27.芸高祭Ⅱ ~この女が後半何を言ったか聞いていなかった | かおり流 もうひとつの「宮」

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王冠1 かならず はじめまして を お読みください 指輪
前のお話→26.芸高祭 ~じゃぁさ もしかして…
このお話は25.カンバスの中 ~いったい俺がどんな顔を…に続くシン目線のお話です

芸高祭は 十月第一週の土日二日間で開催された
俺は映画科のグループ作成したショートムービー放送の当番を終え
A棟三階の美術室Aへ向かった
美術部の共同制作を始め 美術部個人の絵が展示されている部屋だ
「完成した『親友たち』を観に来てね♪」とユルに誘われたし…な…

B棟からA棟への二階渡り廊下を渡って 三階にあがるなり
「きゃ~ 皇太子殿下~!お…おひとりですか?!」
はは…いつもの黄色い声のお出迎えだ…
「ああ… そうなんだが… ユル兄さんは居る?」
「そうか!ユル先輩 今ちょうど当番交代したチェギョン達と見物に出かけたんですよ~
私 さっき殿下のグループ制作 拝見しました~ 良かったです~」
何?今チェギョンと言ったか?ユル…あいつと芸高祭見物に回るほど親しいのか
俺はチェギョンとユルが見物に出かけた部分がひっかかったせいで この女が後半何を言ったか 聞いていなかった
「チェギョン…?」俺は敢えて それは誰?という調子の声を発した
「あわわごめんなさい知りませんよね… あ でもちょうどユル先輩が描いてくれた絵が…
私たち四人を描いてくださったんです…」

美術部の女が案内してくれたのは 俺が目にしたユルの絵だったが この前俺が目にしたときより ずっと良かった こういうのをなんと表現するべきか…
俺は絵に詳しくないから よくわからなかったが 途中だったあの絵が こんな風に彩色されて こんな風に暖かな作品になるものなんだな…
俺は絵の前で しばらく呆然と ユルの絵を見つめていた
シン・チェギョンか… 三人の親友に囲まれ 大口を開けて品のかけらも無く笑っているのに
どこか 憎めない表情だ… コレがユルの絵の持つ力なのか?

「向かって左端が私で その隣がチェギョン その隣がガンヒョン 右端がヒスンって言って 今チェギョンとヒスンが ユル先輩を独占してて…」
「いや…いいんだ… ユル兄さんがこの絵を描いてるところをみたから どんなふうに完成したか 観に来ただけなんだ…」

「スニョン!ミアネヨ 一人にしちゃって 先生話長いんだもん… お客様たくさん来てた? って わ!皇太子殿下! いらっしゃい…ませ」
その声に振り返ると 長身に髪の長いメガネの女が入って来たところだった
「ああ…真ん中の?」
俺は絵の中のシン・チェギョンの隣の女と 今入って来た メガネをかけた髪の長い女を 交互に指差して言った
「あ はい イ・ガンヒョンと言います」
俺は小さく息を吐いて
「ユル兄さんとは すれ違ったみたいだ… また来るよ… じゃ…」
ゆっくりユルの絵に背を向けながら… もう一度シン・チェギョンを目の端に確認した
シン・チェギョンね… ユルはああ言ったが… やっぱりユル目当てじゃないのか?

翌朝俺は 今度は当番の前に もう一度ユルの絵を観に行った…

「シン!また観に来てくれたんだ!昨日も来てくれたんだろう?」
「ああ…昨日はすれ違いだったらしいな… 前に描きかけを見た時よりずっと良くなってるよ さすがだな」
「おお~ シンのお褒めに預かるとは!」
「ふっ ちゃかすなよ 思った通りに素直に褒めたのに…
絵の事なんかわからないけど ホント なんかいいよ ユル兄さんらしい暖かい絵だ」
せっかくどう言ったらいいかわからないのに褒めてるってのに…

ユルは くすっ と声を上げて笑った
「それは僕の絵じゃなくても 絵の中の女の子が可愛いからじゃない?」

「え~っそれって どの子ですか? ででで殿下~?!」
「ヒスン! 静かにしなさい」
「だぁってガンヒョ~ン 気になるじゃな~い? 殿下! どの子がお好みでござるか?」
「こら! 興奮して変な質問しないの!」

女たちをよそに 俺の顔をじっと見据えるユルが口を開く
「チェ…」「!?」はっきり言って俺はその時慌てていた…
開きかけたユルの唇に 人差し指をグッと押し付け ギロリとユルの瞳を睨みつけた
「む…」俺の指に口を押えられたままのユルも俺を睨み返す でもその目は…笑っている?
「!?」何を言おうとしたんだよ!?俺は目で訴える
ユルときたら 瞳も口角も いつも以上にニンマリと綺麗に笑っていた

「え?え?どういう事?ホントにこの中に好みの子が居るとか?!」
ヒスンと呼ばれた女がまだ何か言いたそうだったがこの話はここまでだ
俺はシン・チェギョンを知ってるってだけで ユルが勝手に勘違いしてるだけだ
俺はシン・チェギョンなんて 好みじゃない… そんな誤解を受けるのはまっぴらだ
「申し訳ない… 俺 結構面食いなんだ」そう言って この場を立ち去ることにした

本当だ 嘘なんか言ってない 俺が気になってるのは シン・チェギョンなんかじゃない アルフレッドに酷似したあのテディベアだ
そう そうだ そうだろう? そう…だよな…?


キラキラ今日も読んで下さって ありがとうございました
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★ 次のお話は明後日20日
朝08:18:18更新デス→28.芸高祭Ⅲ~みんなの騒ぐ声が なんだかずいぶん遠くに聞…
(予告リンク 貼り間違えて27.を貼っていました↑ 訂正してお詫びいたします