305.思いがけない話~あの女がいったい何を言ってお前を傷付けたんだ? | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→304.告白~俺の掌に両頬を挟まれたむき出しの唇から意を決したように 「じゃあ 言うね」 前話に続くシン目線です

 


「チェギョンどこか悪いの?」
大学の構内でユルに出くわすのは 稀にではあるが有った
だが ミルとの結婚を機に一線を引かれた気がして 俺もなんとなく避けていた
なのに今日は 此方が気付く前に ちょっといいかと腕を掴まれ 人目を避けるように通路わきに入り込んだ途端… 久しぶりの従兄弟の会話にしては随分不躾に そう訊ねられた

「は?なぜ?」
「いや…ちょっと気になったんだ」
「そう聞くからには普通理由が有るだろう?」
やれやれとユルが小さな溜め息を吐くのは 心当たりが有っても先に答えず 何が聞きたいのか質問を返す俺にうんざりした所為だろう
だが 生憎俺は自分を取り巻く状況を 例えユルにだってそう易々と明かせはしないんだ

「ジュヨンが シンとチェギョンは順調かって聞くから…」
俺の脳裏には 先日王立病院で俺に声をかけて来たソ・ジュヨンの様子が思い浮かぶ
「僕も君と同じさ 先に そう聞く理由を訊ねたんだけど 知らないんなら言えないとか言って教えてくれなくて
嫌な感じがしたから どういう事かと追求したんだけど…
渋々口を開いたと思ったら 守秘義務があるから話せないって…」
何っ!守秘義務?ってことは…
あっ!あの時の含み笑いは…
「あ ジュヨン今 研修医として王立病院に居るんだ
何科なのか聞いても答えてくれなかったけど どうやら王立病院を受診したチェギョンに会ったみたいだよ?
シンはチェギョンの受診の理由 知ってるの?」

くそっ!俺が何も聞かされていないことを察知して 馬鹿にしてたってわけか?
チェ尚宮から詳しい事は何一つ聞き出せなかった チェギョンもまだ話そうとしない
事実上は知らないも同然だ だが そうは言えない
「知ってる 受診の理由は知ってるが 病院でソ・ジュヨンに会ったなんて聞いてはいない…」
ユルは小さくため息を吐いて やっぱりかと小さく呟く
「ユル兄さん ソ・ジュヨンはまた チェギョンに何か 不愉快な事を言ったのかも知れない
少し…様子がおかしいんだ」
ソ・ジュヨンの含み笑みを思い出すと 腸が煮えくりかえる気さえする
アイツ…いつまで俺に隠してる気だ!…おかげで恥かいたぞ!

「僕も気になったから チェギョンを傷付けるような事が有ったら ジュヨンでも許さないって釘を射して置いたけど… 失礼ね!って激怒されたよ
チェギョンと ちゃんと話してみて?
もしかして何か誤解が有るのかも ジュヨンには悪意なんか無い筈だ…
ってシン…睨むなよ 庇う訳じゃ無くて本心さ
ジュヨンの医者に成る夢は中途半端な物じゃ無い
王族の三女だって 良い処に嫁げば充分楽に暮らせるんだ
なのに女の子が医者なんてって いかにも王族って親の反対を押し切ってまで 医学部に通っているんだよ?」
そんなこと 俺の知った事か
おそらくチェギョンは王立病院の婦人科を受診した折 その結果を知ったソ・ジュヨンの言葉に傷付いたに違いない…悪意の有無は関係ない
真意がどうあれ 今は複数の要素が重なってチェギョンの不安を煽っている事は間違いないんだ
いったいどんな診断が理由で?
まさか!子供が産めない とか…?
いやそんなはずは…そういう事は結婚前に検査されているはず じゃあなんなんだ…?


「ソ・ジュヨンが…あの女がいったい何を言ってお前を傷付けたんだ?」
何度そう訊ねようと思っても チェギョンの中に芽生えて育っているプライドが 俺に言わない理由ならば 彼女のプライドを守る為には聞いてはいけない筈
そう思うと 何も言えなくて…言葉を飲み込む

そうしている間に ファンの娘が産まれた七夕から十日が経ち 母上が男の子を出産した
七月十七日 皇帝皇后両陛下の第三子の皇子は… 俺とユルに次いで皇位継承第三位の皇子は イ・ソンと名付けられた

”此方へ” 妻の腕の中に抱かれた赤ん坊へ無言で手を伸ばすと
「シンくんに似てるみたい」
俺を見上げたチェギョンのその手から…小さく暖かな命が手渡される
チェギョンの言う通り どことなく俺に似ている気もする
弟だと解っているのに どうしても これが我が子だったらと意識してしまう
チェギョンの手から小さな赤ん坊を手渡されるこの行為はきっと 何度も繰り返される
俺達に子を授かれば…
これまで漠然と考えたことはあったが…こうなんだな…
いやもっとか?もっとこれ以上の幸福が込み上げるのか?


これまでもずっとそのつもりでいたが
おそらく俺が本気でチェギョンの懐妊を意識したのは その夜が初めてだった
チェギョンを誘う目にも手にも 勝手に力が篭ってしまった?
そのせいで…チェギョンを怖がらせてしまったのか?
今夜も 俺の誘いを拒む意志が見え隠れする
俺の子を産みたいと思いながらも 夜伽に抵抗を感じる理由…
婦人科受診の理由… 今夜こそちゃんと聞かねば
そして俺も言い辛いからと先延ばしにしてきた事を話さなくては
「懐妊が期待されている事をプレッシャーに感じているんだろう?
心配するな いつも言ってるじゃないか 俺は今じゃ無くてもいい でも…」

 

 

 

今日もありがとうございましたカムサハムニダ
思いがけずユルくんから情報が…
あれまあ ソ・ジュヨンまで?
続きは8/28(金)→306.言えなかった事~말해봐 천천히 다 말해봐

 

 


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