クラウンが本来歩むべき道とは何か | Italiaspeedのロックな毎日

クラウンが本来歩むべき道とは何か

 ということで、昨日は新型クラウンはトヨタを変えるのか というエントリを

 書いたんですが、それをさらに補足しようと思いまして。


 カービューにロイターの記事の転載でこんな記事が載ってました。



 焦点:トヨタがデザイン改革に本腰、個性打ち出しブランド強化へ

 http://www.carview.co.jp/news/2/178425/



 これがなかなか興味深い記事でして、詳しくはこの記事を読んで

 いただきたいんですが、兎に角トヨタはデザイン改革に本腰で臨んで

 ますよということが書かれてるんです。出だしがこんな感じ。


 「デザインをかっこよく変えてほしい」。2年前、トヨタ自動車のデザイン本部長

 に抜擢された福市得雄常務役員(61歳)は、豊田章男社長からの注文に

 意見した。「かっこいいだけでは駄目です。トヨタのクルマに一番欠けている

 のは個性じゃないですか」


 こう言ったのは、現在のデザイン分部門トップの福市常務です。

 福市さんは、初代「エスティマ」の外装デザインを手がけ、トヨタ欧州デザイン

 拠点のトップも務めた方だそうで、トヨタ車体から豊田章男社長が直々に

 本社へ呼び戻した方だそうです。


 福市さんは、デザイナーやチーフエンジニアなど開発陣の意思をより尊重する

 しくみに修正し、最終審査でも決定権を持つ役員の人数を大幅に絞り

 「欠点をなくすモノづくり」から「長所を伸ばすモノづくり」への転換を進めた

 そうです。やはり組織の決定プロセスを変えないとダメですよねぇ。


 で、豊田社長も「守りのデザイン」には興味を示さない。福市常務によれば

 「社長は『変わった』と思えることならどんどんやっていく。そういう意味では

 社長が一番アグレッシブ」。とも書かれています。


 う~ん、なるほど。変わったと思えることならどんどんやる、ですか・・・。

 まぁ、言いようによっては非常にいいんですが、その結果が今回のクラウン、

 特にアスリートの顔だとすると、どっかボタンを掛け間違えてるような。


 レスポンスにはこんな記事も出てました。


 山本卓チーフエンジニアは「デザインで時間かけて造ったのはサイド。

 サイドビューが一番きれい」と語る。山本氏は「先代はキャラクターが

 ウェッジシェイプなので、後ろにいくと上がっている。結果として何が

 起こるかというと尻高感が出る。それをまた『マジェスタ』に使うと

 どんどんお尻が上がって見えてしまう。販売店からはもっと水平に

 してくれと言われていた」と明かす。


 ということらしいです。豊田章男社長が何度もダメ出ししたのがこの

 サイドビューで水平がスケッチ通りになってない、と何度もやり直し

 させたそうです。


 確かに、先代と比べると水平になってますが、先代のウェッジシェイプが

 そんなにキツイかというとそれほどでもないと思うんですよねぇ。

 ディーラーから言われた、ということは、当然お客さんからそういう声が

 上がってる、ということです。水平を求めるお客さんっておそらく昔の

 クラウンのほうが良かったよ、というお客さん、つまり50代60代以上の

 お客さんの声を基に作られてるということです。


 ロイヤルとアスリートの2ラインあり、ロイヤルは50代60代でアスリートは

 30代40代向けと分けてますが、サイドビューはさすがに変えられないので

 共通となると、変えられるのは顔ということになりますね。


 本来クラウンが変わった、と思われるようにするんなら、サイドビューも

 含めて全体が今までのクラウンを凌駕するような斬新とまでいかなくても、

 洗練されたモダンなスタイルにするべきではなかったのではないかと。

 結局既存の50代60代の声を反映したら「変革」にならないですよね。


 クラウンのサイトを観ると、クラウンのブランドについて書かれている

 ページがあって、そこでは、クラウンのコアバリューは「伝統の継承」、

 そして「たゆまぬ変革」、と書かれています。


 これってユーザーにはちょっと分かりずらいというか、どちらかというと、

 これはインナー向けに発してるメッセージであり、本来お客さんに

 伝えるべきコアバリューは、「日本の上質」なんじゃないでしょうか。


 たゆまぬ変革があったからこそ伝統は継承されたわけですが、

 そこで表現したかったこと、ユーザーに持って帰ってほしかったことは、

 だからこそクラウンにしか言えない「日本の上質」だと思うんです。

 クラウンは常に日本のトップを走り続けてきた日本を代表するクルマ

 であることは間違いありません。それも最上位の高級車としての地位を

 確固たるものにしてきたのは、デザインも質感も走りも全てにおいて

 日本車最高の「日本の上質」を提供してきたからにほかなりません。


 この考えは間違ってないと思うんですけど、どうですかね。

 トヨタの中の人に聞いてみたいなぁ。これ、間違ってます?


 昨日の会見で豊田章男社長は、「ワオ!と思ってもらえないと若者に

 認めてもらえない」と言ってました。ワオ!と思ってもらうことが

 クラウンが変わったことなんでしょうか。だったらなんでディーラーが

 水平にしてくれ、という声を忠実に聞いたんでしょう。その声は若者の

 声ではなく、既存ユーザーの声です。若者にはあの理解に苦しむ

 稲妻グリルを提供することでOKなんですかね。


 Twitterで、元アウディの和田智さんのアシスタントさんがいみじくも、

 「人を驚かせることがデザインではないと思います。美しいものをつくろう!」

 とツイートしてました。まさしくそうですよね。驚かせることが福市常務の言う

 個性なんでしょうか。個性ってそんなことじゃないでしょう。もしそうだと

 思ってるなら、トヨタのデザイン変革は失敗ですね。


 「日本の上質」は若者に驚いてもらうような次元の低い話ではありません。

 レクサスがあるので難しくなってきてるのは分かりますが、それでも

 「日本の上質」はクラウンしか言えないブランド価値です。

 クラウンアスリートの稲妻顔は決して「日本の上質」ではないですよね。

 上質でありながら30代40代に支持されるデザインってあると思いますよ。


 なんか豊田章男社長以下全員が「トヨタは変わらないといけない」という

 被害妄想的な気持ちに追い立てられていて冷静さを失ってるとも見えます。

 今回のクラウンは原点に立ち返り、と言ってますが、全く原点に立ち返って

 ないですよね。あせってますよ完全に。原点を見失ってます。


 社長以下全員が、もっと冷静にブランドとは何なのか、を見つめ直すことを

 しないと、今までの80点主義以上に酷いクルマたちで溢れることになりそうな

 予感さえします。オーリスしかり、クラウンしかり、です・・・。レクサスの

 スピンドルグリルもグリルばかりが目立って、全体のバランスが悪過ぎます。

 

 和田智さんをデザイントップにしたらいいんじゃないですかね?


 是非トヨタの方にはもう一度トヨタの原点を冷静に見つめ直してほしいと

 願ってやみません。何と言っても日本一いや世界一のクルマメーカー

 なんですから。日本人が誇れるクルマメーカーに是非なってほしいです。





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