SS 甘美なお礼◇後編 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 一葉でございます (`・ω・´) ウッス!前中後の後編をお届けです


 関係ないですけど、実は我が家のリビングの照明が点かなくなりました…汗

 いっつもそこでPCに向かって入力していたのですっごく困ったのですが、丸管電球の在庫が無く…中編の入力は真っ暗な中でPCに向かいました…。いえ、間接照明などはつけておりましたけれども。


 ですが、衝撃の事実が発覚…。

 近くの販売店では取り扱っていない特殊な電球だったことが判明…。

 そしてさらに追い打ちをかけた事実…。

 探して取り付けた電球でも点かない…。どうやら本体がイカれていた模様~…


 そしていま、どうしてくれんだよガクリ…な環境で入力してます♡

 でも…言っていいですか?照明が点かないって状況でも、一葉の脳裏にモワッと湧き上がるのはどう言う訳か蓮キョ妄想(笑)

 うん♡大丈夫ぅ!!!!

 とめどないアホだっていう自覚、既に持ってますから( ̄▽+ ̄*)にゃはーん


~蓮キョ愛捧げあい(応酬)お礼シリーズ~

■ 甘美なお礼 ◇後編 ■




 蓮が、口を真一文字に結ぶ直前。

 実は、誰にも気づかれない様にこっそりと夢想していた幸せな光景を窘めるように鼓膜を震わせた奏江と千織の鋭い声で、蓮の想像力は正しく別の場面へ展開していた。



 頬を染めたキョーコの周りに突如群がった若い男。

 それは、想像とはいえ新入社員の男たちである。


 露出過剰なキョーコと共にそのシーンが脳裏に浮かんだ刹那、社曰く闇の国の蓮さんが出動し、途端に周囲を冷え冷えとした空気で包んだ。


 だが、それは一瞬ののちに引っ込む。


 なぜなら、キョーコが敏感に怯えを見せながらも、それでも蓮に助けて下さいと詰め寄ったから。



 心に宿ったのは他の男に見せてなるものかという、強い決意。

 そして、怯えさせたことを謝罪するかのように、社長を一瞥後にキョーコを見下ろし、その形の良い唇から蓮は優しく安心させるような声音で穏やかに言葉を紡いだ。


 もちろん、その整った顔に乗っているのは怨キョを射殺す神々スマイル。


「 うん。話はだいたい判ったから… 」


「 助けて…いただけますかっ?? 」


 捧げられる祈りのポーズ。

 縋るように自分を見上げるキョーコの瞳は、涙で艶めきを孕んでいる。


 自分を頼って走り込んできた愛しい彼女からの心からのお願い。

 これを叶えずしてどうしてこの子を守れるというのか。


 蓮は、余裕の笑みでキョーコに応えた。



「 もちろん、大丈夫だよ。俺に任せて? 」


「 は…はいっ!!よろしくお願いしますっ!! 」



 ホッと一息ついて安心したように可憐に微笑んだ彼女を見守り、蓮は右こぶしを握りしめた。


 そもそも、馬の骨の量産を阻止するのは己の役目。


 ゆっくりと歩みを進める社長に再び視線を投げ、片側の口角を上げて不敵に笑うLMEのトップに向かって、蓮は大胆にも鼻で嗤ってみせた。



「 いよう、蓮。お疲れさん 」


「 お疲れ様です、社長。話は彼女たちから聞きましたよ? 」


「 話ぃ?…ってあれか?DVD出演の件か? 」



 自分の場所から3歩離れた所でニヤリと笑って立ち止まったローリィに、蓮は腕組みをしてから深く溜息を吐き出す。

 そのタイミングで3人娘はごくりと固唾をのんだ。



「 どうしてあなたは事あるごとにラブミー部員に変な仕事を与えようとするんですか 」


「 変な仕事とは失礼だな。新入社員研修用のDVDこさえるのが悪いのか? 」


「 内容ではなくて恰好ですよ。バニースタイル…?その格好に意味など無いでしょう 」


「 ラブミー部員にふさわしく、愛される格好を!と一生懸命考えた末で選択してみたんだが? 」



 何が悪いのか判らんプリ…とでも言いそうな雰囲気で頬を膨らましたローリィを、そんな理由でその衣装を選択するなっ!!とラブミー部員たちは脳裏で激しく罵倒した。


 190cmの体躯の後ろ。彼女たちの物言わぬ感情のオーラを敏感に感じ取りながら、蓮は背負った期待に応えるべく、更に思考と舌をフル回転させる。



「 バニースタイルが…ですか?それこそLMEの品性を疑われますよ? 」


「 社員用なんだから構わんだろうが。それに、食いつき方が絶対違う!!と思わんのか? 」


「 …研修用のDVDで食いつき要素を持つ必要はないでしょう?何を考えているんですかっ! 」


「 ああ…もう、うるせー奴だな。なんでお前が目くじらを立てるんだ。だいたいDVDの内容は、就業規則と日々の仕事とその応用編の三部作だぞ?素晴らしく普通の内容だろうが 」



