日本一への挑戦 | Enjoy 市タマ Life

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市之倉たまおき歯科(市タマ)院長が綴る不定期更新ブログ

昨日、メンバーと一緒に富士山に挑戦してきました。

今年の医院のテーマは「挑戦&成長」

今までやったことのないこと、新しいことに挑戦しようと言うもの。

そこで出た案が「富士山登頂・日本一制覇!」

初めは冗談半分でしたが、いつの間にか現実に。


日程を決め、挑戦するメンバーを募集。
もちろんメンバー全員とはいきませんが、なんと5人が挑戦したいと。
チーフが何年も前に家族で山登りした以外は、登山の経験などみんなゼロ。
できない理由、やめる理由はいくらでもありましたが、絶対みんなで登頂しようと。

それに向け、トレーニングチーム「かすみーず」発足。

診療後、みんな疲れているにも関わらず、夜のランニングをして心肺能力の向上。
雨の日は、ビーリーズブートキャンプ(´∀`)


本番の練習として金華山に登り、イメージを高める。
必要な能力、足りないものなどを確認。

それぞれが日本一に挑むための準備をした。

個人的に筋トレや朝ランをするもの。
家でもコアリズムにて身体を絞り込むもの。
岩登りで調整するもの。
上高地で合宿までして、当日に備えるもの・・・

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今回の富士山挑戦のしおりもつくり、
富士山登山についての知識も高め、目的や得たい結果も明確にしていった。

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参加メンバーだったちーちゃんは、急きょオペの予定が入り、応援にまわる。
当日行けないメンバーも、お守りを作り、
さらに頂上に掲げる市タマの旗までつくってくれた。

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そして迎えた挑戦当日。

前日の天気予報では、昼から雨。
しかも嵐を伴う激しい雨。

急きょ、出発を2時間早め、日の出前の朝4時から登り始めることに。
この選択が、僕たちの運命を左右することとなる。


午前4時 真っ暗な中、準備。
普段は日本一暑い街 多治見で半袖半ズボン。
この日は一気に標高を上げ、しかも明け方前なので寒さが尋常じゃない。

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凍えながら準備し、登山開始。
間もなく辺りが明るくなってくる。
御来光だ。

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気持ちいい朝日を全身で感じながら登っていく。
金華山で練習した時は、エラすぎて、目の前に星がキラキラしていたと言う桜井先生も、
練習の甲斐があり余裕。
天気も良く、快調に登っていく。

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あっという間に6合目到着。
山小屋の前でひと休み。
「こんなん、わけないね。」

この時点で、これから待ち受ける過酷な現実をまだ誰も知る由もない。

注意されていた水分補給、そして酸素も口にしながら、
張り切って登っていく。

山小屋が見えてきた。
7合目到着。

ふぅ。
さすがに、エラい。
行動食を口にし、体力回復に努める。

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雲の上。
すでにそんな感じ。

標高が上がるにつれ、気温もどんどん下がってきた。
半ズボンで挑んでいた僕も、上から一枚着用。
さぁ行こう!

この辺りから、風も出はじめ、吹き飛ばされないように気をつけて一歩一歩進んで行く。

遅れるものも出てきたので、休みながら仲間とペースを合わせて登っていく。
さすが、日本一の山、エラい、マジでエラい。

ようやく山小屋が見えてきた。
疲れた身体にムチを打ち必死で登りきる。
やっと着いた。

ん?
一瞬 目を疑った。
「元祖7合目」

なんじゃこれ?8合目じゃないの!

8合目はまだまだ先。
ここは元祖7合目らしい。
元祖とか、いらんし・・・。
疲れが一気に倍増する。

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さすがの僕も、ヘトヘトに。
ただし、弱音は禁物。
気を取り直して、前進するしかない。

そこへ追い打ちをかけるように、信じられないものが目に飛び込んできた。

「残雪のため、この先、進入禁止」

は?
上まで行けんの???

みんなとの約束はどーなるんだ・・・

よく見ると、看板を無視して、登っていく人が。
いいのか?
いや、僕たちも行く。絶対登頂する!

