届かなかったメール | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「意味深」の続きです。>

早朝の空港ロビー。

子供たちとハニーが
別れのハグを交わす。

このときだけはさすがに
胸がちくんと痛む。

数週間とはいえ、
ハニーから子供たちを
取り上げてしまうことを。

でも出国審査のドアさえ
くぐってしまえば、
そんな小さな罪悪感など、
すぐに消えてなくなる。

わたしにはもっと他に
考えなくてはならないことが
たくさんあるのだ。



飛行機を待つ間、何度となく
河原さんにメールを入れたい
衝動に駆られる。

彼と14年ぶりの再会を果たした
あの夏から数えて、
これが3度目の日本行き。

毎回、移動の途中で
メールをやりとりするのが
習慣になっていた。

ふたりの関係が
うまくいってたときも
またそうでなかったときも。

去年の夏。

ゲート前の待合室でiPadを開いたら、
全く期待していなかったメールが
彼から届いていて、思わず
胸がいっぱいになったっけ。

たった一年前のことなのに、
なんだか懐かしかった。



待ち時間が長ければ長いほど、
彼に連絡をとりたいと思う
気持ちが強くなる。

一方通行のメールでいいから
出したいな。

「今、日本に向かっているところ。

そっちに着いて落ち着いたら、
連絡入れるね」

こんな感じだったら大丈夫かな。

いや。

これで返事が来なかったら
それは彼からの無言の答えかも
しれない。

これだけ無視してるんだから、
いい加減に察してくれ、
という。



迷いながらもわたしは
メールを書き始めた。

ところがいざ書き上がって、
意志も固まり、
あとは送信ボタンを押すだけ
という段階でインターネットが
通じないことに気がついた。

仕方ない。

次の乗り継ぎ時点まで持ち越しだ。



いつもと同じルート。

いつもと同じ空港。

これまで何度も乗り継ぎで
利用している。

ネットが繋がりにくいことは
あったけれど、
全く繋がらないことはなかった。

それなのにその先、
どの空港に着いても
メールを送ることは出来なかった。

結局、そのメールはずっと
下書きフォルダーに入ったまま。

最後まで彼に届けられることは
なかった。



連絡を入れられないまま、
日本に着いてしまった。

さあ、どうやって彼と逢う約束を
とりつけようか。

(続く)

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