22.おっかけ ~なんでだか… せつなかった… | かおり流 もうひとつの「宮」

かおり流 もうひとつの「宮」

「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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王冠1 かならず はじめまして を お読みください 指輪
前のお話→21.自転車の少女~やっぱりそうだ…間違いない…
このお話は 20.美術部~あれ?君は…今朝シンが…  に続くチェギョ目線のお話です


夏休みに入ってもあたしはほぼ毎日学校に通ってた
部活の無い日も ガンヒョン達と美術室で課題に取り組んだり
図書室で宿題をしたりして ヒスンの叔母さんがやってる食堂でパッピンスを食べて帰るの
毎日すっごく充実してて楽しかったなぁ

「やぁチェギョン 久しぶりだね 元気だった?」
「あ ユル先輩!珍しいですね!どうされたんですか?」
真夏の陽射しが容赦なく降り注ぐ美術室の廊下であたしは後ろから追いついてきたユル先輩に声を掛けられた
「うん 今日は午後から隣のハンガラム美術館のスタジオジブリ展のオープニング記念イベントなんだ」
「へ~!それも公務なんですか?」
「ああそうだよ 美術関連の公務はほとんど僕がお受けするんだ」
「わ~いいな~ 公務とはいえ 勉強になりそう!」
「おはよ~チェギョン おはようございますユル先輩! なにが“いいな”なの?」
美術室に入るとガンヒョンとヒスン スニョンも来ていた

結局あたしたちは ユル先輩と一緒にハンガラム美術館に付いてきちゃったの
チケットも無しで入れて貰っちゃった
公務の邪魔にならないように離れてたけど ユル先輩がせっかくだから写真を撮ってあげるよと
先輩のカメラであたし達四人の写真を撮ってくれて 皇室専属のカメラマンさんに頼んでユル先輩を囲んでもう一枚
「あとで焼き増ししてあげる」
ユル先輩は本当に綺麗に笑うな~ ヒスンとスニョンが目をハートにするのもうなずける


そして 夏休みも最後の週
いつもの通り ヒスンの叔母さんの店で二つのパッピンスを4人で分け合って満喫してたら
「続いてのニュースです
皇太子イ・シン殿下が 今日午後 釜山の特別養護学校を訪問されました」
「あ!ねえ観て観てー!我らが皇太子殿下よ~!!」
テレビの方向を向いてたスニョンが声を挙げる
「ぎゃ~っ! ホントだぁ~っ カッコイイ~っ!! 」 ヒスンが振り向いて叫ぶ

ガンヒョンも顔を挙げ あたしも振り向いてテレビを見上げた
「皇太子殿下は 小学一年生から中学三年生まで 82名の体や心に障害を持った子どもたちのうち約半分が 夏休みも親元を離れて暮らすこの施設を慰問に訪れ 一人一人と握手を交わし 言葉を掛けられました… 皇太子殿下は 韓国芸術高校に在学中で…」
「わ~ 夏休みなのに大変だね~」
ガンヒョンが顔をしかめる
「涼しげな笑顔振り撒いてるけど 子どもたちや先生達 五十人以上と握手して イチイチ声掛けるなんてしんどいよね~」
「そうよね~ 私たちと同い年でござるよ~」
スニョンとヒスンは目を輝かせて手を組み合わせて続ける
「そっか そうなんだね… やっぱ皇太子って大変なんだね…」
以前はテレビでしか観たことが無かった皇太子殿下
だけど今は
同じ高校で毎朝見かける同い年の男の子なんだもん
それなのに テレビのニュースでこんな風に報道されるのをみると
今までは
どこかに出掛けて 手を振るだけが公務なの?なんて思ってたのが吹き飛んだ
だって美術館で出会った普段着の彼は ちょっと大人びて見えたもの…
高校生かあるいはもっと年上に見えた…
同級生の男の子達とはやっぱりだいぶ違ってた…
友達とはぐれても全然落ち着いてて… って あ あの時のお友達!ユル先輩だったんだ!
だって普段着で美術館だったし 美術科で美術部のユル殿下が従弟のシン殿下を誘って行ったのかも!
そうだよ~!今までどうして気付かなかったんだろう…

