OSのライフサイクル - Windows Vista発売で思うこと - | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

WindowsXPの発売から約6年の月日が流れ2007年1月30日、WindowsVistaが発売されました。

この6年と言うのは、OSのライフサイクルとしては長いものなのでしょうか?

この長いか短いかの判断は、視点によって変わってくると思います。


「個人」としてOSを利用するには、長かったと感じる方も多いと思います。

新しい機能と斬新なインターフェースによって、PCを取り巻く環境を楽しみたいと感じている人もいますから、この視点では心待ちにしている人も少なくないはずです。


ただ、「企業」の視点から見れば「短い」と感じる人も多いでしょう。

企業内での標準OSを入れ替えると言うのは、一大プロジェクトとなります。

Windows2000からXPに切り替わるときも大幅なインターフェースの違いから、かなりの手間がかかった記憶があります。

(今回のWindows Vistaのインターフェースの変更はその比ではありませんが・・・)


こういったOSの入替の検討や導入までの段取り、展開、そしてその後のサポートというのは情報システム部門のお仕事 として、その現場に降りかかってきます。

また、何も情報システム部門だけが大変かといえばそうでもなく、もちろん業務で使用している社員の人もやはり大変です。
使い勝手がガラッと変わると、新たに操作を覚えなくてはなりません。
また、OSの変更によりその上で動いていたソフトウェアが動かなくなる事も多々あります。

さらに、そのソフトウェアをバージョンアップする事によりまた使い勝手が・・・というように労力が大きいわけです。


何も人に紐付く問題だけでなく、コストの面でも膨大なものがあります。

使用するPCの台数により規模が前後しますが、ウン百万からウン千万のライセンス費がかかりさらに、ハイパフォーマンスなPCでしか動かないWindows Vistaを考えるとPC自体の入替という事も考えられます。

もちろん、先ほど述べたOS上に乗るソフトウェアもバージョンアップという事にもなりますし自分たちで面倒を見ているシステムは、その対応に追われたりします。

トータルすると莫大なコストがかかる事は目に見えていることです。

こういうことから、企業にとってはあまりOS自体が切り替わるという事は歓迎されるべきイベントでもなく、そのライフサイクルが長いに越した事はないわけです。

現に、WindowsXPは日本での要望があまりに強かったためサポートの期間を当初の2009年までから2014年までに延長しています。


OSというのは、確かにそのPC上で動くあらゆるソフトウェアや、それを操作する人のライフスタイルにとって核となる存在です。

このOSの限界をその上で動くソフトウェアが超える事はできません。

こういった意味では、OSの発展はソフトウェアや操作する人のライフスタイルの発展・進歩をもたらす事になるわけですが勝手に某社が考えたOSの仕組みがそのままソフトウェアやライフスタイルに純粋な発展をもたらすのかという意味では少し疑問が残ります。

特にライフスタイルにとっては重要な意味を持つと思います。
今やPC自体が一家に一台あるような時代になってきていますし、インターネットの存在はPCを持つ事自体の意義になりつつあります。

こういう意味で、OSを作る側はそれを利用した場合、どのようなライフスタイルが形成されるのか明確なビジョンを利用者に示した方が良いわけです。

新しい機能です。これはあなたのネットライフに革新をもたらします!といわれても何をどう使えば良いのかが、利用者側から見れば分からないわけです。

もちろん、与えてやればそこから新しい芽が出てきたりしてきます。

ですがこれは、他力本願な考えでそこで何か新しいイノベーションが起きて、ほらこのOSは優れてた!といったところで、それは実際は少し違う事になります。

OSという枠を取っ払い、未来のPCを取り巻くライフスタイルを考え、多くの日とのアイデアとともに形成されたOSこそ、本当の発展・進歩をもたらすものではないでしょうか。


近年Web2.0 という言葉が出てきたように、PCを取り巻くスタイルはあちら側へシフトしつつあります。

この流れから、あまりこちら側の環境というのには依存しないものになるかもしれません。

また、WindowsXPのサポート期間が2014年まで延長されたというNewsもありますし、当然それまでにはWindows Vistaの先というのも出てくる事でしょう。

Microsoftの社長は「WindowsVistaは、Windows95の5倍、WindowsXPの2倍売れる」といったそうです。

この意味するところが、単に斬新な機能により利用者が飛びついてくると睨んだものなのか、それともOSのライフスタイルが長い事を意味するものなのか。(後者である事を祈りますが・・・。)

そういう意味で、しばらく様子を見てそのWindows Vistaの先というのをじっくり待ってみるというのも一つの選択肢かもしれません。