近くで見ていたやつが
教師を呼びに行ったので
俺達は逃げるように立ち去った。


「達也ぁ、やっちまったなぁ(笑)」


「ああ。やっちまったなぁ(笑)」


「明日から行きずれー(笑)」


「楽しみが増えたじゃん」


「ぜってー仕返しされるよ」


「こえーのか?」


「うるせー(笑)」


「俺がやってやんよワン公」


「俺がやるよ」


「いや、俺がやるよ」


「いやいや、おれがやるから」


「いやいやいや、俺がやるから」


「あん!?」


「あ!?やんのかよ?」



二人とも
興奮状態だったせいか
ちょっと険悪なムードになりながらも
アカシんちの前についた。


小一時間ほどで
アカシとこてっちゃんと信男が
原付で三人乗りをしながら帰ってきた。


お互い目もあわせず
口もきかなかったせいか、
待ってる時間が
とてつもなく長く感じた。


ワン公も俺も
フテ腐れちまってるし、
くだらねー事だったが、
どっちもまだ謝れる状態ではなかった。


やってきたアカシ達を
指差して、ワン公が言った。


「なんかアカシさん変じゃねーか?」


アカシに目をやると
ぐったりしているようだった。

いつも
ばっちりキマってるリーゼントも
くしゃくしゃだった。


「アカシ!」

俺はたまらず駆け寄った。


アカシは口を切り、
綺麗な顔は傷だらけになっていた。


「おう!達也!秀樹!お前等、手かせ!」

こてっちゃんに言われ、
皆でアカシを担ぐように部屋に入った。

「いやー、わりーなぁ…達也ぁ、秀樹、おまえら学校はどーしたんだ」

か細い声でアカシが話し始めた。


「今日は始業式で昼までだったんだよ」


「そっかぁ、いやー、わりーなぁ、口の中が切れてて上手くしゃべれねー」


話を聞くと、
アカシは敵対する狛江西のやつらに
待ち伏せされて
滅多打ちにされたとの事だった。

こてっちゃんと
信男が来た時には
アカシは
ゲーセンの裏で
ボロボロになって倒れていたらしい。


「アカシ、負けたんか?」

「ばぁか、俺が負けっかよ」

「ボロボロじゃん…」

「腹ぁ減ってただけだよ(笑)」

「…」


腹が減って力が出ないって…
ドラゴンボールの
悟空のような言い訳には
返す言葉は無かった。