「…ン…チェギョ…チェギョンってば~っ!」
「どうしちゃったの!?」
みんな揃ってあたしの顔を覗き込んでる
「あ…いや…何でもない」
皇室マニアのスニョンとヒスンには正直自慢したい話でも有るけど
前に芸高祭でシンくんをみかけたときも
ガンヒョンに ナニいってんの ってスルーされたからね…
信じて貰えないし そんな自慢する話でも無いかな…

「ねえねえ これ今日の何時くらい?」
スニョンが携帯で皇室広報部HPで皇太子殿下のスケジュールを検索する
「十三時ごろだってよ 釜山からソウルへは高速鉄道で移動だって…」 
「え?え?もしかしてもうすぐソウル駅じゃないっ?KTXでしょ?」 ヒスンが身を乗り出す
「行ってみよっか!?」 スニョンが立ち上がる
なのに
「いいわよ別に~」 ガンヒョンは乗り気じゃない
「え~行こうよ~?!チェギョンも行くよね?」
「あたしは…」
ヒスンが目を細めて見上げる 行こうよ~~~~って目が訴えてる
スニョンは上から 見下ろしてる 行こうよ~~~~っって目が訴えてるぅ~っ

「う…うん 行ってみようかなぁ ち 近いしね」
「ったく…夏休みが終われば毎日観れるのに」
「ガ ガンヒョンも行こうよ ねっ 目の保養!」 あたしはガンヒョンの腕を取る
「目の保養になるか?」 ガンヒョンはまだ不服そう…
「なるなる! なるからぁ~~~~❤」
スニョンとヒスン スン姉妹が声をそろえてガンヒョンの背中を押す

ソウル駅には既に あたし達同様 お迎えに来てる様子の女の子達がいっぱい集まってたから
どこで待ってたらいいのか すぐにわかった
「到着されたってよ」「きゃ~ きゃ~」「出口出口!もう来るよ!」
「来た来た!来たよ~ きゃ~っ!」
あたしたちは流されるままに列にならんで それでも最前列の端の方をキープできた

あ シンくん …やっぱりカッコいい… でも… ちょっと疲れてる?
そりゃそうだよね… 夏休み中ご公務であちこちご訪問され…ってさっきの ニュースでも言ってたよね 今日も釜山 遠いのに日帰りで…
高速鉄道なんてあたし乗ったことないもんな… きっと一番良い席ではあるんだろうけど長時間 キツイよね…

ヒスンがあたしの隣で大声を上げる
「皇太子さまぁ~~~っコッチむいて~ ヨギ ヨギ~!!」
あたしは 声も出せずに ぼんやりみてると
シンくんは 右手をあげて ユル先輩のにこやかな笑顔とは違ったスマートなロイヤルスマイルを浮かべて 群がる女子達をぐるりと見回し 公用車の後部座席のドアの前に立つ
「ぎゃ~っチェギョン見た?!見た?!目が有ったかも~っ!」
ヒスンが興奮してあたしの肩をたたく んもう 痛いよ!
そしてイタイよ!コッチなんか見てないってばぁ
と 思いつつシンくんから目が離せないあたしは 驚いた

もう一度振り返ったシンくんが 確かにコッチを観てる
あたしは息が止まりそうになった
ぼうっとして ひたすら瞬きもできずに シンくんを見つめた
目 合ってる? よね?
SPのお兄さんが シンくんの肩にほんの少し触れて囁くように話しかけると
流れるように後部座席に乗り込んじゃった

目 合ったよね? 合ってたよね? 結構長く… 違うの?コレッてイタイ思い込みなのかな?
でもあたしは ヒスンみたいに「目が合った~っ」ってはしゃげなかった
なんか なんでだか… せつなかった… なんでだろう?


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