51.雪の庭園 ~うまいもんだな 流石だ | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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初めての方はかならず はじめまして から順にお読みください 
前のお話→50.お開きのあとで… ~ふふっ 頭の良い人だ…
このお話は 48.クリスマスには東宮殿へ~なんだよ黙り込むなよ に続くチェギョ目線のお話です
このお話実はクリスマスパーティーより前に出来てたんです うふふ
ところが クリスマスには東宮殿へお呼ばれしちゃったので だいぶ手直しをしなければいけなくなっちゃいました!あはは
まあこんな感じで行きつ戻りつ書いています
もしも矛盾に気づかず公開とかしてたら あれ?って突っ込んでもいいですが…
手直しできるかは…不明ですppp



お正月が来た お天気は良いけど 外は極寒なのにオンマとチェジュンは初売りに出かけたの
アッパの仕事はレストランだからお正月は稼ぎ時で あたしはなんだかだるくてひとりお留守番

韓国では ソルラル(旧正月2月初旬)の方が重要なので お正月は穏やかなものよ
だけど 深夜のカウントダウンイベントやTVだって特番のバラエティなんかもそれなりに有るんだ
社会人の祝日は一日だけだけど 高校生はもちろん 学校は全て冬休みだしね

でね… 今あたしが見てるのは…
新年を祝い 国民の健康を願う皇帝陛下からのお言葉を 生中継してるテレビ放送

あ… シンくん… 違った 皇太子殿下…
あたしはあれ以来 皇太子殿下をこっそりシンくんと呼ぶのを止めようと決めたのに
未だに彼を目にすると ついつい「シンくん」って呼んでしまう…
ま 心の中だけなんだもの 誰も気付かないことだけどね…
それでもあたしは あの日感じた彼とのとてつもない距離感で
彼に普通の高校生として恋するなんて 本当に馬鹿げたことだったんだと感じたから…
それに 噂の彼女 ミン・ヒョリンとも すごく親しげだったなぁ
あたしは 見ないように見ないようにと思いつつ ついつい見てしまっていた
東宮殿の巨大なクリスマスツリーの下で 楽しそうに笑ってた二人を 鮮明に思い出せる…
あたしの胸がツキンと痛んだ…
ふふ…ホントに恋しちゃったの?あたしってばバカな子…

画面には 厳かな宮中の庭園を散策する皇室のご一家の姿が映し出されている
今年は皇后陛下の体調が思わしくなく お休みされているらしい…
皇太后陛下と皇帝陛下 それに我らが芸高に在籍する皇太子殿下に加え 数年ぶりに帰省した留学中のヘミョン公主様もTVに映し出されていた
シンくんのお姉さま… 目がクリッと大きくて 溌剌とした姫だったな…
あたしなんか気に入られたのか 気さくに声かけて下さって… 嬉しかったな

旧 正月(ソルラル)・秋夕(チュソク)・寒食(ハンシク)に端午(タノ) 韓国四大名節のときは一般参賀も有って たくさんの人が景福宮に押し寄せるんだけ どね… 今度のソルラルにはあたしも行ってみようかなぁ… クリスマスは せっかく御呼ばれして言ったのに お庭なんて観れなかったしね…
雪の積もった庭園は とっても綺麗で 録画して絵の題材にしようと思い立ち リモコンの録画ボタンを押した

あ そっか そうだ… 
いつだったか お正月の中継見て皇太子殿下のこと なんか感じ悪い子だなって思った覚えがある…
オンマに あんたなんかにはわかりっこない難しいお勉強や悩みを抱えてるんじゃないかって言われて
そうか…って思ったんだよね…先帝が亡くなられて 皇太子に即位したのって中学二年のお正月だったよね…

その年の秋か…芸高受験をオンマにダメって言われて…受験できるかわからなくて不安だったとき観に行ったミュシャ展で…彼にものすご~く激しくぶつかって 怒鳴られそうになって…
ユル先輩ともそこで会ってたんだよね うふふ
アルフを拾って追いかけてきてくれたあの イ・シンくん… だけど本当に皇太子殿下があのイ・シンくんだったのかしらって…
もしかして覚えていないか…聞いてみたかったのに 結局 挨拶以外ロクに言葉も交わせず
遠くから見てるだけだったんだよね…
はぁ~ ひどく 遠い存在だと 改めて感じただけだったなぁ~

これまでだって 学校でも何度か見かけたし 目が合ったかと思うことも有った だけど会話らしい会話なんてしたこともない
そうなんだよね 初雪の日には ファンくんと手つないでるとこ見られたなんてこともあった…
ファンくんちゃんと否定してくれたかなぁ?
って ま あたしが皇太子殿下に憧れてるなんて誰にも言ってないことだし…
いやいやっ!アニラニカッ!
なんども言うけど あたしが好きなのは皇太子殿下じゃなくって “アルフを拾ってくれたシンくん”なんだもん
「ね?アルフ」あたしはテーブルの上のテディベアのアルフをつんとつついた
「おっと…」

あれ?今なんか言った?
あたしの耳には アルフが倒れそうになった瞬間に「おっと」って言ったような気がしたけど…
気のせいか?…そうだよね!あははなに言ってのよあたしってば!少女漫画の読み過ぎっ?!

