ひょんな経緯で懐かしい玩具に遭遇した。
正確に言えば、玩具と言っていいのかどうか微妙な存在なのだが。
で、その微妙な存在のものが何かと言うと、マテル社のシズラー。
何年か前に1度だけ触れたことが有ったと思うが、手っ取り早く言ってしまえばレーシングカーの類で有る。
普通のレーシングカーのように、電極に沿って走るのでなく、車そのものに充電させて走らせることで、何処でも自由自在に走らせることができるのである。
その上、スピードも従来のレーシングカーの何倍も速く、子供の目では追えないくらい。
従って、サーキットの全長も従来の物の何倍も必要になるわけだ。
スタンダードなセットでも全長5mくらい有ったと思うが、僕は、それを4セット買って20mコースにして使用してたのだ。
まあ、これに近い感じかな。
で、サーキットの全長といいスピード感と言い子供の心を揺すぶらせるには十分な物だったんだけど、何故かブレイクすることなく今日に至っている。
原因のひとつは、従来のレーシングカーに比べて高かったこともあるのだが、最大の欠点があったのである。
で、その欠点なのだが、車そのものに充電して走らせるわけで、当然、一旦走らせてしまったら後は、運と車にお任せ状態。
要するに、手を離した後は、ただただ観てるだけで操作性ゼロ。
となれば、端から状態の良い車が勝つに決まってるわけ。
元々、買った時点でスピードの有る無しのバラ付があるのだが、少しでも早く走らせようとネジとかのパーツを極限まで取り除いたりもしたが、たいして変わりはなかった。
で、これじゃ面白くないと思ってコースを延長して交差させる部分を作った。
そうすることで、車が接触してコースアウトやリタイヤする可能性が出てくる。
で、今度は逆に、衝突した際に飛ばされないよう釣り用の板錘をつけたりして重くしてみた。
重くなった分、スピードは落ちるが、接触の際の影響は少なくなると思ったからだ。
で、感慨といろいろな思いを込めて、初めて走らせた全長20mのサーキット上の3台のシズラーカー。
スタートして何分か経った後で、意図的に作った交差点で最初の衝突!
その瞬間、両車ともコース外に吹っ飛んで大破!!
今になって考えてみれば、あのスピードに車体の素材を考えれば、車体の重さなんて関係なかった。
暫く固まったまま、無言で大破した車を拾い、そのままサーキットの取り壊し。
以後、ウン十年、実家の居間の押入れに仕舞い込んだままである。
まあ、大破といってもボディー部分が割れて外れただけなので接着剤でくっつければ良いだけのことなんだけど、それもする気が起こらなかった。
あれから、普通のレーシングカーは買ったけど、シズラーには、食指が伸びなかった。
大人と違って、子供心は繊細なのである。
想定外の出来事に遭遇することにより、何かが切れてしまって、それまでの関心や興味が覚めてしまう。
シズラーの歴史を覗いてみたら、後にボディーが割れない材質(限りなくゴムに近い)の車が主流になってるようです。
所期の材質のように、プラスチックだと大破して飛び散った破片が目に入ると危ないし。
僕と同じ精神的損傷を負った子供が居たかどうかは解らんけど。
ラジコンでレースが出来る昨今、シズラーは、既にレーシングカーの歴史から忘れ去られた存在になってしまったようです。
ネットで見たら、スタンダードなサーキットが5千円前後で売られてるが、車がないものが多かった。
車だけ壊れてしまった人の出品なんでしょう。
そんな中、サーキットと車が揃ったセットは、1万数千円で出てた。
今時、こんなもの買う奴が居るのか?って思うけど。
もし売れるなら、実家の20mサーキットと製造初期のシズラーカー3台(1台は先の理由により一部破損してるが)と充電器等の周辺機器もひっくるめてオークションに出しちゃうぜ。