37.眠れぬ夜のありえない朝 ~シンくん…温かいや | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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かならず はじめまして を お読みください
前のお話→35.初雪デート~全然本気にしてくれないんだね チェギョン…
このお話は 34.漢江のほとりで ~その揺れる様を ただじっと見ていた… に続くシン目線のお話です

眠れない… 眠れない… イライラ… イライラ…! あぁ~っイライラするっ!!

アルフレッドが居れば眠れる筈だった…今までなら…
だけど今夜は違った
ファンの手に握られていたアイツの手がパッと離れて当たったあのキーフォルダ…
ゆらゆらと揺れていたミニチュアのアルフレッドが 閉じた瞼の闇に浮かぶ…

なんなんだ!!
「くそっ!」 俺は一言唸り ベッドの上にムクリと起き上がった
頭を掻きむしり 溜め息をつき アルフレッドを胸に抱いて もう一度深く息を吐く…
水差しからグラスに水を注ぎ 硬い喉を潤す
それでもまだイライラは鎮まらない

こんな時はいっそ起きてしまおう…そう思い立ち 
リモコンで照明をひとつ明るくし サイドテーブルに置いた硬い表紙を開く

雪の夜に主人公の既婚女性が 一人淋しく公園を歩くシーン 彼女の夫には女がいる…

大きなクリスマスツリー 電飾も消えた夜更けに シンシンと降り積もる雪は 女の頭や肩に降り積もる…
その横顔が余りにも淋しそうで 見ているのが辛くなる

電飾の消えた物悲しいツリーを見上げる女の大きな瞳から ホロリと零れ落ちたのは涙…
ん…?あれ? なんだよ なんでお前が泣いてるんだ?
「おい お前…」
俺の声に振り返ったのは 確かにあの女 シン・チェギョンだった
悲しそうに眉を下げて 零れる涙もそのままに 俺を見つめている…
俺の知っているシン・チェギョンはいつも笑っていた…
こんな顔は見たことは無い が… 確かにあの女だった

「…シンくん!」
は? 今なんといった?
戸惑う俺の胸に アイツが飛び込んできた…
「…会いたかった…」
は? 何を言ってるんだ?
「ずっと待ってたのよ…あたしのこと忘れちゃったのかと思った…」
いや… 覚えている… 覚えてはいるが…
俺たちは別に… そういう間柄ではないだろう?
「もう離さないで…」
えぇっ!?な…なに言ってるんだ?
だいたいお前さっき リュ・ファンと親しげに手を繋いで 初雪デートを楽しんでいたじゃないか!!
俺はガバリと胸の中のコイツの躰を引きはがし その顔を確かめた

「シンくん?」
俺に両肩を掴まれたまま 俺を見上げるシン・チェギョンは 不安げな表情をしている… 潤んだ瞳をふるふると揺らす…
その揺れる瞳には 困惑しきった表情の俺が写り込んでいる
だが…
彼女の肩は降り積もった雪で冷えきっていた
俺はおそるおそる 彼女の肩に置いた両手を背中に回し…その腕に少しずつ力を込めた
「シンくん…温かいや ふふふ」彼女が嬉しそうに笑った
俺は 目の前の彼女の髪に頬を寄せた
「シンくん…大好き」
「!?」 彼女の髪に頬を寄せたまま固まった俺は 大きく目を見開く
なんなんだ?この感覚…この言葉に聞き覚えがあるなんて おかしいだろう!?
彼女とは初めて会ったあの日以来 碌に話したこともないんだから…
俺はもう 何が何だかわからないまま ただ冷えきった彼女を不思議な気持ちで抱き寄せた

