ちょりっすо(ж>▽<)y ☆リーちゃんでぇす。
妄想は超特急なのに遅筆でゴメンです。
加えて前編・中編・後編で長さ気にして調整していたらいつまで経ってもUPに至らなくなりそうなので気にしないことに致しました!!ああ、なんて潔い(笑)
一葉のお話ってどうしてこう長いのだろうか。でももうこんな風にしか書けないのです。
前編はキョーコちゃまでしたけどこちらは蓮さまsideです。
あっはっはー(‐^▽^‐) ←笑うしかない
前のお話はこちらです↓
「夏の残渣」 一葉作
「夏の残像」 ゆみーのん様作
「夏の残香」 yununo様作
「夏の残照◇前編」 一葉作
蓮キョ愛捧げあい「真夏の夢」シリーズ
■ 夏の残照◇中編 ■
仕事終わりに連絡すると約束していた予定の時間を少し過ぎた頃、ようやく仕事が終わって最上さんに電話をかけた。
「 もしもし、最上さん?いまどこにいる?ラブミー部? 」
「 はい。先日お伝えした通りラブミー部に… 」
「 そう、判った。悪いね、遅くなって。じゃあ俺、いまから迎えに行くから 」
「 は?え?迎えに?…でも、敦賀さんっ! 」
俺の言葉に弾かれたように耳元で驚声を上げた最上さんの顔を想像しながら、彼女に気付かれない程度の苦笑をこぼす。
運転席から空を仰げば暗雲が垂れ込めていた。
朝見た時には確かに青空だったのに、天気予報の通りいまにも降り出しそうな空模様へと変わっていることを実感する。
昨日まではそんなこと、気にもしていなかったのにな。
「 …もしかして、都合が悪くなった? 」
「 いえ、そんなことはありません。でも… 」
太陽の光は陰り、都内には久しぶりに風が渡り始めていた。
暑さはどこかに追いやられ、幾度も肌を滑っていく空気が夏の熱気を無効にしている。
この時点ではまだ、花火大会が中止になるとは発表されていなかったけれど、確実にそうなるだろう事は必至だった。
「 そう?じゃあ俺、今から行くね。もう少しだけ待っててもらえる? 」
「 それはもちろんです。…でも、敦賀さん… 」
再び戸惑う声が聞こえて、耳に押し当てた携帯と一緒に小さく首を横に振ってそっと瞼を伏せた。ハンドルを握る左手にほんの少しの力を込め、やはり気付かれない様に一度だけ深呼吸する。
ごめんね。もしかしたら君が戸惑っているのは、これから雨が降るのに…ってことなのかな。
一緒に夕食を摂りながら花火を見ようって言ったから、それも道理だとは思うけれど。
最上さん。お願いだから、いまさら嫌だなんて言わないでほしい。
「 なに?なんか歯切れが悪いね?俺との約束、覚えているよね? 」
「 もちろんですよ。はっきり、くっきり覚えています 」
「 そう?じゃあ、迎えに行くから待ってて 」
「 ……はい。よろしくお願いします 」
――――― 毎年この時期、都内で花火大会が催される日に限り、敦賀蓮のスケジュールには二通りのパターンが現れる。
花火大会の影響で発生する通行止めや道路渋滞を避けるため、わざと過密にスケジュールを埋めるか、逆に空っぽにするか。
始め、今日の予定は深夜までの撮影が入っていた。
撮りは夕方から始まり、深夜を過ぎた頃に終わりを告げるはずだったのだが、それが監督の都合で無くなった…と社さんから聞かされたのは別の撮影現場で休憩時間に入った直後だった。
「 今回は急なキャンセルになったし、まばらに仕事を入れたら却って大変になるからこのまま空きにするか 」
「 そうですね 」
ため息交じりにそう言った社さんに同意を示すと、そう言えばその時間、キョーコちゃんも仕事が入っていないらしいぞ、の言葉で俺は即、最上さんに電話をかけた。
Yesと答えてくれたのが本当に嬉しくて、彼女と過ごせる時間が持てるのだと思うだけで喜色が浮かんだ。
電話を切ったあとは当然のように社さんにからかわれたけど。
その後の仕事は言うまでもなく順調で、自分でもあきれ返るほど浮かれているな、と思った。
この時期、夏特有のイベント情報はやはり耳に入ってくるもので、だからなのか最上さんとデートする夢を幾度も繰り返し見て来た。
夢とはいえエスカレートしていく自分の行動に、目覚めと共に苦笑を漏らしたのも一度や二度では決してない。
告白をしようと一度は心に決めたけれど、改めて考えれば夢と現実は別のものだ。
――――― 俺は、君を困らせる事はしたくない。
だからせめてデートの夢だけでも実現させてみたい、と思った。
けれど、たとえ手に届くほどの距離で花火大会が開催されても、まさか夢と同じように二人で出掛けるなんて夢のまた夢。
故に食事作りを口実に、一緒に花火を見ようと誘って、ほんの少しだけ特別な時間を君と共有したいと思った。
是非、と答えを貰ったとき、どんなに嬉しかったかなんて君にはきっと判らないだろう。
自分に対するご褒美的な意味合いが無かったとは言わない。だからこそ、決して俺に甘い顔を見せない神の采配に怒りすら覚える。
昨日の夜、ドラマ撮影で一緒になった共演者から今日の花火大会は中止になる可能性が高いと聞いて俺は頭を抱えた。
「 え?花火大会、中止になるんですか? 」
「 いや、まだ決まった訳じゃないんだけどさ、そうなるかもって話。オレ、花火大会の特番に番宣でゲスト出演する予定なんだけど、雨予報だってマネージャーが教えてくれて、さーどうなるかーって話になって… 」
