前回までのあらすじ:
本田承太郎は藤堂物産で働くサラリーマン。
新たに立ち上げる飲食店のプロジェクトを進める為
部下の前田と共に人事部の倉持部長より
特別講義を受けていました。
第65話:発言権を確立する為の技術
倉持は前回までの話で
執着する姿勢を表現する話をしていました。
次に、演じる部分での
大事な事を話し始めました。
リーダーシップを取る時に効果的なもので
「発言力とトーン」というのがあります。
社内や職場の中で発言権がある人や
発言力がある人がいると思います。
これは性格的な問題というだけで
片付けるほど単純な話ではありません。
自分の周りを見て下さい。
考えると、
発言権がある人ほど自由度が高かったり
社内で評価されてると思いませんか?
友達グループでも職場内でも
その地位に関わらず発言力のある人ほど
実績の評価とは関係無しに
発言権を得ていきます。
これは不得意な人も、
能力としてある程度習得しなければ
上司としては格好がつかないかもしれません。
昔、倉持の部下で小谷野という
とても仕事能力が高くて評価している
部下がいたそうです。
ですが彼は欠点として
表現する力が乏しかったのです。
それが露呈したのは
ある会議の時でした。
倉持は小谷野の能力を知っているので
仕事に疑いはありませんでしたが
彼には会議での発言力が無かったのです。
言っている事も曖昧で解りにくく、
大勢いる上司の前で緊張したのか
声も聞き取りづらくて
何度も「えっ?」と
聞き返されていました。
そのうち、会議で話を振られなくなり
次第に発言権が無くなって
一言も発言しない時もあったのです。
周りの上司には倉持が
小谷野の評価を伝えていましたが
上司の中では、
「発言のスキルがない事はレベルが足りてない」
というような事も指摘されたのです。
その間倉持は小谷野に対し、
伝わらなければ能力が無いのと同じだと
評価されることを何度も説明し
教育したといいます。
その時指導した具体的な内容がこちらです。
①必ず一つは準備した内容の話をする。
準備した内容は具体的なストーリーがある事
②最初に発言する。
最初に発言できる様に言う事を準備しておく
③思った事すぐ言う。
中傷や指摘ではなく自分の意見を言う
④解らない事を質問する。
質問して相手に明確に答えさせる
⑤皆とは逆の意見をあえて言う。
反対意見を言ってみる事で場を活性化させる
⑥具体的で効率の良い方法をいう。
人は具体例と効率が良い方法を受け入れやすい。
⑦アクション・身振り手振りをオーバーにつけて話す。
前述通り相手には印象をつけやすい
⑧話し方に抑揚をつける。
抑揚をつける事で強調する部分のみに
焦点を当てられるので意見が明確になり易い。
この例は、
良い意見を出せる様に指導したのではなく、
自分のポジションを築く為の指導を
倉持が小谷野に対し行なったものでした。
小谷野の例で言うと発言力とは自分が
発言できる環境を作ることで
発言権を得ていく事です。
そして、それを実現するために
トーン=表現方法を工夫して
印象をつけていくのです。
要するに目的は
「印象を付けること」なので
結果や内容は大した意見では
なくても良いのです。
役職が上がっていくと
それなりに勉強したり経験で
話せる内容も増えていきますが
自分のポジションを築く段階では
印象を与える事の方が重要です。
・大きな声で発言
・始めに話す
・思ったとこを言う
・オーバーアクション
こんな上司いませんか?
このように繰り返していくと
慣れてきて自然に良い意見も
出るようになってくるので
次の段階では
「より短く・的を得た意見」を
言うように心がけていきます。
発言が短くて解り易い人ほど
納得されやすいので
自然とインパクトに残るという
図式が成り立っていくのです。
このように発言力で
自分の立ち位置を確立して
周りを信用させていく技術を
身に付ける事で
「本当に自分が通したい意見がある時に
その案を通せるようになる」
と倉持は説明したのでした。
信用・信頼されると仕事のしやすさが
格段に向上し楽しくなります。
苦手でも努力して行くことで
自分の職場環境を
変える事が出来るのが
「発言力」なのです。
倉持は次に
この「発言力」支える
「説得力」について
話を始めていきました。