あ~あ~ それにしても…
「みんなナニしてんのかな~ ガンヒョンなんかギョンくんとデートだったりして… イヒヒ
あ~ あたしはナニやってんだ!
ねぇアルフ 殿下はホントにあんたを拾ってくれたシンくんだった?クリスマスパーティーの時見たでしょう? …イ・シン殿下…か… すっごい素敵だったなぁ~」
あたしはゴロンとソファに横になり 胸に抱いたアルフに話しかけた


「チェギョン… みつけた… またこんなところにそんな薄着で… 今度は何をしているんだ?」
振り返ると 皇太子殿下が 女物の温かそうなコートを手にしてる… え?なんで?
「あ!シンくん!」
はいぃぃぃっ!?ななな…ナニ言ってんのよあたし!!ご本人に向かって!!!
「ほら…また風邪をひかれては困る…」
眉間に皺を寄せてるけど 温かそうなコートを肩に掛けてくれる
「ありがとう えへへ 温かいや」
だからなんでそんなに馴れ馴れしいの?
ってか なんで殿下があたしを探して コート持ってきてくれてんのよぉ~
!?
きゃ////
コートを掛けてくれた殿下は あたしの肩をグッと引き寄せて隣に並び あたしの手の中のスケッチブックに気付く
「で?何をしてたんだ? お 絵を描いてたのか?」
「あ うんあのね ほら 見て!」
あたしは描きかけのスケッチブクを 隣に並んだ殿下の方へずらして見せる
「…!」
ん?殿下絶句してる?ヘタクソだった?
あたしはあわてて自分のスケッチブックを確かめた

スケッチブックに描かれているのは 雪の庭園を眺めるイ・シン殿下とあたし…
しかもシンくんがあたしのこと後ろから包み込むように抱きしめてるとこ…
うぎゃっ!なんでこんな絵を描いたの?!願望か?!ハズカシイ…////

シンくんの顔が身をかがめてツイッっとあたしの顔の横に
「ど…どう?」 か…顔近っ!ドキドキ…
「うまいもんだな… 流石だ…」
あれ?なんか目を細めて… 嬉しそうに… 微笑んだ? きゅん…
こんな表情 初めて見るはずなのに 見た事あるような…

ってかほんと なんであたし…殿下とこんなに仲良く肩を並べてるの?
しかもここ…宮中の庭園だよね…???
なんて ぼんやり考えてたら… きゃっ!うそっ! 
殿下があたしの腕をグイッと引き寄せ その腕の中に引き込んだ
まるであたしの描いた絵の中の彼のように あたしのこと後ろから優しく抱き寄せて あたしの肩の上に顎をのせるんだもん… びっくり…
きゃ~ も~ ど~しよ~ ドキドキ ドキドキ…
「チェギョン…」
あたしの耳の淵に殿下の唇が触れてる… こ…こそばゆいよぉ… きゅ~ん…
苦しくなっていく胸の前で 握りしめたスケッチブックが震える
「…シンくん…?」おそるおそる絞り出す 掠れる声 
目の前に広がる雪の庭園はキラキラと輝いてとても美しいのに 眩しくて目を開けて居られない…
ドキドキ… ドキドキ… はぁ~ん も もうダメぇ… 殿下…は 放してぇ…
あたしはもう立っていられないほど足も震えて 限界だった…
なのに いっそうあたしを抱き寄せる腕に力を入れる殿下が まだあたしの耳の淵に唇をつけたまま言葉を発する
「チェギョン…」
吐息が… あ… やだ… 殿下の舌先が耳に
「んぁっ×××!」 あたしの口をついて出てきちゃったヘンな声と違って
そのうっとりするほど低くて心地良い声で
「チェギョン… ずっとそばに…


「ただいま~ って こらチェギョンッ!またテレビつけっ放しで昼寝してる!」
えっ?ナニッ?何?!なにぃ~~~~~!オンマ? え?え?
ハッ!夢?!夢なのね~~~~!!
あぁ~んっ!今なんか夢のようなすぅっごくいい夢観てたのにぃ~~~っ!!
アレ?夢のようないい夢って ナニ言ってんだか あはは…
でも今!シンくんがなんか言いかけたのにぃ~~~~!!

あたしはもっかい続きが見たくて オンマが初売りの戦利品を披露しようとテーブルに広げ始めたのを無視して
「頭痛いからもう少し寝る」 とガクガクする足で立ち上がり 部屋へ移動した
やだ… あまりにリアリティーありすぎて 躰が熱い…
火照った躰で ベッドに倒れ込んだけど…

当然続きなんか観れなかった… とほほ

そうとも知らないオンマは こんなふしだらな娘の為にお粥を作ってくれたわ…


今日も読んで下さって ありがとうございました。
きゃぁ~んっ チェギョンったら~(//∇//) 正月早々ちょっと刺激的な夢見ちゃった?ドキドキハート
かわいいでしょ?こんな夢くらいでふしだらな娘////なんてうふふ・・・
ん?正夢かって?さあ…だとしてもずっと先のお話デスね… kkk
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 ♥akn♥次のお話は11/1朝8時18分→
52.東宮殿の主は寝室のベッドで ~彼女はわずか十六歳でその試験に合格した
ええっ!?ナニこのタイトル… アニラニカッ!チンジョンハセヨ~