「…ねぇ…どうして何も言ってくれないの?」
拗ねたような表情のシン・チェギョンが 腕の中で身を捩り 俺の顔を伺うように見上げている…
こんな顔も初めて見る… なのになぜか見覚えが有る…
じっと見つめていると プゥッと頬を膨らませて両手で俺の胸を押しやろうとする…
俺は無意識にそれを阻むように彼女を更に抱き寄せる
「んもう…」
「!?」 口では怒っているが嬉しそうにすり寄ってくるじゃないか…////カァァァ
「ごめん」
あれ?今俺が言ったのか?
正直俺はごめんなんて言葉を使ったことは無いんだが…?
「待たせて 悪かった…」
おいおい… ちょっと待てよ ナニ言ってるんだ俺?!
だけどそれよりもっと驚いたのは
俺の腕のなかで嬉しそうに微笑む彼女の唇に 吸い寄せられるように 顔を寄せ 薄く瞼を閉じ 自分の唇を…


「おっ早~うシンく~んっ!」
なっ!!なんだっ!?
俺は閉じた瞼をカッと見開く
そこには 随分久しぶりに見る姉さんの笑顔が在った
!?…////
声も出せずに瞬きを繰り返す俺を 楽しそうに眺めて 後ろを振り向く
「あっはは!見てよこの顔っ!ユル!大成功よ~っ!!」
「ふふふっ ヌナ(姉さん)ったらベッドから降りなよ シンが困ってるよ?」
姉さんの後ろからユルが顔を出す
「ヌ…ヌナ… ヌナッ?!」やっと声が出た俺に
「そうよシン!会いたかったわ!」そう言った姉さんは 俺の頬に音をたててキスをした

そこでようやく 俺はさっきのが夢だったことに気付く…
げ… ウェェ~~~ッ?!(なんでだぁ~~~っ?!)
今 俺 確かアイツに…あの女に何をしようとした?キ…キスをしようとしたよな?!
姉さんに起こされなかったら間違いなくしてたぞ!?
ウソダロ…なんで俺がこんな夢を見なきゃならないんだ!?
ふざけるなっ!ああくそっ!!
俺はその夢への余りの驚きと怒りに 目の前の久し振りに会う姉さんを 完全に放置している事にさえ気付かずに居た


公用車に並んで座るユルが ずっとニヤニヤしている
「意外だったな~ シンがテディベアと一緒に寝てるなんて… しかもむちゃくちゃ強くき締めてたよね~♪
まさか皇太子イ・シンが テディイベアを抱きしめて眠ってるなんて 誰も思わないだろうね」
「っ!しつこいな…なんども言うが たまたまだ! 眠れないときだけだ いつもじゃない…」

車中でユルにからかわれながら学校へ行くと 相変わらず黄色い声に迎えられ
更に教室に入ると ギョンの浮かれた声が響き渡っていた
愛しの白鳥と初デートを果たし ちょうどいいタイミングで初雪が降り始め
真剣に愛の告白をしたのが功を奏して ついに交際に持ち込んだそうだ…

その白鳥ってのが どうやら芸高祭のときに言っていた 同じ日本語を専攻している美術科で美術部の美人らしく
あのユルの絵の中で笑っていたシン・チェギョンの隣に居たメガネの女らしいと知って
俺はまたしてもイラついた
しかも
ファンは昨日俺と会った事どころか あの女とデートしたことも 一切何も言わないから
俺も何も言わないことにした
アイツとの交際がどこまでなのか知らないが 公表する気が無いのかなんなのか…
俺は俺で ファンの女とあんな… あんな夢をみたなんて… 当然誰にも言えないからな…

それから俺のイライラは何日も続いた… 幸い
しばらく雪が降り続いた間 朝からあいつが自転車で通学する姿を見かけることは無かった


今日も読んで下さって ありがとうございました
あはは泣き笑い シンくん苛立ちMAXの朝にお姉さまご帰還もやもや  ぶははsei
ユルくんにはからかわれるしもやもや なんだよもうっって感じでしょうかハングル

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星次のお話は明朝8:18:18→38.冬の朝 ~もしかしてだけど…堕ちちゃったんじゃないの?