 暖簾に腕押しとはこの事かも知れない…と社が思った瞬間、その場にいた誰もが大魔王降臨の目撃者となった。


 鼻息も荒く胸を張ったローリィに向かい、蓮はかつてないほどの冷気を漂わせて低く声を絞り出した。




「 …――――――― 社長……… 」



 それは、演技というにはあまりにも迫力がありすぎて…


 流石のローリィも小さく唾を飲み込む。



 訪れたしばしの沈黙。

 最初にキョーコが、恐ろしさの余りに蓮から数歩遠ざかった。


 そして今度は社が、続いて奏江と千織が、背筋をゾクリと震わせながら蓮から数歩遠ざかる。



 コツン…



 蓮の足元から響く靴音が、地獄への招待を約束しているかのようだった。


 はっきりとした怒気を冷徹な笑いに変えて、蓮は情け容赦の一切をかみ殺し、3歩進んだ所で小さくローリィの耳元で囁く。



「 …いいんですか?社長…? 」


 呟かれた蓮の声は潜めるような小さな声音。


「 何がだ?いいに決まってるだろうが 」


 それに合わせてローリィの声音もまた密やかなトーンで繰り出された。

 それゆえ二人の会話はひっそりとしめやかに、二人の間で秘め事のように交わされるのみ。



「 そうですか…?きっとマリアちゃん、最上さんにそんな恰好をさせて彼女を泣かせたと知ったら、この上もないほど激怒するでしょうね? 」



 瞬間、ローリィの耳がピクンと震えたのを、蓮が見逃すはずもなかった。

 狙った獲物を捉える猛獣のように、容赦なくじわじわと追い詰めていく姿はまさにハンター。



「 ……ふ…ふん!!別に、俺はマリアにどう思われようと構わん!! 」


「 おや?そうなんですか…?でもきっと、この話はコウキさんの耳にも入ると思いますけど? 」


「 …何? 」


「 マリアちゃんが、コウキさんに毎日の報告をしていることはご存じなんでしょう?いいんですか?マリアちゃんはきっと、激怒しながらコウキさんに訴えるでしょうね?そして、社長がそんなDVDを作ると知ったら…。あの真面目なコウキさんの事です。あなたを見限るかも知れませんね…? 」