看板を横目に、また登り始める。

8合目までが、とてつもなく長く感じる。
そしてついに、リーダーのかすみんがピヨってしまう。

前に進めない。身体が動かない。
しかし、酸素を吸い、仲間に励まされながら、一歩、また一歩を足を動かす。

山小屋が見えてから、どのくらいの時間が経過したのだろう。
倒れ込むように8合目に到着。
7合目から、途中 元祖7合目を通過し、やっと8合目。
まだ、この先9合目、さらに・・・と考えると、心の中に不安がよぎる。
果たして、全員で登頂できるのだろうか。

しかし、仲間と誓い合ったメンバー全員での登頂に向け、諦める訳にはいかない。
参加できなかった仲間が祈りを込めてくれたお守りを握りしめ、再び立ち上がる。

絶対に諦められない理由が、僕にはもう一つあった。
子どもに日本で一番高い所にある石を持って帰るからと約束していた。

子どももそれを楽しみに、富士山登頂の応援歌まで作ってくれた。
すでに友達にも言っちゃったらしい。

自分のためだけじゃなく、誰か他の人のためと思うと、限界を超えられる。
行こう!



ここからは、一歩一歩が自分にのしかかってくる。
こんなに身体が重かったのかとさえ思う。

そしてついに、恐れていたことが起こる。

副院長の桜井先生がピヨってしまった。
明らかに顔色も悪い。
金華山での悪夢がよみがえる。

ダメだ。
仲間の励ましにも、笑顔は一切ない。
先はまだまだ果てしない。
決断を迫られる時がきた。

下山・・・

一瞬、そんなことが頭によぎるも、桜井先生はゆっくり動き出した。
まだ、行けるのか。

すでに祈るしかない状況。

頭痛で顔をしかめる。
呼吸もおかしい。
一歩前に進むのに、そんなに力がいるのか・・・。


明らかに高山病と思える症状。
しかし、前へ。また一歩前へ。

山小屋が見えた。
元祖8合目とか言わんでくれよ。

辿り着いたそこには、9合目の文字。
やった。

万年雪が僕たちの心を落ち着かせてくれる。

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桜井先生も最後の力を振り絞り、頭を冷やす。

後から聞いた話だが、高山病の時は、温かい飲み物を飲み、身体を温めるといいらしい。
やってることは、まさに逆だった。


あと1合。
そこには、日本の頂が・・・。


再び、歩き始める。
あと1合と言うことで、リーダーの かすみんはピヨりから回復。
桜井先生は、相変わらずピヨり状態でのリスタートとなった。

チーフのはるみさんは元気いっぱい。
僕もなんだか気持ちが高ぶり、ナチュラルハイテンションに。
早く登りたい。日本一の場所に。


勢い良く登って行くと山小屋が見えてきた。
でも頂上じゃない。まだ上はある。
たどり着くと、9.5合目。

ラストの戦いに備え、パワーを回復。
桜井先生は完全にピヨピヨのまま。


そこで、休憩中の登山者が声をかけてくれた。
「今日は、天気も持ちそうだし、行けるよ。」
僕たちがはじめての挑戦ということを伝えると、
「僕は、今年48回目だけど、今日の天気なら大丈夫だよ」

は?
48回目?
まだ山開きして2週間も経ってないはず。

聞けば、昨日も登ったとのこと。
そして、山開きとは関係なく、冬の間も一人で登っていると。
「冬は雪が腰くらいまであってねぇ、山頂はマイナス35度くらいになるんだよ」

何者だ?と思い色々話していると、「登山家」ですと。
長崎出身で、登山を始めてまだ2年。
さらに、驚いたことに僕のテニス部の後輩Hの同級生だった。
こんな所で、長崎にいる後輩Hの話で盛り上がる。
疲れを忘れるとは、このことか。


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彼の名はインディー。(本名は鈴木さん)
なんと来年、もの凄い挑戦をするらしい。

世界7大陸の山を何日で登りきれるか。
その世界記録136日を更新してギネスにチャレンジすると。
スゴすぎる・・・。

富士山の頂上を前に、Facebook友達になり、応援態勢に。


元気を回復し、最後の戦いが始まった。
一歩一歩が、苦しみから楽しみに変わっていく。

雨の予報にも関わらず、空はまだ晴れている。
天も味方してくれているのか。

行く手を阻むのは、足元に現れた雪。
油断すれば、転び、滑り落ちる。
7合目にあった看板を思い出す。

もう後には引けない。行くしかない。
でも、どうやってこの雪の上を登っていったらいいんだ???