「 …へえ。俺、天気予報とか見てなかったな。一日降る予定なんですか? 」
「 いや、夕方辺りから降るらしいよ 」
「 そうなんですか。中止になったらスケジュールが狂って大変ですし、楽しみにしている人もたくさんいるでしょうから残念ですよね 」
そつない笑顔を浮かべながら、心の中では別の事を考えていた。
せっかくあの子と約束したのに、反故になるなんて絶対に嫌だ。
告白なんて出来なくてもいい。
ただ自分が好きだと思う子と、少しだけ特別で、優しく穏やかに過ぎる夏の時間を共有したい。
恋心は膨らんでいく一方で、この想いは強くなっていくばかり。
だけど天気ばかりはどうにもできない。
それでも諦めたくはなくて、どうしようかと悩んだ時ふとアイディアが思い浮かんで、隙間時間を見つけては携帯片手に調べつくした。
誘ったとき、電話口で嬉しそうな返事をしてくれた君との約束を果たしたい。同時に自分の目的も。
色々な手配を始めたとき、迷いが無かったわけではないけれど、あえて最上さんには内緒にした。正直な事を言えば、君からのキャンセルを聞きたくはなかった。
ああしたら喜んでくれるだろうか。
こうしたら驚いてくれるだろうか。
どうしたらあの子の笑顔を見られるだろう。
俺が一番に考えたのはそれだったんだ。
「 …あの、敦賀さん? 」
「 ん?なに? 」
「 もしかしたら、どこかでお買い物でもするんですか? 」
「 ……しないけど、どうして? 」
「 だって、あの…行き先が… 」
そしていま、俺は彼女と一緒に目的地へと向かっている。
最上さんを乗せて動き出した直後、降り始めた雨の激しさに思わず瞠目した。
花火大会が中止になったことはそれから間もなく、運転中に通り過ぎた都内某所の街頭テレビで確認済み。
「 行き先?ああ、大丈夫。間違っていないから 」
控えめに頬を染めながら、悩んでいるのか緊張しているのか、助手席に座っている最上さんが遠慮がちに口を開く。
いずれは聞かれただろうから焦る気持ちは全くなくて、にっこりと笑ってそう答えると小首を傾げた最上さんからまた質問が投下された。
「 えっと…でも、どこに? 」
「 んー?どこって、約束しただろう?俺と一緒に花火を見ながら夕食を摂ろうって 」
「 し…しましたけど。でもそれは、えっと… 」
…うん。そうだよね。確かに俺、自分の家でって君に伝えたけれど。
ごめんね。それに関しては約束内容を変更させてもらいたい。
何しろ、家から見られるはずの花火大会は中止になってしまったから。
降り始めた雨から逃げる様に、俺は都心を背に走り続けていた。俺の行動の違和に気付いているのだろう最上さんは更に質問を続ける。
「 それで…けっきょく敦賀さんはいまどこに向かっているんですか? 」
「 ん…ごめん。もうここまで来たらあとは着くまでのお楽しみって事にしてもらえる? 」
「 ……はあ 」
街路灯の数が減っていき、行き過ぎる車の数も徐々に減少し始めていた。
すっかり暗くなった辺りの様子を確認するように最上さんは外の景色へと視線を移す。
「 敦賀さん。街灯、すっかりなくなっていますよ? 」
「 うん、そうだね。大丈夫。この車、ちゃんとライト付いているから 」
「 …雨、止んできましたね 」
「 そうだね。たぶん、都心部を抜けたからだと思う。太平洋側に出来た高気圧の影響で平野部だけ雨になるって話だったから… 」
「 へ?そうだったんですか? 」
「 ……予報士の話が本当ならね。都心部に戻ればまだ降ってると思うよ? 」
困らせたくない…なんて思ったくせに、結局いま彼女を困らせているのかな、と思うと薄い自嘲が浮かんだ。
それからほどなく目的地へと到着して、着いたよ、と彼女に伝えてから車を降りた。
心地よい風が吹き渡ったのはそう遠くない場所で雨が降っているからだろう。
同じ東京都なのにここは信じられないほど澄んだ空気で満ちていた。
木立の中に建てられた一軒家の駐車場で、最上さんも俺に倣って車を降りる。
そしてそのまま、彼女は誘われるように夜空を仰いだ。
「 わぁ…星が見える… 」
「 あ、ほんとだ。割と綺麗に見えるね。…最上さん、荷物これでいい? 」
「 わぁ!!敦賀さん、いいです、そんな!!自分でやります 」
「 いいよ、別にそんなことまで気にしないで。それに、せっかく借りたんだろう?着ないと勿体ないよ? 」
「 ……はい、そうですよね 」
俺を見上げて、とても嬉しそうにはにかんだ笑顔がとてつもなくダイナマイトキュートで、抱きしめたい衝動を堪えるために慌てて自分の手を握りしめる。
夢とは違うんだと言い聞かせ、それでも落ち着き払った態度を維持しながら、彼女をエスコートしつつ瀟洒な建物の玄関扉を彼女とくぐった。
⇒ 後編 に続きます
実はこのお話の内容は昨年、セーちゃんからアドバイスを貰っていました。
こんな感じがいい~♪的なリクを下敷きに、今年思いついた妄想を足してお届けしております。
しかし、一葉が書く蓮様ってどうしていつもこんな感じになるんだろうか…。いや、原作沿いを意識しているから似たり寄ったりになっちゃうんだけど。
そうか。だから時々激しくパラレルを書きたくなるんだな。納得。
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