「 …グッ!!! 」



 蓮は魔性の笑みを満面に湛えると、声を詰まらせて自分を睨み上げるローリィに向かって、満足そうに眼を細めてみせた。



 愛の伝道師、ローリィ宝田…。

 外部に漏れることは無いと思われる彼のアキレスは、実は身内なのである。


 幼い頃からずっと顔を合わせて来たからこそ、蓮はその事を熟知していた。



「 …まあ、いいだろう。今回はお前の必死さに免じて、俺が身を引くとしよう… 」


 苦虫を潰した顔のローリィに小さく吹き出してから、蓮はクスクスと笑った。

 そんな蓮を睨みながら面白くなさそうに眉をひそめたローリィは、そう声高らかに捨て台詞を残すと潔く3人娘に背を向けた。


「 ええ、ぜひ、そうして下さい。有難うございます… 」


「 行くぞ!野郎ども!! 」



 蓮以外の4人が、あんぐりと口を開けたのはもはや当然と言えるだろう。


 話し声こそ聞こえなかったものの

 本当に、こんなにもあっさりと

 あのローリィ宝田社長が身を引くなど想像も出来なかったのだ。


 一体どんな魔法を使ったのかと

 一部始終をただ見守っていた3人娘と社は、目をいつもの倍は見開いた状態で信じられないとばかりに蓮の方へと駆け寄った。



「 すごい!!敦賀さん、本当に凄いです!!どうやったんですか? 」


「 蓮!!お前すごいな?社長、帰って行ったじゃないか!!スゴイな、お前 」


「 さすが敦賀さんです!!一時はどうなるかとも思いましたが、本当に助かりました!! 」


「 女優生命を救って頂き有難うございます!!おかげで寿命が延びました!! 」


 口々に飛び出す賞賛を受け止め、蓮はにっこりと笑う。

 それは、目的を達せた事への満足感と、馬の骨の量産を阻止できたことに安堵している笑顔だった。



「 はい。問題は無事解決。良かったね? 」


「 はい!!本当にありがとうございます!!本当に!!敦賀さんのおかげで助かりました!! 」


 何度も何度も頭を下げるキョーコに、役に立てて良かったと建前をこぼす蓮。

 一方で、蓮の脳内では見たわけでもないのに記憶に焼き付いたキョーコのバニー姿が何度も行き来を繰り返していた。



「 本当に敦賀さんは神に等しい人です!!本当にありがとうございます!! 」



 もちろん、自分の為に着て見せて欲しい…などと口にできるはずもない。

 いまそれを回避させるために頑張った自分には、軽蔑されずにおねだりする手段など浮かぶはずもない。



「 有難うございました! 」


「 いいよ…本当に、そんなに何度も言わなくても… 」



 この時、柔らかい笑顔を浮かべたものの、蓮の心にはほんの少しの罪悪感が疼いていた。



 曇りのない可愛い顔で

 自分を見上げる彼女の眼差しは、いつだって疑う事を知らない純粋無垢な輝き。



「 そんな!!お礼ぐらい何回だって言わせてください!!あの破廉恥な衣装を着なくて済んだんですから!!心の底から感謝します!! 」



 愛しい彼女の瞳が

 感謝の涙で潤んでいるのを見れば


 自分を誘っているように思えてどうしようもない…などと考えてしまう自分を叱責し、蓮は笑顔を固めて一呼吸の間を置いてからキョーコ曰く破廉恥な欲望をぐっと抑え込んだ。

 だが、事態とは時に思わぬ方向に転んでいくものである。



「 本当に、助かりました。敦賀さん 」


「 ええ、本当に。有難うございました! 」


「 いえいえ、お役に立てて光栄です… 」



 千織と奏江の声に反応して、万人受けする紳士の微笑みを繰り出すと、礼儀正しく頭を下げたラブミー部員の二人は、自分たちの間に立っていたキョーコの背中に手を当てて、お礼の品を差し出してきた。



「 お礼になるかどうかは判りませんが… 」


「 どうぞ、京子さんをお持ち帰りください… 」


「 …え? 」


 その、あまりに甘美なお礼の品に、蓮は瞬きすら止めてキョーコを見下ろした。



「 ちょっ!!やめてよ二人とも!!何を言っているの? 」


「 何って、お礼よ?敦賀さんのおかげで無事に回避出来たのよ。あんただって感謝しているでしょ? 」


「 そりゃ!!もちろん、感謝しているけど… 」


「 あら、じゃあ何も問題ないですね。社さんに確認したところ、今日はもう帰るだけとお伺いしましたし…って事で、敦賀さん? 」


「 …はい? 」


「 本当に助かりました。有難うございました!! 」


 グーッと押し出されたお礼の品は、真っ赤な顔で抵抗を見せていたが、舞い降りた幸運に手を伸ばさないほど無欲な自分などどこにも居ない。



「 え?ええええっっ!!??ちょっと、二人ともぉ!?? 」


「 …じゃあ、そう言う事なら、ありがたく頂戴しようかな…? 」


「 どうぞ、どうぞ… 」



 両肩をがっちりと蓮にホールドされたキョーコに向かって、奏江と千織は軽やかに手を振った。

 二人はやれやれと胸を撫で下ろし、穏やかな笑顔を湛えて文字通り、大した労を要せずしてこの危機的状況を回避できたことに感謝しながら帰路へと旅立つ。




 一方、まだそこに存在していた社は…


 取り残されたキョーコに憐れんだ視線を投げたものの、先ほど吹き出した闇の国の蓮さんを思い出し、瞬間視線が合った蓮に向かい、何事もなかったかのように陽気な笑顔を向け、気を付けて帰れよ?と言うにとどめてその場を去った。



「 ええっ!??社さぁん?私は…? 」


「 何言ってるの?最上さんは、俺と一緒に帰るんでしょ? 」



 その日…

 お持ち帰りされたであろうキョーコの末路を知っているのは


 当の本人たちばかりなり…である。






     E N D


ただの社員研修のDVD見てここまで蓮キョ妄想するのってたぶん、一葉ぐらいだよね(笑)

ちなみに、一葉脳内スキビランキング♡

1・蓮、2・キョーコちゃん、3・マリアちゃん、4・社さん、5・ローリィ…

そう。なんとローリィ社長、まさかの5位です♡

ちなみに奏江は6位だったり。


⇒甘美なお礼◇後編・拍手

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※このお話のコラボ続編こちらです⇒「諦めきれないお礼 」sei様作


 

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