Tizen や FireFox に将来化ける可能性はあるのか? | 仕事の覚書き

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メモメモ

最近、やたらと Tizen や FireFox に関するニュースが飛び交っているが、本当にそれだけの将来性があるのだろうか?

Tizen、Firefox OS……モバイルOSで新勢力が登場する背景にあるもの(日経トレンディnet)

【レポート】MWC 2013 - ドコモ永田氏が新OS「Tizen」をアピール、サムスン製の端末やアプリも披露

この現状を垣間見て、筆者が思い起こすのが、1990年代前半である。あの、ビル・ゲイツも同じようなことを言ったが、はっきり言って、インターネットの商用利用が解禁になって、あれだけのスピードで WWW が広まるとは予想だにしていなかった。
WWW ブラウザの先駆けは、NCSA の Mosaic である。その後、ビル・ゲイツが慌てて Intenet Explorer に多額の投資をし、NetScape と IE の抱え込み戦争が始まったのは、多くの技術者の記憶にまだ残っているだろう。
複数のブラウザで、異なる実装や解釈あるいは制限などが派生し、多くの技術者が煮え湯を飲まされたものである。

新しい技術を拒むつもりはない。

しかし、選択が増えるに従って、その世界に従事する者は、その多くをキャッチアップしなくてはならなくなるのである。
現時点でも、iOS・Android に Microsoft が参戦している。そして スマホの先駆者である BlackBerry も未だに健在なのである。
ベースは HTML5 とは言え、Tizen と FireFox に未来はあるのだろうか?

技術者層的に言えば、HTML ベースということで、iOS や Android に比べればかなり敷居は低くなる。
今まで iOS や Android はハードルが高いと思っていた技術者にも参入できるようになる。
Adobe AIR などの Flash プログラマにも朗報であろう。
グラフィック的により高度でビジュアル性の高いアプリの開発も高まることが想定される。すなわち、今のスマホ以上にデザイン性が重要な位置付けになってくるわけである。
このような視覚効果の高いアプリが立て続けに出てくれば、若い連中で食指を伸ばす連中も出てくるであろう。

しかし、ビジネス的に成功するかと言うと、そこには市場原理が働く。Apple や Google の市場をある程度崩し、Tizen と FireFox OS で二分したとしても、市場的にはやはり後発である。現在のビジネス市場を寡占する Microsoft もあるので、やはり限界はあり、また、Apple や Google を越えるだけの勢いはない。

技術的には、これらのプロジェクトに関連する技術者はバラ色に話すものの、HTML ベースとなると思い起こすのがウイルスとのイタチごっこである。
MacroMedia そして現在の Adobe の Flash Player の歴史が、ウイルスとの追いかけごっこであったことは言うまでもない。
ベンダーは勝手に拡張できることが自らの利益であるようなことをほざいているが、デファクトにならない技術は単にフィールドの技術者を悩ませるだけの存在に過ぎない。
中途半端な実装をすれば、その脆弱性をつく連中が荒らしまくる。当然、OS のバージョンアップの荒らしになる。
体力のないベンダーは、OS のバージョンアップを諦めるので、体力のないユーザはそのしっぺ返しを喰らう。技術の世界における国取ゲームに見られるいつもの構図である。

Samsung は特定の OS に限定しない 360 °戦略を取っている。キャリアも正直言えば本業は通信である。多くの有名な企業が集まっているとは言え、皆、他に本業を持っているのである。これは逆に言えば、形勢が不利となったら雲散霧消を意味する。

Apple そして Google の強さは、世界市場を一元的に扱うビジネスの同一性にある。

ビジネス的に世界を牛耳る勢いのある Apple や Google そして Amazon などに対抗するために、独自のプラットフォームを用意したとしても、その先にあるビジネスはてんでバラバラ。
既に今の時代、特定の国内のキャリア会社やベンダーなどが、その狭い領域で唯我独尊的な世界を作ろうみたいな姑息な野望が実る時代でもない。

アーキテクチャがシンプルになるから安く作れるなんて言うのも、単にヒットして貰いたい技術屋のたわごと。
それだけの販売量が確保できなければ、安く出来る筈ないでしょっと(苦笑)。iOS や Android と使う部品を定価で比べた机上の計算に過ぎない。

SONY が参入するったって、既に経営的財務的にガタガタの企業。それに Samsung みたいに世界を網羅する販売網を構築している訳でもない。
幾ら自己満足的な製品をリリースしたとしても、それが国内市場に毛の生えた程度のビジネスなら、いずれ、携帯電話のときと同じような末路をたどってお仕舞い。

今のスマホの広がりは、単なるデバイスの性能や機能だけでは比較できない。そのバックグラウンドにあるサーバ群で提供されるサービス、コミュニティーに抱え込んでいる技術者の量と質。サーバとクライアントそしてネットワークで構成されるシステムと、その外に居座る技術者などの人のネットワーク全てが大切なのである。

加盟参入する企業が多くても、それで単一・単相のビジネスモデル・システムモデルで統一されるわけではない。
Apple や Google が 1970年代のスーパーやデパートなら、Tizen や FireFox OS が志向するものは単なるデバイスベースの商店街みたいなものである。



ということで・・・

技術的には面白そうだし、多くの技術者が遊べるおもちゃになりそうではあるものの、スマホを取り巻くシステムネットワークやヒューマンネットワークをどれだけ整備できるか。またそれだけの財力を投資できるか。
筆者は、どうしても、そこが欠点となってしまうように思えてならない。