リーダーかすみんとチーフのはるみさんが困っていると、
上の方から誰か降りてくる。
インディーだ!

先に行ったはずのインディーが、雪道で困っている僕たちを助けに
わざわざ降りてきてくれた。
慣れた様子で足場を固め、登り方を教えてくれる。

すでに意識朦朧となって雪の上に座り込んでいた桜井先生の荷物ももってくれ、
一緒に登ってくれた。

天の助け・・・

はるみさん、かすみん、そして僕・・・
桜井先生が最後の一歩を登りきり、ついに挑戦メンバー全員での富士山登頂!


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やったー!
ついにやった。
途中、何回ももうダメかと思ったが、本当に全員でここに来ることができた。

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かすみんも桜井先生も辛かっただろうに、ホントによく頑張ってくれた。
ありがとう。
写真をパシャパシャ撮りまくる。
達成感がハンパじゃない。

今日参加できなかった仲間がつくってくれた旗を、日本の頂点に掲げた。

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みんな、やったよ!
本当に日本一の場所に、この旗 立てたよ!
嬉しさで涙が溢れてくる。

眼下には、壮大な景色が広がっている。
太平洋まで丸見えだ。

心の中で
「この景色がもう一度みたかったんです!」
と総選挙でゆうこが残した名言をつぶやく。

もう一度って、俺、登ったの初めてやん!と独りツッコミを入れる。

余韻に浸っていると、まだ頂上の頂上ってとこがあるらしい。

行くしか無い。
見上げる先に、小さく何かが見えている。
あそこだ。行こう!

険しい坂道、さらに吹きつける突風も、僕らには楽しみへの通過点でしかなかった。

まさにここが日本の頂上。

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絶景。
スゴすぎる!


嬉しさを噛みしめていると、空に変化が。

雲行きが怪しい。
スゴイ速さで、雲が近づいてくる。
火口に雲が吸い込まれていく。
目の前に見たこと無い光景が・・・怖い。

寒さより怖さで身体が震える。

山の天気は変わりやすいと言うが、明らかにヤバそう。


急いで帰路に着く。

下りは、登りと比べれば楽だろう。
転ばないように、降りていく。

すぐに雲が周りを覆い、視界が狭まる。

一気に辺りが暗くなる。

霧なのか、雲の中なのか?
風もスゴい。風の音が妙に怖い。


急げっ!
霧雨と下から吹き上げてくる突風で、前に進むことすらままならない。
ヤバい。


ホワイトアウト!

辺り一面真っ白に。
道も進む方向もわからない。

所々にあるロープを頼りに下山していく。
はぐれたら危ない。
絶対一人にならないよう注意しつつ、吹き上がってくる風に逆行して進む。

霧雨で濡れた身体が、突風に吹き付けられてどんどん冷えていく。
冷たい、寒い。痛い・・・。

さっきまで青空だったのに。


「凄まじい」

こんな言葉がぴったり合うだろうか。


こんなにも登ってきたのかと思う程、帰り道も長い。


転んで滑り落ちそうになる仲間をつかまえる。
お互いを助け合いながら進んでいく。

無我夢中で下山。

なんとか一番下の山小屋まで辿り着き、カレーをいただく。
冷えきった身体に再び温かさが戻った。

もしこの天候だったら、登頂は絶対不可能だっただろう。

直前に計画を変更し早めた2時間がなかったら・・・


天にも運にも味方され、僕たちの挑戦は最高の結果となった。


今回の挑戦で得たものは、とてつもなく大きい。

いや、挑戦すると決めたあの日から、
共に歩んできたこの数ヶ月。

今回参加できず応援に回ったメンバーも含め、
僕たちの絆を深め、成長させてくれた。

「富士山登頂・日本一制覇」

全員で達成の報告に、
一緒になって喜んでくれるメンバー。

みんながいたから、限界を超えて頑張れた。
みんながいたから、苦しみは半分、喜びは2倍だった。

ありがとう。




この経験、これからに活かします。

今年のテーマは「挑戦&成長」

またひとつ成長した市タマを、これからも温かく見守ってください。 完