SS 幸せの理由 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 こにゃにゃちは~ん( ̄▽+ ̄*) 一葉梨紗です。

 2日と空けずお話をアップしてしまう節操のない私。


 今日のSSは、理由シリーズです。自分で書いたSSの後にユーちゃんサマに続きを書いていただいて、さらにサンドイッチのように自分で続きを書くと言う…。頂いた指令をクリアしてもいないのに(爆)

 どうしようもない蓮キョ愛妄想熱。


 いまも3人で蓮キョ愛鍛錬合宿中。(←何を鍛錬しているのか記憶も定かでない・笑

 一番苦しんでいるのは一葉に紫陽花シリーズを押し付けられたセーちゃんかも知れない(←・・・)


 このお話は続き物です。

①見えない理由【前編 ・ 後編】/一葉作

逃げたい理由/yununo様作

…お読みになってから↓へ進んでくださいねんハートいつものように長いでっすо(ж>▽<)y ☆


~蓮キョ愛捧げあい(応酬)理由シリーズ~

■ 幸せの理由 ■




 結婚をすると報告をしてから間もなく

 一通のエアメールが投函された。


 彼の住所宛だから、もちろん彼宛てだったのだけれど

 封筒の裏に明記された差出人欄には、一言しか書かれていなくて。


 二人の息子へ、と記されたその言葉に、二人で顔を見合わせて苦く笑った。



「 父の字だよ 」



 そう言って、敦賀さんは懐かしそうに眼を細めながら封を切った…






 ――――― 愛する息子へ




 もう、何年前の事になるかな


 瞼を閉じれば、いまも鮮明に思い出せる

 それは、お前が生まれた日



 愛しい妻との間に出来た

 愛の結晶のお前が


 力強い産声を上げて

 わたしたちの前に姿を現した、尊いあの日


 誰もいない家に戻って

 静かにコーヒーを飲みながら


 わたしは、嬉しくて思わず涙をこぼしたんだよ



 今でもコーヒーを口にすれば

 あの日の事を思い出せるんだ




 ある日、

 お前のオムツが紫色に染まっているのを見た時

 私の顔は真っ青になった


 でもそれは

 ジュリが美容の為にと良く口にしていた

 ブルーベリーをお前が食べ過ぎたせいだと判って


 胸をなでおろした時の安堵を今でも覚えている



 成長したお前が

 ジュリと一緒にブルーベリーを口にしているのを見るたびに

 実は思い出し笑いをしていたことは

 いまはじめて明かす事実だ




 歩き始めた頃 お前は

 テーブルの角におでこをぶつけて

 火が付いたように泣き出した


 わたしは急いで手を伸ばしたつもりだったが

 あと少し、間に合わなくて


 男の子だから大丈夫よ、と笑ったジュリとは対照的に

 わたしは今でもお前のおでこを見ると

 心の中で謝ることがあるよ


 お前が悪い事をするとデコピンをしたくなるのは

 そういう経緯があったのだと理解して欲しい




 また少し成長したお前は

 わたしが作るオムライスを良く頬張っていた


 口いっぱいに満たされたそれが

 食べ疲れて眠り込んだ口からはみ出しているのを見るたびに

 こそばゆくて

 とても嬉しくて


 何度も何度も

 写真を撮ったりしていた事を

 たぶん、お前は知らないだろう?



