変わらない情報システム部としての使いどころ | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

情報システム部門またはそれに類する部門というのはどこの企業にも存在するかと思いますが、その存在意義については各所で危機感を煽る記事が掲載されています。

旧態依然のままの情報システム部門というのは、これまでの社内で募った不満もあいまってクラウドなど変化が早い外部サービスなどに取って変わられるのではないかという懸念です。

ただ、変わらない存在というものが企業内に存在するというのは、サービスの運営面ではよい場合というのもあるのではないかと感じることがあります。



抜け殻となったサービスとその衰退


私は、社内で多くのシステム開発を担当してきましたが、最初は意気揚々と要件を売り込んでくる担当者の熱にほだされ大々的にサービスインしたシステムが、その担当者がいなくなった途端に一気に衰退するという様を何度も見てきました。

運営という立場をしっかり担う人がいなくなっては、如何に軌道にのりまくっているサービスであっても辿る道は下降線でしかありません


軌道に乗ったんだから誰にでも運営できるだろうと考える人が多く、その担当者の能力も買われたりして引き剥がされると、その人の力によって維持していた揚力が失われて失速することになります。

立案した人はある程度、そのサービスに対しての熱意を持っているので維持するように努めますが、引き継いだ人は海のものとも山のものともわからないそのサービスに対してそこまで思い入れがありません。

適当に仕事をしているわけではありませんし、そのサービスの品質を落としている意識もないわけですが、徐々にそのサービスは下降の一途を辿るのはよく見てきた光景です。


これは担当者だけの問題でもなく、その運営を担うチームであったり組織であったりもするわけで、どちらかというと会社の中ではこの問題の方が大きかったりします。

というのも、組織は毎年のようにその役割によって変化していくわけで、その度にサービスを維持していた運営チームは解体の危機にさらされます

こういった企業としての変化の波に比較的影響を受けにくいのが人事であったり総務であったり広報であったり、そして情報システム部門であったりもします。

中の人は変わるにしろ、役割というのは維持されるわけです。


こういったことを逆手に取られてか、運用を維持できないサービス部門のお荷物が情報システム部門にまわされるというのはよくあることではありますが・・・。



変化に取り残されるシステム


サービス部門は、その企業としての方向性など経営指示によって体制がどんどん変化していきます。

その変化に伴って生み出される課題を解決するための仕組みづくりを情報システム部門として協力するわけですが、その変化のために取り残されていくシステムというのが多々あります


先ほど書いたように、それを運営する組織がなくなることで衰退し、また数年後に同じ課題を解決するための仕組みづくりのPJが立ち上がるという具合に。

まぁ、良いか悪いかはおいといてそういったスクラップ&ビルドを繰り返すのに割り切ってしまっているところもあるので、課題は次に持ち越すとしてその場を解決できればいいやというのもありなのかもしれませんが、やはり全体最適化を目指したいという情報システム部門の立場から見るとコストがかかるやり方であったり、数年後とに同じ要件をヒアリングして「その課題前にも聞いたんだけどな」とか「また業務改革とかいってるよ」とか「えー何度目のSFAなんでしょうか?」とかいう心の声を押し殺して対応していっているわけです。


確かに現場手動で、現在巷に溢れるクラウドなど外部サービスを使えば、手軽に課題解決をするソリューションは見つかりそうです。

しかし、それを運営する組織がなくなり維持できなくなった場合に屍となって累々と積み重なるサービスを見て果たしてそれでよかったのか?という疑問も出てきます。

一時の課題の解決にはなったでしょうが、組織は変われどそこに人とその課題は残ったままでしょう。
結局、解決した課題が新しい組織の元で新しい課題として作り直す作業を何度となく繰り返す必要がでてきます。



サービスを動かすも止めるも人の力


ということで、何も情報システム部門が変わらないことが正義というわけではなく、その役割を担い続けることができる組織があるというのは結構重要で貴重なんだな、といいたかっただけです。


こういった視点はエンドユーザーとなるその他の組織の人間にはなかなか見えない観点ではあります。

自分たちが困っているからどうにかしたいという思いはあり、それを解決する方法も知っているんだけど、それって部分最適になりがちで作っては捨てての繰り返しになるという課題を組織として変わらない情報システム部門がうまくサポートしてあげれば全体最適化されてよい方向にむけることができるのではないかということです。


きっと、その課題の渦中にいる人たちも「なんであのシステムが終わるんだろう」とか「なんでもっと改善できないんだろうか?」というような疑問や苛立ちはたくさん持っているのでしょう。

ただ、やはり重要なのはそれを支える中の人の存在で、その人がいない・いなくなったではサービスを支え続けるのは難しいことになります。

こういった人は、特にシステムに詳しいという人が必要なのではなく、どっちかというとその業務を支える役割にある人を巻き込んだ方が活気が出ます

営業管理部門や営業支援部門などその業務を支える役割の部門とかもあったりしますから、そういった人たちが現場での課題を取りまとめてこういった対策を取りたい、そしてそれを維持するための運用というのも自分たちが見るのはかまわないという意気込みがないと長続きはしません。


当然、サービスというのはその時のニーズに沿って変化していくべきでしょうし、社内の状況も刻一刻と変わっていくわけですから、情報システム部門もそれに応える柔軟な体制とサービス維持が必要でしょう。

結局はサービスとはいえ、それを支えるのは人であり、それを良くするにも悪くするにも、それを運営する人の想いであったり、熱意であるということは事実だと思います。