しなやかな野性 | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

一気に夏めいてきた夕方の公園で、珍しい瞬間を目撃しました。

白黒のツートン猫が、つっと目の前を横切りました。
お、と思って近づいてみると、腰を落とし、お尻を振っています。
「なんだね、狩りの真似事かい?」と思ったそのとき、猫がパッと跳躍したのです。

猫は池に向かっていました。
「なにやってんの」と思った瞬間、石垣の向こう側から二羽の雀が飛び立ち、わずかに出遅れた一羽に猫が飛びかかりました。

まばたきするほどの短い間に、猫はまんまと雀を仕留め、さもなんでもないことのようにスタスタと歩き始めました。

ただ、どこでその獲物を味わうかには、ちょっと苦労してました。

狩猟場所は公園管理事務所の前で、猫の成果に気づいたおじさんたちが次々に出てきて見物していたからです。
「すごいなあ」と感心してましたが、私も感動でしばし猫に見とれていました。

あんな見事な狩りを見たのは、いやそれどころか、猫が狩りをする瞬間、その上成功する瞬間なんて、初めて見たんですから。
あれは実に見事で、美しくさえありましたね。

捕まってしまった雀は不運でしたが、これもまた自然の習いであろうかと。
自力で餌を取るなんて、頼もしいヤツでありました。

他の小鳥たちは、忙しげに鳴き交わし、おそらく繁殖のシーズンだからでしょう、あちこちの枝で交渉が行われておりました。


P1000583.JPG


ここは、公園の中を流れる小川なんですが、さらさらと音を立てて水が流れ、上空では鳥の鳴き声が響き、なんとものどかな光景でありました。
もう少しすると、ホタルが飛ぶようになるかと思います。
保存会の方たちが小川を整備し、餌になるカワニナを放って、ホタルを育てているそうなのです。夏の薄闇の中を飛ぶホタルの姿はとても幻想的ですよね。

穏やかな夕暮れだったせいか、あちこちで公園猫たちがくつろいでいました。
一画では、近くの高校の写真部の生徒たちが写真撮影にいそしんでいました。
1匹の猫がモデルになってたんですよ。
完全にカメラを意識した足取りで歩き、ポーズをとっていたのです。
それを、カメラを構えた高校生の男の子が一生懸命撮影してました。
やるなあ、モデル猫。

少し離れたところにある植え込みの陰で、黒っぽい縞猫が座っていました。
私が覗きこんで声をかけたところ、コチラを向いてニャアと一声。
そしてこっちへ寄ってきてくれたんです。
顔の横をしばらくなでて、つかの間猫とのコミュニケーションを楽しませてもらいました。


今日はお昼に、いつも行く日帰り温泉に、久しぶりに行って来ました。
なんだかんだと雑用が立てこんで、心身ともに疲労困憊でしたので、骨休めということで。
炭酸泉に10分つかっていましたら、少しは血流がよくなったような気がしました。
露天風呂は今日も極楽でしたよ。
やや熱めのお湯につかり、風の吹き渡る音や、葉ずれの音、鳥の鳴き声に包まれてぼーっとしていたら、ほんとに気持ちよかったです。

たまには休まないとね~。温泉