄貴を心配するのか
それで知ったんだ ユル派で有名な兄貴が皇太后に利用されてたんだってね」

だがジテは チェギョンを連れて行く場所を勝手に変更したらしく 皇太后は急な展開に焦ったのかソ・ジヌが俺の弟だと知ってると言って 乾清宮に呼び付けたらしい

「兄貴が最後の最後で裏切ったと主張する皇太后さまは 目的はほぼ果たしたと仰って…
兄貴が出て行ったからには 俺が家督を継ぐのだろう?って 言ったんだ」

―だが そなたも不憫よのう…
残ったのが皇太子でなくそなたであったなら 東宮殿の主にも成れたというのに 準王族の家督を継ぐばかりとは―

「しきりに俺を憐れんで… 兄貴の代わりに今度は俺を手駒にしようと考えてたのかもな
でも俺言ったんだ
兄貴は戻って来る 家督を継ぐのは兄さんで 自分は一民間人で十分だとね
自分はソ・ジヌとして生きてきて 不満に思った事なんて何一つない 今更誰を恨む気も無いってね
でも… 確かに皇太子として生きてたら 何もかもが違ったんだろうとは思ったよ」

「なあ 俺と 入れ替わりたいか?」
「は?」
当然ジヌは驚いている
でもさっきからずっと俺は… 話し方こそ違うものの その顔その声…
まるでそこにもう一人自分が居るような妙な気分で ジヌの話す様を見ていたんだ

「入れ替わりたいかと聞いてる」
「なにを馬鹿な…できるわけないじゃん」
「なぁに 俺はそう周りと口を利かない バレると解っている者にはあらかじめ明かして置けば
数日は皇太子ごっこを楽しめるぞ?」
「あんた何言い出すんだよ」
「だな…そんなことが国民にバレでもしたら… 聞かなかったことにしてくれ」
「いや 試してみよう 3日だけ あんたのふりして大学に通ってみるよ」

普段の俺なら こんな馬鹿な事を言い出したりはしなかっただろう だが うまくいけばコイツに皇太子の代理を務めて貰って もう一度マカオに行く事が出来るかも!?
そんな浅はかな考えが 冷静沈着なはずの俺の判断を鈍らせていた


おねがい今日もありがとうございますカムサハムニダ恋の矢
お待たせして申し訳ありません
Next→396.影武者 兼“Love” make a detour18~こんなこと お前にしか頼めない
わけあって 初のサイドストーリーと本編兼話(ギョン目線になってます)
皇太子妃行方不明の幕引きまでもう少し
私も頑張るのでみなさんも頑張ってください(笑)

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