あのラーメン | 10月の蝉

10月の蝉

取り残されても、どこにも届かなくても、最後まで蝉らしく鳴き続けよう

         ラーメン

その昔、テレビドラマを見ていると時折、ラーメンを食べるシーンがありました。

たいていは、屋台のラーメンで、どんぶりを抱えながら麺をすすっているのですが、子供の私にはそのラーメンがものすごくおいしそうに見えたものです。


湯気は上がってなかったような気がします。そして、麺がやけにもったりと太かったような……。麺をすする時も、あまり勢いがつかなくて、どちらかというともそもそと飲み込むようにして食べていたような記憶があります。


ドラマのシーンとしては、別にラーメンはメインではなく、単なる小道具、消えモノですから、それに注目している私がちょっと変わっていたのでしょう。(と、オットに言われましたww)


「あのラーメン、食べてみたいなあ……」

ずっとそう思っていました。

小学校5年生くらいのとき、親戚の家で、ラーメンの出前をとってもらったことがありました。岡持ちに入って届けられたラーメンは、テレビで見たやつのように中華どんぶりに入っています。

「おお、これはもしかすると…」

と期待に胸が膨らみます。蓋代わりのラップをはずすと、ふわっといい香り。

どきどきしながら麺を口に運びました。


結論からいえば、そのラーメンは「あのラーメン」ではありませんでした。

普通においしいラーメンでした。麺は細くするすると口に入るし。


「おかしいなあ。あのラーメンは特殊なんだろうか」


その疑問は何年もたってから解明されることとなりました。

たまたま、届いた出前のラーメンをしばらく放置してしまったのです。

するとどうなるか……。

自明のことですが、麺がのびます。スープを吸って、メタボな麺になるわけです。

スープも冷めてますから当然湯気もたちません。

それを食べた時、「!!!!!」 ほとんど「エウレカ!」な気分でしたね。


今のドラマの現場ではそういうことはないのでしょうけど、子供のころ見たドラマにはよく登場してましたよ、こういうラーメンが。

そしてここが肝心なんですが、私はどうやらそのラーメン(つまりのびたラーメン)がけっこう好きらしいんです。上記のラーメンを食べた時「お、イケる!」と思いましたもの。


それ以来、家でラーメンを食べるときは極力のびた状態になるようにして食べるようになりました。お店でそれをやる勇気はさすがにないですけど(笑)。だってお店の人に悪いですもんね。


ちなみに、のびていればどこまででもOKなのかと思って、実験したことがあります。スープをすべて吸いこんで、冷めきってしまったラーメンは、さすがにおいしいとは思えませんでした(*^.^*)

そこそこ、あったかくないとダメみたいですね。ラーメン



「ロンパールーム」で、コップに入れて飲んでいた牛乳も、やたらおいしそうに見えて、真似して飲んでみたこともありましたっけ。あれは、人が飲んでるからおいしそうに見えてたんだということがよくわかりました。


とにかく人が飲み食いしているものがおいしそうに見えてしまうという、やっかいな性癖の持ち主なのでした(#⌒∇⌒#)ゞ