ダンサーが表現力を学ぶ機会は、意外にも非常に少ないです。
 
役を与えられてから原作を読むとか、先人が演じたビデオや写真を探すとか、教師や先輩からヒントをもらうとか…。
 
あとは、本人の感性がどこまで要求し追求出来るか…そこが最も大きく影響するのではないでしょうか。
 
 
私自身は、舞台経験がほとんど無いままプロの世界に入ってしまいました。そのことによるコンプレックスは、とても大きな物でした。
 
でも、プロのダンサーとなり、作品のリハーサルに参加出来るようになってからは、通常のレッスンだけでは学べない意味のあるポーズや、物語を語るかのような振り付けに魅了されまくりましたバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiD_01_027.gifバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiF_02_021.gif
溝下前芸術監督の細やかな指導の下、どう見せたら効果的か、演じるとはどういうことなのかを、感覚的に学び取っていたように思います。
 
私に直接指導して下さる時の言葉はもちろんですが、先生の注意を受けた先輩たちの動きや演技が、みるみる変化していき、命が宿っていく…。スタジオの脇で見ているだけでも作品に引き込まれていくという体験が、とても刺激的で大好きでしたバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiD_02_310.gif
 
 
私は、役のイメージを色で捉えるので、リハーサルが始まると選ぶレオタードも変わってきます。
意識してではなく、自然と役のイメージの色に手が伸びるのですバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiF_07_298.gif
 
そしてその役が持つ性格が、どのような過程を通って育ってきたのか、納得がいくまでストーリーを考えます。
 
・カラボスは何故あんなにオーロラ姫に執着したのか?
・ミルタは何故女王に君臨したのか?
・クララの理想の女性像はどんなものなのか?
・オデット姫は本当に王子を信じていたのか?
・ニンフはなぜ牧神に興味を持ったのか?
・メルセデスはなぜエスパーダと結婚したがらないのか?
・ジプシーの女は何を望みに生きているのか?
 
…これまで考えてきたことは山のようにあります。
 
 
演技を伝えるには、演者にリアリティがあるか。
しっかりと臨場感があるかが重要です。
 
嬉しいフリ、悲しいフリでは、オーディエンス(観客)の心まで届きません。
 
自分の人生で経験のないことも、まるで経験したことがあるかのような臨場感でリアルに演じる。
これがたまらなく面白いのです。
 
悪魔にでも、お姫様にでも、何にでもなれる。
恋をすることも、絶望することも、幸せを手に入れることも出来るのです。
 
 
 
表現力とは、付けるものではなく、五感を使って想像し、舞台でありのままに生きることバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiF_02_018.gifバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiF_02_018.gifバレリーナが教えるバレエのコツ~井脇幸江バレエスタジオ-emojiF_02_018.gif
 
だと思います。


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