109.婚約式Ⅰ~チェギョンは素直でいい子だから 殿下が負けますよ | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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l初めての方は是非 はじめまして から順に読み進めて下さい
前のお話→108.二学期~小さな悲鳴を上げて俺に抵抗を示すが
このお話は103.パーティーⅢ~それって既に君が僕を誘ってるじゃないか に次ぐユル目線のお話です


従姉のソ・ジュヨンから電話を貰った すごく久しぶりだった
「ユル元気? 随分久しぶりに会ったのに この前は ゆっくり話せなくて残念だったわ」
「そうだね イギリスに居た時は毎年来てくれたのに 帰国してから一度も会ってなかったもんね ソ・ジテとジヌにも会った?」
「ええ 小中高と王立学校時代は一緒に遊んだものよ だけど卒業してからは会ってなかったから五ヶ月ぶりだったわ」
「今度彼らと会おうと話してたんだ ジュヨンもぜひ一緒に」
「ええ もちろん」
僕らは次に会う約束を取り決めて電話を切った

廃妃同然の扱いでイギリスへ飛ばされた叔母の代わりとして 自身が ソ家から再び皇太子妃をと教育されていると知り イギリスまで僕らを訪ねてきたときは まだ中学一年だった
ジュヨン…僕の気持ちなんて知らない彼女は 大学で医療を学んでいる
でも君はなんだかんだ言いながらも シンを好きだったんだろう?
シンの妃候補ファイルに君を見た時 息が止まりそうだったよ…
君がシンに振られてホッとしているなんて知ったら 僕の事嫌いになるかな…
いい加減君を忘れなきゃ… 新しい恋でも訪れて忘れさせて欲しいよ…


聖祖陛下と チェギョンのおじいさんが書面に記した許嫁の約束を ついに形にする日が訪れた
婚約の儀式は 歴代の王が祀られた宗廟(チョンミョ)で行われた
対面に並ぶ二家族の間に 指輪とメダルを並べて 巻物に書かれた約束を確認するだけに小一時間を費やした
立派な巻物には 二人を正式に許嫁とし その婚姻については二人の意思を尊重するものと書かれていた その文章は聖祖陛下の直筆のもので 二人のサインと 国璽までしっかりと刻印された書面を立会人が順に確認した
重そうなカチェ(髪飾り)を頭に着けたチェギョン 美術品のような韓服を身に纏う二人
澄まし顔のシンとは対照的に 緊張が隠せず落ち着かない様子のチェギョン
でもよく見ていると 時々チェギョンの方を優しい瞳で見やるシンの眼差しに 僕はホッとする

婚約式は皇室と チェギョンの家族だけで厳かに執り行われ 広報部から各放送局へ送られた写真と動画に加えたそれぞれの手持ちのシンの即位当時の動画などを加えた物が 夕方のニュースを賑わせた

宗廟に祀られている歴代の王やその忠臣たちの前で 二人は並んで큰절(クンジョル)を捧げた
僕ら親戚の出番が終わり 僕はひとり ふらりと中池塘(チュンジダン)まで歩いて来た すると…池の前のベンチにキム・スヒョンさんが座っていた
「チェギョンの叔父さんだったんですね」
僕が 驚かせないように気を付けながら後ろから声を掛けると振り返り 笑顔を見せる彼
「やあ…義誠大君殿下」
「ユルでいいですよ その呼び名はなんだか慣れないんです それにあなたの方が年上だ 敬語なんてやめてくださいね」
「はは 僕も王族になって長くないので なんだかその気持ち解ります」
「チェギョンから聞きました 奥様 具合どうですか?」
「だいぶ良いです 胎児の成長も 標準値のようですし… ありがとうございます」
「初めてのお子さんなのに心配だと チェギョンが言ってました」
「チェギョンは シン殿下よりも ユル殿下と良くお話するそうですね…」
やっぱり心配だよね…
シンはチェギョンに好きだと伝えられないままみたいだし
こんなところに嫁ぐ姪…
チェギョンが言うにはホントの妹みたいに可愛がってくれてるって…
「シンは…元々無口なんです… そう教育されてきたせいも有ります
立場上 誰と話す時も警戒を解きませんから… 少し時間がかかるのかもしれませんが… きっと大丈夫です あまり心配なさらないで下さい」
僕は シンはチェギョンを好いているからと言いたかったけれど 言えなかった
シンは未だに僕にさえも完全に心を開かない そう簡単には行かないだろう…

しばらく黙ったまま池を見つめていたスヒョンさんが 何かを思い出したようにふっと笑って
「チェギョンはシン殿下が冷たくて怖いって なんであたしと結婚することにしたのか解らないなんて言ってたけど… 殿下は…チェギョンを…本当は好きだよね?」
え?どうしてそれを?
「わかります?」
「うん…なんかチェギョンの話の端々でそう思うし… 今日見た感じでも…表情が…違うよね?」
「ですよね?」
なんだ…そうか…
スヒョンさんの目から見てもシンの愛情は見て取れる程なんだ…
シンをよく観察していれば チェギョンにだけ見せる顔が有ることに気付くんだ
「でもシンは僕にも心を見せてくれないんです
チェギョンにもそう簡単に心を明かすとは思えなくて…だからって僕からチェギョンに伝えても伝わるとは思えませんし…複雑な心境です」
神妙な僕に向かって スヒョンさんはにっこりとほほ笑んで言った
「きっと大丈夫でしょう チェギョンは素直でいい子だから 殿下が負けますよ」
「ふふふ 僕もそんな気がします」
そう遠くない未来に とっても元気で可愛いチェギョンに シンはきっと打ち明けるだろう
ちゃんと愛しく思っているってことを
それまで僕は二人が拗れないように見守ってあげなきゃね

シンとチェギョンはまだ始まったばかりだ
秋の柔らかな日差しが 中池塘のほとりで 二人を大切に想う僕とスヒョンさんに降り注いでいた

今日もお読み頂き ありがとうございます
二人が上手くいくことをこんなにもみんなが見守っているのにね…

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