 いつの間にかわたしの背を追い越しはしたが

 お前がそこまで大きくなったのは

 あのオムライスの影響だと

 わたしは本気で信じているんだ



 お前がハサミを使い始めた頃かな

 わたしは毎日ハラハラしっぱなしだった


 ハサミの洗礼を受けたわたしの台本は

 一体何冊になったのかを数えた事こそないが


 実は一冊残らず家の中に置いてあることを

 お前はまだ知らないのだろうな




 そうして、日々は眩しく過ぎていった。



 ある日、お前が書いた絵を見かけて

 わたしは胸を詰まらせた



 髪は毛玉のようにごちゃごちゃで

 普段眼鏡などしないのに

 テレビできっとわたしの事を見たんだろうな


 変な形の眼鏡をかけた

 それは間違いなく自分だと

 確信すら持てる、私の似顔絵だった


 誰が何と言おうと

 世界で一番上手な絵だったよ




 お前と初めて海に行ったとき

 沖まで連れて行った事を覚えているか


 お前は波が怖いと大声で泣いていて

 浮き輪にずっとしがみついていたくせに

 綺麗な魚が泳いでいるのを目にした途端

 天使の笑顔をわたしに見せてくれたんだ



 お前と初めて山に行ったとき

 そりゃあ高い木に登った事を覚えているか


 こんなの絶対登れないだなんて

 やってみもしないうちからお前が言うから

 わたしもムキになって一緒に登った


 下で叫んでいたジュリを無視して

 二人で仰ぎ見た空の青さを わたしはいまも思い出せるぞ




 空の遊びは最高だった


 ジュリはやめろと言っていたけど

 わたしが手伝うから大丈夫だと言ったら

 ひどくお前がむくれたのを覚えているよ


 二人で飛び込んだ大空の中で

 お前のパラシュートが美しく咲いたとき


 お前はわたしが思う以上に

 ひとりでちゃんと出来るのだと

 寂しさを知った遊びでもあった




 わたしは時々、思っていた

 幸せすぎるのではないかと


 お前がいて

 妻が居て

 仕事があって


 仲間がいてくれた



 毎日が素晴らしく

 毎日が美しく

 毎日が楽しく過ぎていった


 成長と共にお前の顔から笑顔が消えて


 わたしの仕事が好きだと言ったお前の言葉を信じて

 ただがむしゃらに役者として頑張っていたことが


 お前の笑顔を作るどころか

 逆にお前を追い詰めていたことに

 ちっとも気付かなかったバカな父親だったんだ



 お前を愛しているからこそ

 幸せに出来ると信じていた


 心から愛していたからこそ

 絶対に出来ると縋っていた



 わたしの手からお前が飛び立ったあの日



 誰もいない家に戻って

 静かにコーヒーを飲みながら


 わたしは、自分のふがいなさに涙を落としたんだよ



 情けない、父親だろう?



 けれどお前は、戻ってきてくれた


 自分の力で

 世界に認めさせて


 自分の脚で歩いて

 わたしたちの元へ戻ってきてくれた


 愛しい人を、伴って



 この奇跡を心から感謝している


 わたしはもう、一生分の幸せを貰ったと思っている



 お前は、これからどんな人生を歩むのかな


 瞼を閉じて想像するだけで

 自然と笑顔がこぼれるのが不思議だよな



 結婚すると聞いた後


 コーヒーの香りが満ちた部屋で

 ジュリと一緒に肩を寄せて

 お前の幼い頃の話をした



 コーヒーの香りをかぐたびに

 わたしは何度でも思い出すんだ



 小さなお前を抱き上げた

 あの穏やかな日の事を…







 …――――― 眩しい、太陽の光が、足元で温もりを作っていた。


 手紙を読み終えた彼は俯き加減で、両目を覆うように右手を添えて

 静かに肩を震わせていた。



 手に取るように気持ちが判っただけに、声を掛けることは出来なくて。

 そっとしておこうと、私が腰を浮かせると



「 そばにいて… 」



 震えた声の持ち主は、両腕で私の腰元を抱きしめ、そのままそこに顔をうずめた。


「 …コーヒーを…淹れてこようと思ったんです… 」


 サラリと柔らかい髪を梳いて、腰元に巻き付いた大好きな人を見下ろしながら、彼を温めるように抱きしめた。



「 …いま、飲みたいでしょう? 」



 顔をあげないまま頷いた彼を確認すると、自分の口角が自然と持ち上がって愛しい気持ちが込み上げる。

 愛されていること。

 愛していると想えること。


 それが、幸せなのかもしれないと、漠然と思った。



「 なるべく早めに、顔を見せに行きましょうね? 」


「 ……うん。…あの、ね?キョーコ… 」




 母国でも、結婚式を挙げたい…。



 真剣な顔で呟いた彼に

 柔らかく笑みを見せて、そうですね、と静かに答えた。





   E N D


17、18、19巻をこれでもかと読み返しての大暴走妄想熱。

しかし、日本で式を挙げてもクーは来るんじゃねえのかとか別の次元で一人ツッコミ。2回も息子の結婚式を見る父親。どうよ?(←何がだ)


ええ、蓮キョ愛とは言いつつ、一葉は、蓮を幸せにすることを目的にお話を綴っております故、ご容赦願いたいと思います。

誤字脱字がない事を祈るっ((>д<))


ちなみにこのお話は、石垣十という作家さま?(うろ覚え)が書かれた絵本を元に綴りました。




⇒幸せの理由・拍手

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※理由シリーズ続きこちらです⇒セーちゃん作「不機嫌な理由
 

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